【追訂】寝ぼけてるとしか思えない「ソーシャルメディアで儲ける」論

2012年2月27日

金曜日のブログで「ソーシャルメディアを使って業績躍進は至難の業」と言ってみる。王様の耳はロバの耳・・・というエントリーを書いたのだが、本日の日経ビジネスのオンラインのメルマガで、正反対のタイトルを見つけた。

「無印良品はなぜソーシャルメディアで儲けられる?」という、世間一般的には「へー。ソーシャルメディアが旬なんだ」的な記事なのだが、自分的には???? であった。大日経様に楯突くのはドンキホーテみたいで滑稽だが、かなりの見地の差があるのでちょっと比較して見たい。

まず。

これが日経デジタルマーケティングが集計したというFacebookやTwitterで売り上げを伸ばしている企業ランキングだ。まずこの集計・評価方法に異論を申し立てたい。

調査は、フェイスブックのファン数とツイッターのフォロワー数の合計値が高い100の企業・ブランドを抽出し、「総合スコア」を使ってランキングにした。まず、企業・ブランドが手掛けるソーシャルメディアが、どれだけ多くのファン数やフォロワー数を獲得しているかを「リーチスコア」としたとありましたが・・・。

ここのページの解説BrandGlueによると、たぶんこれは大手企業のFacebookページに共通していると思うんだけど、

1 ファンの96%はLikeしたページに再び戻ることはない

2 Facebookページの1日の平均訪問数はトータルファン数の0.7%といわれ、ユニーク訪問数は総ファン数の0.4%。

というデータがある。これが正しいとすると(たぶん体感的にそれほど間違ってないと思う)

無印良品のFacebookページのファン数は45万3369人(本日現在)だから、1日の平均訪問数は3173人。このうちユニーク訪問数は1813人に過ぎない。

無印良品の本サイトは、Alexaで7117位にいる。ここから考えても1日数十万ユニークユーザーのアクセスはあるはずで、 Facebookページのアクセス数なんぞは誤差程度にしかならない。それなのにソーシャルメディアで儲けてるって断言していいの??

そもそもFacebookページのいいね数=ファン数でリーチスコアにしている点が100%おかしい。本来はアクセス数にすべきでしょうよ。人気ベスト100というからには、アクセス数でトップ100を発表すべき。超適当なアクセス解析を誇るアメブロでさえ、ランキングは「アクセス数」であり、「読者数」ではない。

ファン数、つまり登録者数でアレコレ言うなら国内で2500万人のmixiにたいして「オワコンなんて失礼だから絶対いうなよ」になってしまう。WEBで重要なのは登録者数ではなくてアクセス数なのは誰もが知っているとおり。とくにFacebookページは有名企業、ブランドなら、いいね数はすぐ集まる。大半が「好きです、このブランド」くらいの軽い気分で押すからだ。そしてフィードに出る内容がつまらないとすぐ非表示にする

プレゼントや懸賞、××ケンテイや占い、Facebookページテンプレート無料配布などを「いいねを押す」前提で配布すれば数千クラスのいいねはすぐに集まってしまうが、上記のようにそうしたファンの96%は再びそのFacebookページを訪れることはない。つまり最初だけはアクセスされても持続しない。

Facebook社は、各いいね数(ファン数)は公開してもアクセス数ランキングは公開してない。各Facebookページは自社のはインサイトで見ることが出来るので、やろうと思えば簡単にできるのに、だ。
Facebook naviでも「いいね数ランキング」はあるが、アクセス数ランキングはない。なんでか。答えは簡単。Facebookの事業全体が広告収入でまかなわれていて、その広告の大半が「いいね数獲得」のためのものだから、ファン数が多くてもアクセス数は必ずしも多くないということが露呈されるとビジネスモデル自体が崩壊してしまう。簡単な話だ。

日経ビジネスの記事には、無印良品のキャンペーンは「SNSと連携したスゴロクには2万8000人が参加し、クーポンが当たった1万人のうち、延べ9761人が引き換えに店舗を訪れた。」とあるが、これ、テレビとか新聞で無料のクーポン配ったら比較にならないくらいの集客が出来るでしょう。断言しますが店舗の前に長蛇の列ですよ。無料で商品あげて店頭にどうぞっていうのが儲かる秘訣なら、こんなんいくらでもできそうです。本当にこれで利益がでるのでしょうか。「他の物を買ってくれるからいい」ということで無料で賞品だしまくっても正しい集客とは言えないと思うのです。広告代理店は扱い増えて嬉しいと思いますが・・。

また、「例えば「iPhone」などのタッチパネルを操作できる手袋。昨年10月14日の午前中にフェイスブック、ツイッター、ミクシィで紹介したところ、無印良品全店における、この商品の売り上げは前日比で63%増になった」とありましたが、これ、朝のテレビで紹介されてましたから・・。テレビのほうがどうみても爆発力がありますって。ソーシャルメディアだけの効果っていうのは謎のように思える。

・・・ここから追加訂正部分

ちなみに私の仕事のFacebookページは現在1683いいね(ファン数)で、週間のリーチ数は2200〜2500人程度。1日300〜400人くらいだ。ファン数に比較すると18%に達しているが、大半はウォールの投稿で見ているわけで、Facebookページを訪れるユニークユーザーページビュー数は1日平均10〜50人くらいとかなりしょぼい。ファン数の比率で言うと0.5〜2.9%だから、上記数値の0.4%よりはマシ。各社Facebookページ担当の方もこの数値を見たらびびりますよ。

しかし、F-コマースはウォールに出るわけじゃなくて別ページ。Facebookページはウォール以外をリーチしている人に見て貰える確率は15%程度ということになるので、F-コマース作っても売れなくて当たり前なんです。話返すとウォールしか見てないわけです。
↑ Facebookページのユニークユーザー数はインサイト>リーチ>ページアクセス>ユニークビジター で見ることができると@kagua_bizさんに教えて貰ってこの部分修正しました。

・・・ここまで

自分が二つ前のエントリー「Facebookページは大手企業のプロモーションには向かない。むしろ零細企業に向いている」と言うのはこれだ。なんせ自分の会社は自他ともに認めるスーパー零細企業ですからね。

◆ではどうして大企業のFacebookページはアクセス数が少ないのか

答えは簡単です。
いいね数53万人を誇る、ユニクロのFacebookページを見てみましょう。ファンになっていると設定で「表示しない」というようにしないかぎり、ウォールに書かれた内容が差し込まれてきます。

本日のカキコ

「 ‎[カイテキはステキだ。]
ユニクロが提案するリラックススタイル。オンとオフのスイッチを切り替える必要のない、「くつろぐ」と「でかける」が一緒になる服。
そんなユニクロのステキなカイテキ服、揃いました。
快適に心地よく、女性であることを楽しむために
※この投稿に対してのいいね数たったの273人

土曜のカキコ

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春らしいカラーが魅力の万能ボトムス ノータックチノ(MEN)¥2,990、なめらかサラサラ生地のパウダーデニムジーンズ(WOMEN)¥2,990、カラー豊富なスウェットパーカ(WOMEN・MEN)¥1,990、豊かなプリントデザインが魅力のローラアシュレイ リミテッド コレクション Tシャツ(WOMEN)¥990など、春のコーディネートを盛り上げるアイテムが勢ぞろい。
※この投稿に対してのいいね数たったの371人 

あの〜。失礼な質問かもしれませんが。。。こんなん広告のコピーというかチラシみたいな内容、あなたは毎日自分でわざわざユニクロのFacebookページを訪問して見に行きますか??

さらに・・・

無印良品の本日のカキコ

2枚のカットソーを重ねて着るシリーズに、春のトップスが登場しました。形ちがい、色ちがい、サイズ違いを組み合わせて、自由なコーディネートを楽しみましょう。
無印良品の「重ねるカットソー」はこちら
※このコメントに対するいいね数308人  だいたい300人台しかいいねがコメントにつかないから、やはりアクセス数は2000〜せいぜい3000人/日前後であってそう。

 

こんなん、別にFacebookページでわざわざみなくたって、本当に見たいなら本サイトに行くでしょうよ!!

大企業ほど、当たり障りの無い内容+広告宣伝をウォールに掲載している。担当者は仕事でやってます。愛がありません。中には外注先の企業の社員が書いてるっぽいのもあります。さらに愛がありません。

上位ランクされている日本の企業で一番上手いと思うのは、いいね数関係なくANAだと思います。ここは明らかに内部の人がやっているという気配を感じます。厳しい航空業界で生き残るために必死です。働いている人の顔や、飛行機からの風景、ウンチクなど、本サイトには掲載されてない独特の内容です。いいね数は48万4000とユニクロより少ないですが、イイネ数はひとつのコメントに対して3000くらいも付いてます。つまりANAのFacebookページには、ユニクロや無印のそれの10倍のアクセス数があるのが明確です。どういうこと書くと集客にいいのかまではこちらの飯の種ですので、今後気が向いたときに書くかもしれません。

しかしANAみたいな内容を書くのは、広告代理店やコンサルタントに運営を丸投げしている企業では不可能だし、 別にこれでANAが儲かってるという気配もはっきりいって無いです。しかしCS(顧客満足度)の向上はあると思います。つまりそもそもFacebookとかソーシャルメディアって「売り上げを上げる」という短絡的な物では無く、CSを向上させて企業のブランド価値を高めるという使い方が一番適していると考える次第。だから売る気マンマンのF-コマースみたいなのはみんな失敗してるんですよ! 売れるわけ無いから、ホント。

で、本日のブログをまとめると

●いいね数には意味が無く、アクセス数とリーチに意味がある。自慢するなら「何人いいね集めました」ではなく「1日×万人のアクセスがあります」で。いいねなんて金使うか、なんかタダで配ればいくらでも集まる。

※とくにコンサルタントを名乗る皆様へ

●FacebookページはCS向上にこそ威力を発揮する。そもそも担当者に大企業は自由度が無く一存ではなにもできないから、Facebookページの効果的運用は難しい。零細企業のほうがよほど効果を上げられる

ということで、また業界に敵作りました (-。-;)

▶続きも書きましたので、あわせてどうぞ

 

 

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