サマータイム導入は日本のリテラシー階層闘争である

2018年8月16日

突然湧いて出た、サマータイム。東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長は安倍首相と会談し、暑さ対策としてサマータイムの導入を要請。これを受けて首相は自民党に検討を指示しました。来年に試験導入を行い、オリンピックが開催される2020年に本格導入するという案などが議論されているそうな。

また、森の爺さんですか?!

これからずっと夏の間にサマータイムならまだしも、オリンピックの2週間のためにやるのは、少し考えればものすごくリスキーなのが分かることなのだが、森爺や自民党のリテラシー低い人たちには理解できないらしい。特に自民党の船田はじめ議員が自分のブログ

コンピュータなどの時間設定の変更は、律儀で真面目な国民ならば十分乗り切れるはずだ。余暇時間の過ごし方が、エネルギー消費の削減につながるような工夫も必要だ。一方、睡眠不足などによる健康障害問題は、むしろ個人の心構えにより、多くは解消されるはずだ。

「コンピュータなどの時間変更は真面目な国民だから乗り切れる」「健康障害問題は個人の心構えで解消」と、精神論で語っている時点でサマータイム案を出してきた森爺も、安倍さんも同じような見解なのだろう。

サマータイム導入は個人のコンピュータの時間を変更する程度の問題ではない。だいたい個人のPCやスマホもいまや時刻は基本は自動設定であり、自分で合わせられないOSもある。AppleやGoogleやMicrosoftの設定する時間帯を表示しているのだ。時計代わりにしているスマホはAppleなりGoogleがサマータイム用のアップデートをしてくれないかぎり対応不可である。自動巻きの時計の針を動かすのとは違う。もっともG-SHOCKだって高機能のものは自動で時間を合わせるから対応不可能だけどね。時間が変えられないとキャリアの窓口に殺到するよ。クルマのナビだって時刻はGPS衛星の原子時計からだから、どうすんだよ。

炊飯器だって風呂だってタイマーは使う。家中の家電をはじめ時計表示のものを高齢者やリテラシーー低い人たちが全部時刻変更して、船田はじめ議員のいうとおり「律儀で真面目な国民ならば十分乗り切れる」と思ってるんだろうか。律儀で真面目なのとDVDレコーダーの時刻合わせができるのは別の問題でしょうよ。

しかしこれは単に個人の問題だが、いまや世の中はサーバによって制御されている。コンビニのレジからはじまり、経理システム、基幹系、交通網、金融、など、ほぼ全てがサーバのプログラムで制御されている。このブログだってサーバの時間で投稿予約をしているわけです。

このブログラムを誰が書き換えてテストする?

実際にサマータイムを導入するとなると、1年前から基幹系のエンジニア、サーバエンジニアは死ぬことになると思う。いったいこの莫大なコストは誰が負担するというのか。船田はじめ議員は「長時間労働に対しては、既に動き始めた働き方改革により、かなりの歯止めが期待される。」とバカップリを発揮しているが、準備期間1年でこれをやるとなると

IT業界は死者累々

たった2週間のサマータイムのために1年掛けて準備してテストして、漏れがないか丹念にチェックする。2000年問題の時には十分に時間をかけて準備したのにもかかわらず、年末から正月は多くのエンジニアが拘束されて待機した。今度は準備期間もなく、しかも2週間たったらまた元に戻すのです。本当に「殺す気か」ということです。しかも他の仕事は止めての作業になるからいったいどれだけの経済のマイナスなのか・・・・。

2000年問題が取り沙汰された当時は全世界で数百兆円にのぼるという推計があったが、実際にはそんなことはなくその前の年号の変更の時に多くは修正された。ググってもコストが出てこないのだがそれでも全国規模なら数十億円くらいはかかったのではないか。追記:日銀調査で4000億かかったんだって。現在は当時と比較してコンピュータへの依存度が比較にならない。

一般国民はこの危険性を全く理解できない

ネット上では当然、囂々とした反対が多い。母数が312と少なすぎるが、キャリコネのネットアンケートでは93%が反対している。

が、一般世論では、そうではない。

朝日新聞 8/4、5の意識調査

◆2020年の東京オリンピック・パラリンピックの暑さ対策についてうかがいます。大会組織委員会は、気温の低い早朝を有効に使うため、日本全体で夏の間だけ時計を2時間進める「サマータイム」の導入を提案しています。あなたはこの案に賛成ですか。反対ですか。
 賛成 53
 反対 32
 その他・答えない 15

NHK8月調査

一般国民は、サマータイム導入でなにが起こるか全く想像ができないから「サマータイムいいね」と無責任に回答している。で、安倍総理も「サマータイムは国民の支持が多いと聞いている」とテレビで言っていて、完全に裸の王様になっている。森爺の年齢ではそもそも「サーバが」とかいっても理解不能だ。コレをなんとかするのが日本人だとか言い出しそう。
何度も書いているが・・・

「国民に説明が十分されてない」というキャズムについて


日本でそこそこの情報リテラシーを持っている、いわゆるアーリーマジョリティまでで200万人はいないと考えている。今回のサマータイムについては、「サマータイムは莫大なコストと労力がかかる」と理解できるのはここまでだろう。

この愚行を阻止するにはどうすればいいのか

ネット上では盛んにサマータイム愚行論が取り沙汰されている。このままなし崩し的に世紀の愚行が決定されたら、たまったものではない。

サマータイム阻止、ダメ押しは進次郎・三木谷・あのメディア王
アゴラ

しかしですなぁ・・・・・。前述のようにいくらネットで騒いでも多くて200万人しか理解できないのです。社会に影響力がある誰かが言ったところで聞くものではない。ではどうすればいいのか。答えは簡単です。

いくらかかるか試算すれば良いのです

できれば三菱総研とか、日本総研とか、金融に詳しいリサーチ会社が、いったいいくらかかるか試算すればよろしい。不慮の災害や事故につながらないために、細部まで検討してお金に換算するのです。おそらく数千億とかへたしたら兆単位のコストになり、しかもそれは2週間たてば元に戻すわけで、なんら経済的なプラスの影響はなく無駄なコストです。

国立競技場の建設費用を上回る、下手したらオリンピックの開催費用をも上回るコストが算出されてはじめて、「サマータイムなんて今の時代にやるのはバカだ」という認識になり、ちゃんちゃんで終了するものと思います。そんなわけで心あるIT系の統計に詳しい人は、いまがチャンスですぞ。英雄になれます。

今朝ほどテレビで「ゴミを1/3に圧縮するゴミ箱が大ヒット」というのをやってましていま、物欲と戦っています。スゲー便利そうなんだよね・・・

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