【就活生向け】これからの旅行業界はどうなるかを勝手に推測してみました

2013年7月24日

先日、ある就活生に「旅行業界に行きたいんだけど、この業界どう?」っていわれたので、とりあえず説明した内容を備忘録風に書いてみる。ダイヤモンド就活ナビで人気ランキング見ると、文系女子の7位にJTBがいた。文系男子だと40位だった。以下、話した内容なので起承転結がすこし変だがご容赦ください。

まずJATA(日本旅行業協会)にあったこの資料を見てみる。以下の画像はここのデータから切り出しました。

http://www.jata-net.or.jp/data/stats/2013/pdf/2013_sujryoko.pdf

1

 

3.11前までは景気は回復していたわけだが、国内の旅行業者は微減、取り扱い額については右下がりといっていい。
が、しかし、旅行者の数は

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爆増しているのである!!

旅行者が爆増しているのに、どうして国内の旅行業界はイマイチなのか・・。この資料は非常に細かい部分まで分析されているが、それについての言及が無い。

この↑の資料によると、最近の傾向は・・

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40代と60代が増加。退職してからの旅行と、働き盛りでお金に余裕がある世代でしょうか・・?

旅行者の数が爆増しているのに、取り扱い額が減少停滞気味というのは、普通は「単価が下がった」と考えがちなのであるが・・(確かに最近は激安ツアーが多い)

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旅行参加費は多少下がっているものの、全体として旅行にかけるお金は増えてます。単価は下がってないらしい。ただしこれはJTBの調査ですので激安ツアーはやってないでしょう。

ここから先はあくまで私の推測です。

いまの旅行業界を支えている50代以上の層、40%弱ですが、あと20年でお墓に入るか足腰が立たなくなって旅行どころではなくなる。旅行代理店で添乗員付きの高いツアーに行くような人たちはいなくなってしまう。

まあ、ここまで書けばだいたいのこのブログを読んでる人は想像付くと思うが・・旅行もネットで申し込むように変わってきているのはいうまでも無い。JATAの資料だと
net

ネットの伸びが半端ない。とはいえJATAの会員さんだとまだ10%程度なのである。まあ対象は調査幹事会社など大手さんだと思われます。ここでも出版業界がAmazonに大敗しているのと同様の事象が見受けられます。

まず、あなたが「パリ」に旅行に行くとしてネットで検索するとします。旅行先の地名で検索するとほぼ1位に出てくるのが
paris

トリップアドバイザー。アメリカの会社だ。ユニークユーザー数は月間 6,000 万人以上、登録会員数は 4,400 万人、掲載口コミ数は 1億件。ホテルの出稿は有料。
http://www.tripadvisor.jp/BusinessListings
なんかアドワーズみたいなビジネスモデルなのだ。

ちょうど楽天と一緒にキャンペーンやってました。

ここのサービス、マジで使いまくってます。まあホテルとかレストランの食べログみたいなものですが、海外に行く前はこれでじっくり評判を見る。でもってGoogleマップの「マイマップ」で自分のガイドブックを作るわけです。ホテルを予約するときはたとえば

trip

こんな感じで一括比較見積もりができる。各予約サービスによって手数料を別に取ったりキャンセルできなかったりいろいろ詳細が異なるので、しっかり比較検討してください。最近、ここに「楽天トラベル」と「じゃらん.net」「H.I.S」で出てくるようになった。しかし別ウインドウが開くだけで連動してないのです。しかも海外の予約サイトより価格がバカ高い場合が多く、この例でいうと「じゃらん.net」はリンク切れ。

同様のサービスでは日本でもカカクコムの完全子会社のフォートラベルというサービスがある。

4トラベル

ほぼパクリ・・・かな・・・・??
こちらは日本の旅行会社が6社一括チェックできるとありますが・・試みに全部チェックすると
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単にリンクされるだけで、全然一括見積もりできない。一個ずつ見ないとダメ。フォートラベルと各社のシステムの連携が取れてないんでしょう。

トリップアドバイザーとフォートラベル。クチコミを比較すると日本人と外国人の評価の内容の差が大きいことに気づく。総じて外国人のほうが評価が厳しい。日本人の場合は、設備がゴージャス風に見えるファミリーユースのホテルの評価が高く、さらに超高級ホテルになるとべた褒めになる傾向がある。日本語が話せるスタッフがいるだけで評価が上がる(笑)。海外に行きつけてないのでレストランの評価は総じて甘い。

トリップアドバイザーではコストパフォーマンスの高い安宿の評価が高くなるが、超高級ホテルの評価はけっこう厳しい。日本人みたいに貧乏なのに背伸びして高級ホテルに泊まったりしないんだろうと思う。階級社会なんだね。金持ちが高級ホテルに泊まるから評価が厳しいのでは無いかと。

食べログが普及して、いまや雑誌やフリーペーパーで探す人は大減少していると思う。自分でもご飯食べようかなと思ったら、すかさず食べログでいい評価のところを探す。ステマの見分け方もだいたいわかってきたので騙されない。同じ事が旅行業界でも起きている。自分の例でいうと、もう5年くらいは旅行ツアーに申し込んでいない。旅行者が爆増しているのに日本の旅行業者の取り扱いが増えていないのは、けっこうな比率で外資系の予約サイトになだれ込んでいる部分もあるのではないかと思う(それにしても差分が大きすぎる気はするが・・)。
加えて、ネットで旅行代理店を通さず航空チケットを買ったり、ホテルを直接予約したりしている人が増えているのは間違いない。ちょうど5年くらいでAmazonの日本の売り上げが大手デパートに匹敵するくらいになったように、従来の日本の旅行代理店のビジネスモデルは崩れようとしているのではないか。

まとめますと・・・近い将来、旅行代理店でパッケージツアーを買う人は、面倒くさいことが嫌いな金持ちか、リテラシーの低い人ということになる。現在の高年齢者はお金はあるけどリテラシーが低いジャンルに入るわけだが、いまの40代がスライドして50代になった時には「リテラシーの低い人 = だいたいが低所得者層」ということになる。そうなるとそもそもその層は海外旅行には行く頻度が低いし、高いツアーは買わない。

旅行代理店が生き残るためには、大手はIT化を死ぬ気で進めて、窓口をどんどん減らして人件費節約して外資系に対抗することになる。中小は専門家を進めて、たとえば「アマゾン旅行ならどこにも負けない」とか、「コンシェルジェとスタイリスト付きの豪華旅行」みたいな尖った部分で生き残るしか無い。

とまあ、旅行業界行くのはいいけど、こういう風に頭の柔らかいところじゃないと、日本の出版社の大半のように全部後手後手になって死んじゃうよといったのでありました。で、この業界に行くなら、少なくとも上の資料くらいはじっくり読んで、自分がそこでなにをしたいのかを考えてから就活しなさいで締めました。

いま現在、旅行業界で働く皆さまにおきましては、勝手なこといってすいません。わたしを成田空港で見つけても意地悪しないでください。

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