顧客視点の大切さについて語ってみる

2012年2月15日

このブログ、2年前に同じことを書いているのですが、何度でも使えるので本日もこのネタで。ECコンサルをやる場合のわたしは、しつこいくらい同じことをいいます。年食ってるからというのもありますが、酔ってるとさらに何度も言うので嫌われてます(仕事中は当然、しらふですけど)。

口癖は何個かあるが、一番多い口癖はコレ

「顧客視点を絶対に忘れるな」

コレ、実はECに限らず、リアルの店舗だろうが、学校経営だろうが、電子出版だろうが、みんな同じだと思うんです。成功させる人は、とにかく想像力に長けている。つまり「お客さんはコレを見てどう思うか、何を求めているか」という風に、客の視点に立って考えることができる。ジョブズがいい例です。ザッカーバーグだって独断のように見えるけど、実はかなり顧客視点の鬼じゃ無いかと思います。よくまあ、考えつくなあみたいなのが山盛りです

会社をきっちり勤め上げて定年退職して喫茶店を開いた人の80%は1年でつぶすという記事を昔何かで見たことがあるのだが、だいたいこういう人は「念願だった喫茶店を」「内装と音楽にこだわった」のように、主眼が自分に置かれていて、自分がやりたい店をやるという点に執着し、顧客が求めているのはなにかの考え方が非常に薄い。
サラリーマン経験がいくらあっても大半の固いメーカー等は仕事相手も企業。B to Cビジネスの経験がない。自分の身銭を切ってお金を払う人と接したことがないから、さっぱりわからないのである。(もちろん販売サービス業に勤務していた人が退職して自分の店を開く、なんていうときは失敗率はだいぶん下がると思います。これはB to Cの経験値があるからだ)

先日テレビで会社を年食ってから退職して起業した人の例をやっていた。路頭に迷う寸前みたいな例がコレだった。会社の蛍光灯の裏側にカバーをつけて暗くなった蛍光灯の明るさを増すアイデア商品を作る会社を興した元一流企業の部長。一見よさげだが、退職して実際に商品を作って会社を回ってみると、どこの会社も初期投資はかかっても長持ちするLEDに切り替えていてさっぱりニーズがない。これが典型例です。

個人企業レベルのネットショップでも非常に似ていて、失敗するのはたいてい顧客視点がないケース。つまり「自分のお店を開きたい」「自分の好きなものを売りたい」みたいなものばかりが先に立ち、「客はなにが欲しいんだろう」「どういう経路で自分の店を知るんだろう」という想像が全く働かない。
サイトのインターフェースにしてもそうで、自分の好みと思い入ればかりが先立ち、客の視点が無い。「(いまどき)Flashばりばり使いたい」「自分はブルーが好きなのでイメージはブルーにしたい(あんたの好き嫌いは関係ない)」など、自分の好みばかりが先に立つ。こういう店は、よほど扱う商品の質が(たまたま)飛び抜けてよくてオリジナリティがあり、さらには参入障壁が高いものでない限り、そうそう売れません、というかほとんど売れないと断言できる。リアルの店舗でも似たようなのはたくさんありますが・・・。

「顧客視点の無い人」=「想像力が無い人」なので、ブログやメルマガ書くにも「お客が読んだときにどう感じるだろう」「ここが誤解されたりはしないか」「どういうタイトルならメルマガを開くだろう」ということも考えない。考えても思いつかない。これはセンスもあるけれども、経験値に基づくことが大きいので、いつも念頭に入れていると徐々にできるようになってくる。つまり努力で多少はなんとかなります。

商品開発についても同じことが言える。いままでけっこうな品目の商品とかサービス開発をしてきたが、一番分かり易い例で挙げてみる。ネットには全く関係ないのだが・・・

いまから20年くらい前の話だが、事務所の近くにあったできたばかりの釣具屋さんにぶらりと立ち寄った。客が一人もおらずがらんとした店で、人の良さそうなご主人はわたしより10歳くらい年上。聞けば大手の衣料販売会社で管理職だったのだが、脱サラして釣具店を始めたけれど、全く売れない。もう店をたたもうと思う・・という。
そこで前から持っていたアイデアを提案してみた。一言でいうと中古の釣具屋さんである。当時は中古の釣具屋なんてなかったが、自分が客なら絶対そういう店があったら行くと思っていたからだ。しかも中古は一物一価。他店との競合がない。
どうせ閉めちゃうなら最後に勝負してみたら? ということで、古物免許を取らせ、最初はわたしのとか友人の釣り具を出してみたところ、大盛況。詳細は省くが、数年後には年商3億円くらいになった。その後、このアイデアで大手チェーンが現れて苦戦していると思うが、とにかく潰れないで頑張ってやってます。私のアイデアもあるければ、ここのご主人が必死だったこと。素直だったこと、そしてそもそもの人柄が良かったことが大きな要因だと思う。

つまり、顧客視点さえあれば、マイナスから億単位くらいのビジネスなら、割と簡単に創り出せるのだ。

たとえばいまの不況ニッポンでも、儲かるところは儲かっている。自分と比べるのは失礼だが、ユニクロとかAppleとか、みんな同じです。しかしここのまでの規模だと「割と簡単に」どころではないので念のため。ですが基本は全く同じですので。

↓ 笑っちゃうくらいの小さなビジネスモデルですが、わたしが考えてメーカーに作ってもらった「ホットカプセル」っていう体が温まるサプリメント。実はけっこう売れてます。コレ飲んで真冬にサーフィンすると、2時間はポッカポカ。ただし切れると急に寒くなります。生姜湯飲んでもいいのですが、辛くて一杯飲めないし持って歩けない。これだと生姜湯を丼で一気飲みしたくらいの濃度だそうです。スキーとか冬の散歩とか釣りとかスポーツ観戦にどうぞ。今の時期限定です〜

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  • deepblue82 2012年2月15日8:07 PM

    永江さま、お疲れ様です。そしてお久しぶりです。

    「できたばかりの釣り具屋さん」は某Gで店長はT富さんでしたか・・・

    懐かしか~(笑)。小山の店で名刺交換のとき全くのリーマンスタイルで、
    腰の低さが好印象でした。

    蛍光灯の裏カバーは自分も観ました。正直、そんなん買わんでもアルミホイル貼ればいいし、
    実際、我が社でやってるからイラネと思いましたデ。

    ではまた。

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