「企業のソーシャル運用はコンテンツがないと効果が出ないから意味がない」を北側物産さんの例で語る

2015年6月26日

わたくし、企業のソーシャルの運用のコンサルティングもけっこうやっています。いまやソーシャル運用をなくしては集客は難しい。しかし、世の中の企業で実際にちゃんと運用して売り上げなり企業ブランドの構築に貢献できている例はそれほど多くない。最近は特に「ユルい公式アカウント」がブームになっていて、たとえばシャープさんみたいな感じが大流行である。


フォロワーは22万弱。単体で債務超過になったシャープさんでは希望退職の説明会が社内で催されているとの由。この中の人が退職勧告受けるようになったらもう終わりが近い感じかな・・・。で、先日。こんな話題が・・・

「ユルすぎ」と上司に更新停止を命じられた北側物産公式アカウント、他の公式アカ団結でTwitterトレンド入りの快挙

要はゴルフ用品を中心に扱う卸・小売の会社の公式アカウント(社名が凄すぎる!!!)が「ユルいツイート」をしているので上司から「もう止めてしまえ」と言われたらしく、アカウントを停止するというツイートをしたところ・・・

緩いツイートってどんなのかというと


こんな感じ。まあ可愛いと言えば可愛い。で、これが騒ぎになった。

さらに騒然としたのが他社の公式アカウントです。でんしょ屋、にゃピタ、森田アルミ工業、ロフト、ケロリンの内外薬品、ソフト99コーポレーションなどなど多数の企業公式Twitterアカウントが参加して、「12時になったら北側物産の定番ツイートである『お昼がきたがわ!』に #北側物産 を付けて投稿しよう」と呼びかけた結果、12時半ごろには「#北側物産」がTwitterのトレンドに入る展開に。

結局、あまりの拡散ぶりに上司が折れたらしく、ツイート停止はなくなったものの・・・


面白くもなんともない宣伝のツイート(botと称している)となった模様です。社内でいろいろ話し合ったんだね。
ネット界隈では、上記の記事みたいに「頑張ってるのにネットを知らない上司が横やり入れたのを他社の公式が救った」みたいなムードなのであるが、実はそんな簡単な事ではない。企業のソーシャルアカウントの運用の難しさを示したいい事例だと思います。

いままでのユルいツイートはビジネスとして効果があったのか

まず「北側物産」で検索してもプロテックゴルフという事業部のサイトはあっても会社のWebがない。これならアカウントは「プロテック公式」でやるべきでした。公式のTwitterアカウントにもURLの記載がない。楽天には出店していたが社員数23人。少なくともゴルフ業界以外で一般認知の高い有名企業ではない。フォロワー数は、これだけ拡散したあとで現在4000人程度。フォロワー数の増加の推移を見てみると
スクリーンショット 2015-06-26 11.09.43
6/23の時点では3959人。ずっと3000人くらいのフォロワーで回してきて、この拡散騒ぎがあってもフォロワー数は激増しているわけではない。これ最近のTwitterでは顕著な傾向で「リツイートをたくさんされてもフォロワーが増えるってことはない」理論です。自分のTwitterのanalyticsツールみても、リツイート2万近くされても数十人程度しかフォロワーは増えない時代になりました。


↑ こんなに回ってもフォロワーは全く増えないんだよ。テレビ出た方がよほど増える。

で、北側物産さんのフォロワーを見ましても、ゴルフ好きとかのアカウントがほとんど見当たらない。ユルいツイートで売ってきたわけなので、Twitter界隈のどっちかというとオタク系のアカウントが多い。で、たぶん上司は

勤務中にお前、なにやってんの

になったんだと思う。これ、別に上司がネットが分からないとか、そういう理由じゃない。Twitter見ました!!ってバンバン売れ行きが上がったのなら上司だって止めろとかいうわけない。社員数20人くらいの会社で、全く会社の売り上げに貢献できなければ、「やめろ」と言われてもある意味当たり前なのです。

今回のことで知名度が上がったと言っても、「ゴルフやる人の間」で「いい意味での知名度」があがってこそ意味がある。「会社は遊びじゃねーんだよ」とどこかの茶髪社長が言いそうです。

Twitterで北側物産を知ってゴルフ用品買った人、何人います??

っていうことなんですよ。Twitterトレンドにいくら上がっても、それで業績が上がらなければ仕事とは言えないんですよ。

大手のユルい公式と中小は全く違う

しかし北側物産の担当の林さんは、なにも遊びたくてユルツイートしてたわけじゃないと思う。かなり丁寧に考えてるし、なんとかフォロワー増やそうとしているのも分かる。しかし大手のやり方を中小が真似しても意味ないのよ。そもそも会社のWebサイトがない時点(ブランドのURLは本日発覚)でソーシャル運用なんてしても意味がないです。誘導先がないんだから・・・。

シャープさんとかの大手は、元々自社ブランドだから、ブランディングの意味合いがあるわけ。債務超過であえいでいても公式がユルく頑張れば「シャープ頑張ってるな」的に見てもらえる。ブランド名は通ってるからフォロワーはたくさん付くし、中には買ってくれる人もいるでしょう。すべての顧客がターゲットになり得るわけです。

しかしゴルフの卸と小売りの会社はゴルフをしない人にフォローしてもらっても、会社として全くの無意味なわけです。よって、いまのフォロワーにゴルフのセールスツイートをしても全く意味がない。ユルいツイートを期待してフォローした人にとってはスパムだから。

↓ ゴルフやる人にフォローされてビジネスにつながる見本ですよ

さて、それでは名前が通らない中小企業はどうやってソーシャル運用をすればいいのか・・・。

Webサイトでバズるネタを作成してそれを拡散させることで集客につなげるというのが王道です。商品企画だったりブログだったりするわけですが、このネタがないとソーシャルでの拡散はおのずとユルいツイートみたいになって本業と関係ないことになる。シャープさんはユルい中に新商品ネタを混ぜられるほどネタがあるわけですが、普通は新商品がガンガン出てくるわけもないので、役に立つコンテンツを用意ということになります。つまりコンテンツマーケティングですね。
これがないと面白ツイートしかできない。フォロワー増えてもビジネスに役立たない。

ソーシャル運用もSEOも、基本はコンテンツマーケティングであり、コンテンツがないのに運用しても、店舗がないのにキャバクラのキャッチが名刺配るようなもんですわ。よってさきにやるべきはコンテンツです。まあ、そんなこと書いてもすぐできるならみんなやってるんだけどね。

Surface 3 格納のためバッグを買ってあげました。この下の11インチ用でもはいるかもしれないけど余裕を見てこれにした。内張がもこもこのふわふわでケースいらないんだな。これだと・・・
バッグ

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