ワタミ入社2ヶ月で自殺、労災認定について思うこと

2012年2月25日

ネット上で炎上した渡辺社長の発言。反省している旨の投稿がありましたが・・

一番炎上したのは、一番下の「労務管理ができていなかったという認識が無かった」という点でしょう。確かに「労災認定」された程度のものを認識してないというのはどうだ、という気持ちは分かるんだが、自分的にはちょっと違和感を感じる。こんなこと書くとこちらまで飛び火しそうだが、とりあえず気になるので書くことにした。

まず、社長のツイートには「会社の存在目的の第一は社員の幸せ」とあるが、自殺しちゃうくらいだから彼女は幸せでは無かったんだと思う。しかしワタミの他の社員は幸せでないかというと、それはわからないし、幸せ一杯の人もいるはずだ。
ニュース読むと、入社して月140時間の残業を2ヶ月やって自殺とあった。 自分はリクルートに新卒で入ったわけだが、月140時間残業って平均値くらいのフツーだった。雑誌創刊時とか最高240時間やったこともある。こういうときは仮眠室から通勤してました。これを8年やったけど楽しく生きてました。この差は何だ??
ちなみにリクルートも過労死に近いのはけっこうありました。裁判になった例もありますので念のため。バブルの頃は大手広告代理店でも同様のことはけっこうありました。

人間、楽しいと思うことなら苦痛に感じない。たとえばゲーム大好きな人なら仕事終わって月140時間くらい普通にやるでしょ。キャバクラ大好きな人がキャバクラのリサーチが仕事なら月300時間だって喜んでやるでしょ。飲食業でもやっと独立して自分の店を持ったら、楽しくて楽しくて月に何百時間働いたって苦痛に感じないはずだ。渡辺社長は仕事が大好きなんだと思う。たぶん彼は残業(経営者だからそんなんないが)どころか、家に帰るのも惜しいくらいなんだろう。スティーブ・ジョブズがマッキントッシュの開発メンバーに着せたTシャツには、「週80時間労働、それがうれしい」と大書されていたそうだが、週80時間なら月160時間の残業。嬉しくて働いてるならなんの問題もないわけです。

もし自殺した彼女がワタミの仕事が大好きだったらきっと楽しく残業したに違いない。

となると、これは、自殺した彼女を採用したミスもあるし、応募した側もやりたくない仕事だったのかも、と思う。マッチングの不幸というべきだ。互いに理解し得ない、価値観の違う同士が上手く行くわけ無い。いまは凄い不況で、なかなか自分のやりたい仕事には就職できない。もちろん才能があって努力も出来る人は行きたいところに行けてるはずだが、バブルの時みたいにとりあえず大学でていれば選び放題ってことは絶対無い。おのずとやりたくない仕事に就かなくてはならないケースも多い。こうした不幸はこれからも増加するはずだ。

次の違和感がちまたの反応だ。

和民は何回か行ったことがあるが、めっちゃくちゃ安い割にそこそこ美味しいのにびっくりする居酒屋だ。あり得ない金額なのだが、飲食業の一番のコストは人件費だから、価格を安くしようとすると、人件費を削らないとできない。だから残業無しであの価格は維持できないと思う。社員が9時5時で帰れて超低価格でやろうと思ったら、下水油とか腐りかけの材料でも使わないと無理だろう。中国じゃあるまいしそんなん無理。

となると、「労働環境を改善するべきだ」と言うからには、「超低価格の店には行かないぞ」くらいの心構えがいるんじゃないかと思う。超低価格の飲食業は、従業員の犠牲のものに成り立っているということを忘れている。ちょうど「原発反対」を叫んでいるのに電気使いまくりの大音量のライブを敢行するみたいなもので、矛盾ありすぎ。原発反対するならまずは電気を使わないアコーステイックなバンドに変身しなさい、みたいに突っ込みどころ満載である。

安い店が一番と言っておきながら、働いている人が可哀想っていうのは「ワニの空涙」っていうことわざと同じくらい馬鹿みたいだ。これ、エジプトのことわざで子供の時にドリトル先生読んでいて知ったのだが

ナイル川のワニが子供を捕まえて食ながら「子供が可哀想」と泣いた

という寓話です。同じじゃないですか?

20年前くらいにドイツに行ったとき、法律で土曜の正午以降と日曜日には、お店がみんな閉まってしまうことにびっくりした。レストランも普通の店もみんな閉まる。繁華街には誰も歩いていない。観光客は困るので、当番制でオープンしている店が少しだけある程度で徹底している。
つまり休日は家族で過ごしなさいってことで、キャンプ場なんてキャンピングカーでぎっしりだ。休日に買い物に行きたい?? お店で働いている人だって休日は必要だろう。自分が楽しむために他人を働かせるのか? それは自分勝手ではないのか? ということが国として浸透している。

日本はどうかって言うといまや元旦からスーパーも開いている。サービスを追求すれば従業員に負担がかかる。でも自社がやらないとほかに客を取られる。であれば、法律で制限してしまおうっていうのも手だと思いますよ。これからの時代はね。まあ実際には小売業からもユーザー側らも大反対噴出で、日本では絶対に成立しないですけどね。
日本中「ワニの空涙」、流しっぱなしです。

 

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