身銭切ってはじめて分かる、Facebook広告は効く? 効かない??

2012年5月24日

GMがFacebook広告を取りやめた。Facebook広告って効果無いというニュースが駆け巡っていて、それぞれ受け取り方に相違があって面白かった。簡単に説明すると、元ネタはここだと思うが・・・

The automaker spends about $40 million marketing on Facebook, but only about a quarter goes to advertising. The rest funds content creation for the site, according to the report. GM spends about $1.8 billion globally on advertising per year.

なんかそのままの形で丸呑みで理解すると数字が変なのです。

自動車メーカーは、Facebookのマーケティングに4000万ドル(32億円)を突っ込んで、その1/4(8億円)がFacebook広告。残りはサイトのクリエイティブに使ってます。GMは1年で広告に18億ドル(1440億円)使っています。
この「automaker」っていうのが単数だから一般論では無くてGMのことを指すとは思うが、間違ってますか?

で、これをFacebookページの誘導広告にGMは8億円使ったと理解して解説しているブログとかありましたけど、最初に「あり得ないって」と言っときます。

米国だけに広告だそうとすると、Facebookで確認すると

1億4200万人に対して広告を表示することができます。

で、広告単価は仮に自分の会社のFacebookページの広告を米国に出すとすると(出すわけないけど)・・

推奨入札価格は66-106円。おそらく1クリック90〜110円くらいになります。
これは1クリックあたりのコストで、いいねを押してくれてファンになる人の獲得じゃ無いです。ぱっと見、そうするとファン1人当たりの獲得の単価はこのコストの何倍にもなると思うのが素人の浅はかさ。上手くやればこうはならない。それにはFacebookページ側の「思わずいいねをしたくなる」資質というのもとっても重要なわけではありますが・・

だれかが「いいね」を押すとそれがウォールに流れるから、引きずられて何人もいいねを押してくれるし、オピニオンリーダー的な人がひとりファンになると引きずられてたくさんのファンが付く。ファンの増加数をかけたコストで割ると、上手に使うと1人当たり50円くらいなもん。へたしても100円は行かない。かなりリーズナブルと言えます。もし何百円もかかっているならFacebookページの内容と広告内容が悪いのです。

実際、日本の場合に限るとFacebookにFacebookページの広告出しても月に数万円消化するのが大変なくらい。最初はダーッと増えるけどすぐに一巡していいねは押されなくなり、予算を消化できなくなります。このへん、実際に自分の金でやったこと無い人があれこれ言っても全く実感を伴いません。能書きたれるならまずは身銭切ってやれ、といいたい。ワタクシ、こう見えても数万円くらい使っていろいろ実験してみましたから。

しかし。。たとえば

この上の広告みたいに・・
飛んだ先がFacebookページでも・・

この広告はトップページに飛ばさずに、アプリのページに飛ばしています。

いいね押さないと次にいけないタイプでは、プレゼントだからクリック率は高いはずだが、クリックしても「いいね押さないと次に行かせないから」でUターンしてしまう人が非常に多く、クリックレートが高い割にはエンゲージ率が低いので、ファン獲得1人当たりのコストは高いと推測します。それにこのタイプならクリック課金でなくてインプレッション課金制にしたほうがいいように思うが、インプレッション課金は価格自体がかなり高く設定されているのでそもそもこれにするとクリックするしないにかかわらず、毎日数万円飛んでいきます。
実際に担当しているわけじゃないので、あくまでも想像です。まさかとは思うが、 1人当たり30円くらいで獲得できていたらすいません。まあこの規模の企業なら数十万とかいう宣伝費は屁みたいなものですからそんなの関係ないとは思いますが。

話を戻すと、GMのFacebookページは38万のファンがいる。全てを広告で引っ張ってきたと考えると広告コストは最大でも4000万円弱。実際にはせいぜい1000万円くらいでは無いかと思うわけですよ。だいたい8億円を1クリック100円で割ると、800万クリック!! クリックレートは米国のFacebook人口で割ると5.6%にもなる。あり得ないって!!
つまり上記の8億円は、Facebookページに誘導するための広告費用ではないとこの際、断言してみたり。もしかしたらテレビや雑誌使って自社Facebookページに誘導しようとしたりしたコストもみんな入っているのかも。

ということは、この時点でそもそもこの英語のレポートがガセじゃ無いのかという可能性もあるわけですが、実はFacebook広告はFacebookページに誘導するものだけではないのです。「外部」のサイトに誘導することもできますが、これのコンバージョンは、Googleのアドワーズと比較してめちゃくちゃに悪いと思います。

Googleのアドワーズは

→興味のあるものを検索してその結果のキーワードの広告が出現

するに対して

Facebookの広告は

→ぶらり探訪中にたまたま広告見かけたので見てみる

というだけですので、たとえばネットショップとかで外部リンクにしてFacebook広告を使うとめちゃくちゃに成約あたりのコストが高くなります。アドワーズでさえ1成約当たりのコストが3〜5万円っていうのがフツーの昨今。これでペイする商売は過払い請求の法律事務所か保険くらいしかないでしょう。

米国に住んでないのでわたしのウォールにはGMの広告が出ないので分からないのですが、仮にGMがアドワーズみたいに外部サイトで資料請求させるためにFacebook広告使っていたら、物凄い無駄金使ったということも腑に落ちます。しかしそれでも8億円は純粋に広告費用では無くて、マーケティング会社や企画会社、コンサルティングファームに払ったお金が大半では無いかと思ったりします。そんくらい普通に請求されそうだから。

まあ、私の意見としては前々から言うように、広告宣伝費が潤沢な大企業は、Facebookではなくてテレビや新聞にお金を使ったらよろしい。Facebook広告はFacebookページにのみ誘導し、そこではファンの熟成や新規獲得に使う。そもそもファンが圧倒的に多い有名企業やマスでバンバン広告打てる企業は、誤差程度にしかならないのでやる意味自体がよく分からない。Facebookに担当1人付けるなら、その分マス広告をもっと効果的に使うためにその人材を充てたほうがよほど有意義じゃないのかな。代理店に「これからはFacebookです」とか「ソーシャルやらないと」って言われて焦る気持ちはわかりますけどね。

Facebook広告はチマチマと数万円のお金を試しながら、毎日広告差し替えたりして一喜一憂している中小・零細企業にこそメリットがあるんですわ。

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