
それはちょうど、6年前の事でした。
当時、ほとんどのキー局と大手新聞で取り上げられたので、ご存じの方も多いと思います。

私を含めて5人がNetgeekというwebメディアを相手取って集団訴訟を起こしました。
このNetgeekはネットで拾ってきたツイートや画像を元にコタツ記事を書き、ターゲットの憎しみを煽ってPVを稼いでビジネス化するというもので、主に「リベラル系」「貧困者」「女性」「キラキラ系」などがターゲットになっていました。主な読者層はいわゆるネトウヨで、取り上げられるとSNSで凄まじいバッシングが起きてさらにPVを稼ぐという仕組みです。
似たようなことをしていた「保守速報」というサイトが在日コリアンを一括して犯罪者扱いする記事を書き、ひょんな事から配信者がバレて裁判になって敗訴した事件があります。地方都市で特に思想的なものもない中年男性が金稼ぎのためにやっていたこともわかっています。
そもそも取材をまったくしないので事実と異なる内容も多数あり、中学生の女の子の自宅や学校を公開して攻撃したため投稿しなくなって行方知れずというケースもありました。当然、出版元や責任者は隠蔽されておりされており、問い合わせフォームも機能していない。
そもそもこうした金稼ぎに以前から腹を据えかねていた私は、自分が取り上げられたとき(内容は誹謗中傷と半分がウソ)、ヤッターと思って訴訟準備に入りました。まずやったのは賞金をかけて発行者を特定することです。
いろいろ問題があったらしくすぐに通報が多数あって数時間で特定できました。そこから集団訴訟となり、コロナ禍を挟んで勝訴するまでの話がこのたび本になりました。本の巻末には裁判費用のクラウドファンディングにご協力頂いた皆さんの名前を書いています。本当にありがとうございました。正直言うと高裁に上告され、わたしと千田教授は相手から逆にSLAP訴訟を仕掛けられてちょっと足が出ました。まあ別にいいんですけどね。
わたしが書くと中立性に乏しいため、知人の元大手新聞記者に依頼し、被告を含めて全員に取材をして完成したのがコレです。被告は返信無しw
集団訴訟の5人は特に思想的な背景もなく、過激派と名指しされて職まで失った男性も特にそんなこともなく、私もどちらかといえば保守。弁護士団も中立な人たちです。
実際に証人喚問で法廷に出てきたnetgeekの運営者は予想に反して、ひと言でいうならまるで信用金庫の職員みたいな感じでした。まあ、証言することは「そんなわけないだろ」みたいなことばかりだったのですが。
その裁判の一部始終、そして結末はぜひこの本をご覧下さい。
現在も続く、ヘイトやデマビジネス
みなさんはこうした募集がクラウドワークスなどで行われているのを知っていますか。

SNSでは髙市陣営がお金を出してヨイショ投稿を集めていると言われていましたが、参政党じゃあるまいし自民党はそんなことはしないと思うのです。もちろん頭の悪いネトウヨ支持者の可能性はありますが
保守速報やNetgeekのようなサイト上で公人ではない一般人への誹謗中傷を行いお金にするビジネスは、最近ではなりをひそめました。以前のように長文テキストが読まれなくなったこともあると思います。
しかし最近、代わりに出てきたのがSNSやYouTubeでのデマやネトウヨ動画での金儲けです。
基本的にネットで拡散されやすいのはネトウヨ系です。デマをそのまま信じてしまうのはパヨクも大差無いのですが、私はだんだん違うのではないかと思い始めました。
◎ネトウヨやヘイトチャンネルが高価で売りに出ている
◎SNSで明らかに収益目的のヘイトアカウントがいる
からです。
XやInstagramやTikTokやYouTubeは再生回数に応じてお金が入るようになりました。たとえばXなら私の場合だと800万インプレッションで50ドルくらい。つまり1インプレッションで0.01円です。Facebookだとだいたい1閲覧0.01円で同じくらい。Youtubeはだいぶ安くなったというものの1再生0.2円くらいだと思います。
わたしのフォロワー数1.7万のXが月に50ドルなので17万フォロワーだと500ドル。つまり10万円近くになるわけです。ヘイトアカウントの中にはそれを自慢しているのもいました。
ネトウヨ動画や投稿はお金になりやすい
ネトウヨ→自分が貧乏なのは外国人が悪い
バヨク→自分が貧乏なのは大企業が悪い
という自分の不幸を他責にする思考は同じなのですが、双方に共通するのは「政治家が悪い」「(自分の支持しないクラスタの)政治家が中抜きしている」という自分の所属するイデオロギー以外はすべて悪という荒唐無稽な考え方です。しかしパヨクの投稿は回らないのにどうしてネトウヨだけ回るのか。
これは
大企業と違い外国人は周囲やネットでよくみるので憎悪が湧きやすい
という単純な話だと思うのです。いくら大企業を憎んだってアルファードは欲しいし共産党の山崎拓ちんもトヨタの宣伝カーに乗っています。自動車メーカーはみんな大企業だから、大企業を憎んでも買わざるを得ない。周囲にはディーラーの営業マンも整備士もいる。
これにたいし、身近な外国人やインバウンドは「昔は日本人の方が金持ちだったのに日本に来て偉そうな顔しやがって」と憎悪の対象になりやすい。だから馬鹿げたデマの投稿でも信用されて拡散される。
・外国人は日本に来るとすぐに生活保護を申請できる
・外国人留学生は奨学金をもらえるのに日本人はもらえない
※返済不要の奨学金は留学生は30人に1人。日本人は8人に1人で基準は外国人の方がずっと厳しい
・アフリカやインドから食い詰めた難民が日本に押し寄せてくる
・不法移民がどんどん来ている
→実際には規制が厳しくなって激減
・移民が増えると治安が悪くなる
→実際にはEUも犯罪件数は激減しており人口の半数が外国人のシンガボールは日本より治安が良い
など、少し調べればデマだと分かることが拡散されて信じ込んでいるリテラシーの低い人たちがたくさんいるわけで、こうした人たちが見ることで
デマ、ヘイト動画は金儲けができる
ということでやる人たちがたくさん増えたということになります。
憎しみを煽って金儲けって人間としてクズだと思うんですがみなさんはどうですか。
子どもにSNSをさせない国が増えてきましたが、凄くよく分かるようになってきました。


