リクルートがネット時代に躍進した一番の理由はコレだ!!

2014年11月28日

本日は昔話をいたしますよ。

それはそれは昔のこと、リクルートに新卒で入った私は、最初の1年は求人広告作っておりました。当時は外食産業が日本で花開くときで、すかいらーくにデニーズ、サンデーサン(現在はゼンショーグループ入り)にロイヤルホスト、吉野屋にマックにケンタッキーにフォルクスとか担当した外食産業は数えきれませんわ。外食が一気に拡大したときだったので、どこも必死に人員拡大していたのです。
当時は一番給料が高いのはマクドナルドで、外食目指す人はまずマクドナルドを受け、だめだと次々と他の外食を受けてました。ああ、栄枯盛衰は世の常なり。

んで、

リクルート上場、終値3330円 公開価格230円上回る

凄いことになってる。docomoの上場以来だって。峰岸社長は新入社員の時はもっととっぽい感じでいまと印象が全く違う。道ですれ違ってもわからなくなった。いや、すれ違わないですけど。そんなとこ行かないし。

で、よく言われるのが「リクルートって他の出版社と違ってインターネットの時代をよく突破して大成長したよねぇ」という言葉であります。こういう人はリクルートのビジネスモデルの根幹を分かっていない。リクルートはネットにドンピシャの考え方や経験値を持っていたのです。
その前に、リクルートがなぜネットに進出したかというと、そもそもの話は、故江副さんがどこで聞きつけたのか「スーパーコンピュータの時間貸しをしたら儲かる」ということでクレイ社の恐ろしく高いスパコンを何台も勝手に買ってきたことからはじまる。こんな奴でした。

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クレイはいまでもしぶとく残っていて、スパコンのニュースには必ず出てくる。タイタンっていうスパコンを作ってます。日本の京のライバル。↑のクレイは各メーカーの間に専用線結んで時間貸ししたが、すぐに陳腐化して夢の島にみんなで捨てに行きました。椅子が欲しかったけどもらえなかった。江副さんはスパコンがすぐに陳腐化してしまうって知らなかったらしい。

しかし、当時のリクルートは89%(適当)くらいの営業会社で、エンジニアなんて皆無。そのため、数年にわたって優秀な理系を大量に採用したのです。新卒でクレイのプログラム書かされるほうも大変だが、数年でこの事業が終了したときに大量にエンジニアの仕事がなくなってしまった。仕事がないのは困るということでエンジニア連中が「これからはインターネットです」と直訴して予算をもらい、「MixJuice」というサイトをスタートしたのだ。「MixJuice」は98年にISIZEというのに変わりました。リリース出てきた。でもって紙の情報誌を次々とやめ、ネットにすばやく転向したことで業態を変えたわけですね。

リクルートはなぜネットにすばやく適合できたか

既存の出版社や新聞がネット時代に息も絶え絶えになっているのに、なぜリクルートは素早く対応できたか。これはビジネスモデルの根幹に理由があったとおもいます。

リクルートの情報誌事業は、通常の記事ベースの雑誌などとはビジネス的な要素が全く異なるのです。新聞や雑誌などは広告スペースを販売し、客(広告代理店)が持ち込む広告をはめるだけです。しかしリクルートの場合、大手スポンサーの広告は本体、専属代理店含め、内部で制作していました。で、一番問題となるのは「効果にたいしての執着」。ここが他とは違いました。

求人広告であっても、ある会社は同じスペースで10人来たのに、同条件で同じ広告スペースの他の会社は3人だった。どこに問題があるのか。キャッチフレーズの違いで応募数はどのくらい変わるかとか、いまのネットの世界で言うABテストをスタッフレベルで繰り返していたんですぜ。まとめたものが冊子になって随時配布もされてました。
情報誌って紙だけど、ネットと同じようにCTRとかRPMみたいなものをきちんと把握するのです。求人であっても、住宅であっても中古車であっても、1人の顧客を誘導するのにいくらかかって、どのようにしてそれが改善されるのかを徹底的に追求します。広告効果が出稿主にははっきり分かるのです。

ところが従来のテレビや新聞、雑誌の広告においては、出版されたらそれでおしまい。発行元は広告効果について興味も無いし、効果計測もしない。いまもそのビジネスモデルであり、ネットの時代の価値観についてこられていません。

オールドメディアは効果に無頓着だった

ということだと思います。テレビでは唯一、インフォマーシャル(セサミンみたいな時間を買い切るやつね)とか、通販チャンネルがネットと同じ価値観を育成してきていますので、そこだけはまだ活気がありますよね。

リクルートは新入社員の時から営業も制作もすべて「効果」を中心に考える思考回路で育てられ、訓練された。ノウハウもあった。カッコイイ広告より、効果がある広告が偉いという認識だった。だからネットに移行するときもすんなりいけたのです。自分も振り返ると当時の経験が脳に染みついてますから、ホント。「人はどうして行動を起こすのか」とか「どういう動きやコピーに惹きつけられるのか」という訓練ばかりしてましたからね〜

で、求人広告のキモをこの際ぶちまけますよ。


うわべだけの建前を言う企業には人が集まらない
本音一本を隠さず言う企業のほうが人は集まる

というのだけは明確でございました。まあ、往々にして古い経営者を抱えると前者、やる気のある経営者と担当になると後者になるのでございます。会社の将来を予想するに、求人広告見るとだいたい想像がつきますよ的な話でした。

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