価格決定権を自分で持てるか否かが勝負を分ける訳であります、隊長!!

2012年11月2日

Appleストアで昨日の晩から並んでiPad miniを買った皆さま、近所のPC DEPOで並ばずに64GB買ってきました。在庫いっぱいあって誰も並んでないですよ。並ぶのが好きならOKですが。

自慢気にただいま復元中

本日の本題に入ります。

これまた先日、メルマガの質問で素晴らしいのをいただきまして、喜んで回答いたしました。こういう質問が来るとめちゃ嬉しい

Q 商品(物)を売る際、商品自体が重要なのはもちろんの事、『価格』も重要だと思われます。通常、他社との比較や、原価から何%の利益を乗せるといった考えになると思いますが、商品に適正な価格(価値)を決める際、どのような考え方が必要でしょうか?抽象的な質問になってしまいますが、『価格の決め方』についてご意見をお聞かせ頂けると有難いです。

自分は経済評論家でも経済学者でもなく、もっと下流の「どうやって売るの」ということのみに注力している仕事なわけだが、最近は新規事業のサイトの立ち上げコンサルも多く、価格決めから入る事も多々ある。なので、この質問はまさに得意分野。

最初に結論を言ってしまおう。

商品やサービスに独自性があるならば、いくらで売っても「それで売れるのなら」かまわない

ということに尽きる。当たり前ですいません。

陰口が好きで頭の悪い輩は 「あそこは儲けすぎだろう」「原価考えたら買う気にならない」とかどこかの掲示板で言うかもしれないが、馬鹿なんだから放っておけばいい。だいたいこういう人間はどうせ金が無くて買えないから。
原価を考えたら云々という理論は、人間国宝の陶芸家の作品を「原料の土はタダなのにあの価格はけしからん」というみたいなもので、 資本主義経済では意味が無いことが分からないのである。資本主義経済では価格を決定するのは市場なんだから、高すぎたら売れないだけの話だ。

原価×何%が利益と考えるのは商社的な発想で、商社は取り扱い額の定率が手数料になる事が多い。しかしB to Bならまだしも、B to Cにこれを持ち込んだら相当にきつい。AmazonのKindleは赤字で販売していてAppleのiPadは利益率40%と言われる(ソース)が、Appleは儲けすぎだからアップル製品買わないなんていう消費者なんているか?
もしいたとしたら、そいつの本当の買わない理由は「使わないから欲しくない」か「金が無い」のどちらかである。

Kindleは赤字で売ってもそのあとで本をバンバン買ってくれたら全くOK。逆にコボはタダでもらってもあんなに反応の遅いデバイスなんていらないとまで言われているという悲しい現実は置いといて、それでは小規模の資本で、小規模のストアを運営したい場合、どのような商材と価格決定が一番有効なのかを簡単に説明してみたい。

一例を挙げてみる。このブログでも紹介したレーシングカーデザイナーの由良拓也氏のデザインによる、超超ジュラルミンのiPhoneユニットは、本体より高いと言われたケースだったが、3度の増産を行い、在庫ももうすぐ完売である。もともとiPhone4S自体がモデル末期だったため、大量の発注ができず原価が恐ろしく高かったため「儲かった」とは言えない状況ではあるが、少なくともなんとかペイはしている。11月にサンプルが上がってくるiPhone5用のユニットはさらに軽量化され、チューンされているわけだが、それと進行して由良さんデザインのミニ三脚の開発が進んでいる。

こちらもムクの超超ジュラルミンからの削り出しで、iPhoneだけではなくて当然、コンデジにも付く。コンセプトは「ライカX1,X2に付けても恥ずかしくない」ということで設計・デザインをしていただいている。が、部品点数が多いため、原価がめちゃくちゃ高くなる。現場ではこれで売れるのかという声もあるが、私的には「絶対買う人はいるので手を抜かないで最高のモノを作った方がよい」と頑強に主張中です。

同様の商品がガイアの夜明けにも出ていたという「1人家電メーカー」のデスクライトも同様です。ストロークというんですが、コレ。

39900円だが完売していて一ヶ月待ち!!

39900円もするが、非常に欲しい。マジで欲しい。

こうした商材は、小規模なネットショップにとっては最高の部類にはいる。客は買ってくれる人は機能や使い勝手などより、「ストーリー」に価値を見いだして買ってくれるのである。ストーリーといっても、「将来この1人家電メーカーがでかくなったとき、初期ロットのこれを持ってたら凄い値段になるな(ほくそ笑み)」という的なものではなく、「気持ちが入ったモノをこの手で所有したい」という純粋な衝動。ただしこうした衝動を消費行動に変えられるのは、多少は生活にゆとりがある人ということになる。

こうした商品の対極にあるものが、「どこでも買える」「たくさん売ってる」商品ということになる。代表が家電みたいなものだが、ネットは価格比較が簡単なので必然的に「価格勝負」となり、資金力の小さいところは太刀打ちできない。その典型がカカクコムで最安を争うあまりに散っていった、たくさんの家電店である。

だらだらと書いてきたが、上記のことから私が小規模なネットショップの運営のコンサルに入るときには、オリジナリティのある商材が無いときはほとんど引き受けない。オリジナリティのある商材の開発の意欲と余力があればそこからはじめます。
そして重視するのは、ストーリー作りである。といってもねつ造するのではなく、気持ちの入れ方や、開発の四苦八苦を忘れないようにしっかりと記録して、昇華させると言うことに近い。人は「頑張ってきた」ストーリーに共感を覚え、感動してくれるのです。

こうしたオリジナリティのある商材ができれば、価格決定権は自分が保有できる。この状態で無いと本当に成功する小規模なネットショップはできないと言ってもいいくらいだと信じるものであります。

何回か紹介したこの本ですが、実はホンダだってパナソニックだってケンタッキーフライドチキンだって、日清だって、もともとは社長が1人ではじめた会社です。どうやってオリジナリティ溢れる商品を開発したかというストーリーなので、アイデアに困ってる方は必読ですよ。3時間で読めます。

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