ガチの経験者が説明しよう・・・中国のiPad商標大もめ問題

2012年2月21日

タイトルの「ガチの経験者」というのはなにを隠そう、私のことです。

AppleのiPadの商標が中国でProviewという会社に取得されていて、中国の広東省でiPadの販売差し止めになったという件。 商標に詳しい私が解説してみたいと思います。

ところで、Proviewというのは照明系の会社のようですが、検索するとしでにiPadという商品を出してます。ロケットニュースでも出てましたが画像検索すると一杯引っかかります。

昔のiMacG3か!!

Internet Personal Access Device ・・・iPadだそうな

まあ、これは単なるネタですので置いておくとして・・・

なんで弁護士でもないわたしが詳しいのかといいますと、商標で裁判したことがあるからです。根が凝り性なもんですから、そのときにかなり勉強しました。特許庁や裁判所の判断、そして地裁の裁判官にもこの調子でけっこう突っ込みました。

まず、商標なんですが、日本やアメリカと中国ではそもそも設定が違うのです。アメリカも日本も先出願権といいまして、先に商標とったもの勝ちではありますが、条件があります。「すでに使用されている商標は取得できない」のです。ただし使用されてるけど誰も知らないようなのはダメで、そこそこ周知されている必要はあると思います。たとえばイタリアでは有名なブランドがあって日本でちょこっと雑誌に取り上げられたけど調べたら商標が取得されていない、じゃ、とりあえず商標だけ取っちゃおうかなと申請しても、99%却下されます。たとえ通っても取り消し申請を起こされればあっさり取り消されます。
ネットがない時代はいろいろ調べるのも大変だったので間違えて登録されちゃうケースも多々ありましたが、いまでは特許庁もググって他に同様のが無いかチェックしてるわけですね。 実は特許庁がこうなったのは私が一役買っているのですが・・(後述)

日本の商標、誰が持ってるかはここで検索できます (申請中はわかんないよ)

これに対して中国は、完全な「先出願権制」。なので,自国で100年前から使われている名称だろうが、他国で有名だろうが何だろうが、早く取った物勝ちです。なので中国に進出しようとしたらすでに商標が誰かに取られていたということが多発するわけ。商標が先に取られていた場合、こちらは偽物になりますから相手は輸入も差し止められます。偽のヴィトン持ち込むと空港で没収されますが、それと同じことができます。
こうなると高いお金出して商標を買い取るか使わせて貰うしかないわけです。コシヒカリ、ひとめぼれ、クレヨンしんちゃんとかが取られてしまって大トラブルになってるのは既知のとおり。ただし中国国内ですでに有名な場合は馳名商標といってもし取られてもあとで取り消しを請求できるようですが、実際にはほとんどダメみたいですね。だいたいあのでかい国で国中で知れ渡ってる名称ってなんなんだ的な。
しかも中国には勝手に有名ブランドのロゴとか使った偽物が氾濫しているわけで、自国で取得した商標についてのみ差し止めするのはどうかと思う、というのが世界各国の印象でしょう。iPad止めるんだったら自国の偽物ブランドなんとかしろ、みたいな!

ほかにも中国の商標については法の不備がめちゃくちゃにあり、法治国家ではなくて放置国家になってるわけですよ。ただし今回のiPad騒動においては商標を取得されたのがiPadの発表前ということなので、Apple側の手落ちでしょう。たぶんAppleは事前に中国の商標ブローカーにかまされたんじゃないでしょうか。iPadは押さえているから心配ないとかなんとか。報道によるとiPhoneもヤバイとかいうわけで、これはこじれれば中国にiPadもiPhoneも持ち込めないし、中国で生産もできなくなる。

よろしいじゃないですかぁ??!!

Appleは儲かってるから中国市場は諦めて貰い、iPad、iPhoneの生産拠点を日本に移して貰いましょう。中国に旅行や出張の際は、空港でiPadやiPhoneは偽物として没収されるかもしれないのでAndroidで。MacbookAirも登録されているかもしれないのでレノボのノートで〜。 中国にみんな出張に行きたくなくなるので中国経済は伸び悩む。てか、それよりめっちゃ面倒くさいのでいきたくないわ〜。

・・・・・・・

で、わたしの裁判事例ですが・・・20年くらい前の話。アメリカでは有名なブランドのビンテージ商品(日本でも雑誌とか本に良く出ていたし、昔はハンズでも売っていた)を輸入しようとしたところ、日本でその商標を取得して、全くロゴも形もクリソツの偽物を中国で作って「復刻」として販売している会社があったのです。特許庁もネットがない時代だから事前に分からないですんなり申請を通していたわけ。この会社はほかにも同様のことをして大儲けしてました。
相手の会社もひっそりしておけばいいのに、なんと日本の商標を持ってるのでこちらを「偽物」として訴えました。だったら勝負しないといけないな、ということで特許庁を巻き込んでの大騒動に発展。以降、特許庁では海外の有名商標の登録には非常に慎重になり、ネットで検索するようになったとか。関係情報では「重要事例」として内部書類に掲載されているようです。 その会社ですか? 時間はかかりましたが商標は取り消され、倒産してしまいましたというお話です。
実際、私がコンサルしているようなとこめでも自社のオリジナルの商品を出すことが多々あり、そういうときは必ず商標をチェックします。もともと誰が申請しても取得できないような名称にする手もありますが、本格的にやりたいなら商標出願は必須だと思いますよ

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