高齢者ドライバーの事故の爆増の時代に、せめてこれだけは

2015年11月2日

ちょっと前ですが、認知症の高齢者の運転する軽自動車が暴走。たくさんの人が死傷しました。

宮崎暴走:男性、認知症の治療中 外出を家族気付かず

酔っ払い運転とか無免許とかドラッグ吸って暴走の場合はそのまま刑務所にぶち込まれるわけで、自業自得な面もあるわけですが、近年では運転する高齢者の増加とともに、認知症気味の方が大事故を起こすケースがとっても目立つ。

2008 福岡県古賀市で、当時74歳の男性運転の乗用車がホームセンターに突っ込み、10人死傷
2009 大阪市港区で、当時74歳の男性運転の乗用車が居酒屋に突っ込み、3人死傷
2011 東京都江戸川区で、当時81歳の男性の乗用車が歩道に乗り上げ、歩行者ら5人死傷
2012 大阪府大東市で、当時86歳の男性の乗用車が次々と歩行者をはね、6人重軽傷
2014 福岡県田川市で、当時77歳の露天商の軽ワゴン車が祭り会場で暴走し、11人重軽傷

と思っていたらまた
飲食店にワゴン車突っ込み7人けが 愛知
76歳の男性が運転するワゴン車が突っ込み、店で食事をしていた客や店員合わせて7人が重軽傷

10年くらい前の警視庁のデータによると

平成16年中の65歳以上の高齢者の交通事故死者数は3,046人であった。総死者数に占める割合は41.4%となっており、5年以降、最も死者数の多い年齢層となっている。この要因を、高齢人口の増加だけに求めることはできない。人口当たりでみた場合でも、65歳以上の高齢者が、3年以降、最も死者数の多い年齢層となっている。また、16年中の致死率(交通事故死傷者数に占める死者数の割合)をみると、65歳以上の高齢者は、他の年齢層と比べると著しく高くなっている。

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年齢層別交通事故死者数の推移(昭和50~平成16年)

ということで、交通事故死者数における高齢者の比率が突出してきたことを懸念していた。これは被害者にも加害者にもなる比率が突出して高いということを示す。高齢者運転による死亡事故は
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過去10年間に発生した自動車又は原動機付自転車の運転者を第1当事者とする死亡事故を、運転者の年齢層別にみると、16歳から24歳までの若者層によるものが約60%減少し、25歳から64歳までの層によるものも約18%減少している。一方、65歳以上の高齢運転者によるものは、当該年齢層の運転免許保有者数が10年前の2倍となっていることを背景として、約24%増加している。また、死亡事故の第1当事者となった運転者の総数に占める高齢者の割合は年々増加しており、6年に9.1%であったものが、16年には15.7%となっている。

若者は免許もとらなくなったこともあって事故率が激減。かわりに高齢者による運転比率が爆増ているこを懸念していた。高齢者比率はこのあともどんどんあがり、で、このあと10年でどうなったかというと。。。

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都内における交通事故の総件数は年々減少し続け、平成26年は37,184件で10年前の半数以下となりました。その一方で高齢運転者が関与する交通事故の割合は、年々高くなり、平成26年は総件数の20.4%を占め、10年前の約1.9倍となっています。

公明党の取材では

NEXCO東日本、中日本、西日本と首都高速、阪神高速、本四高速の高速道路6社に確認したところ、高速道路上の逆走車について、ドライバーなどから寄せられた通報件数(延べ)は2011年1253件、12年1291件、13年1176件を数えた。確認されただけでも、ここ数年ほぼ1日3件超で推移している。

一日3件、高速道路で逆走発生!!!

通報ベースなので複数にカウントされているケースもあるが、事故事故に至ったのはこのうち11年14件、12年21件、13年19件(警察庁まとめ)となっているが、これをドライバーの年代別でみると65歳以上が他の年代を大きく引き離して11年57.1%、12年61.9%、13年36.8%。

高速道路を逆走する高齢者が事故率からみて一日1~2人と、まあ、とんでもないことになっている。警視庁の都内のデータは、都内では多くの若者は免許ももっていないし車を買って維持できるお金もないから当然といえば当然。こうなると「高齢者の運転を制限しよう」という世論になってくるわけで、75歳以上の免許更新には講習予備検査と高齢者講習等が義務付けられ、臨時適性検査(専門医の診断)の結果、認知症と診断された場合は、運転免許の取消し、又は停止になることとなった。

しかしTwitterでこうしたことをつぶやくと「認知症気味の頑固じいさんは家族のいうことなんぞ聞かない。運転しないように言うと烈火のごとく怒り狂うし、鍵を隠しても探して運転したり、車を別に買ったりする」という声まで聞かれた。たしかに認知症で高速道路逆走事故をおこした人の中には、知らないうちに隠しておいた鍵で運転というケースもありました。ここの制限を一気にしてしまうと健常な高齢者の行動まで制限してしまう。ではどうすればいいのか。

任意保険の加入率を県別に見てみる

こうした交通事故のニュースを見るたび、一度にたくさんの人が亡くなったり怪我をしたり、車や施設がぶっ壊れていったいどうしてるんだろう、ということだ。働き手のお父さんを亡くしたり、店が全損したり、まだ高校生の娘が障害を負ったりしたら家族は相手が認知症だとしてもとうてい許せないだろう。いや、なおさら「家族はなにしているんだ」ということになる。

実は先日、近所の知人がBMW停車中に自転車で突進してきた高齢者にぶつかられ、多額の修理費がかかったのであったが、相手は生活保護受給者で修理代が払えない。最初10,000円くらい払ってもう払えないということになって泣き寝入りになりました。この程度なら笑い話だが・・

事故が起きた場合の補償だが、自家用車は自賠責といういわゆる強制保険と任意保険の両方がある。

強制保険は過失割合にかかわらず事故により負傷した者は被害者として扱われ、相手の自賠責保険から保険金が支払われる。ただし、過失割合が70%を超える場合は重過失減額として、過失割合に応じて一定の割合の減額が適用される。また、最低限の補償の確保を目的としているので、保険金の限度額(上限)が被害者1人につき死亡3000万円まで・後遺障害は段階に応じて75万円~3000万円(介護を要する重度の後遺障害は4000万円まで)・傷害120万円までと低い。

Wikipedia

となって、働き盛りのお父さんが亡くなってもたったの3000万(しかも上限で)、障害や後遺障害には全く不十分だし、物損は対象外なんである。これをカバーするために良識あるドライバーは任意保険にはいるわけだが、この加入率が都道府県によって大きく異なるのであります。

日本損害保険協会のデータでは・・

最も加入比率の高い都道府県
大阪81.9% 意外!!!
愛知80.9% さすがトヨタのおひざ元
に続いて、都市部のほか、スズキやヤマハのおひざ元の静岡、奈良あたりが高い。全国平均で73.4%です。逆に低いのは長寿県の沖縄52.9%、島根56.3%、上記の宮崎突っ込み事件の認知症老人は鹿児島から宮崎にやってきたそうだが、鹿児島は59.5%、宮崎は58.1%。高知も低くて58%です。こんな県にドライブにいって車にぶつけられても相手が任意保険にはいってる確率は6割ないんです。怖いです。

で、提案です。明らかに事故率が高い高齢者が運転する可能性のある車には「任意保険を義務づけ」というのはどうでしょうか。家族に65歳以上の運転免許所有者がいる場合、その車は任意保険に加入しないと運転できなくする。車購入にはマイナンバー義務付けだ。高齢者が運転しないなら免許は返上してもらう。だからといって事故を起こしてもいいわけではないが、起こした場合の悲劇の波及効果は最低にする。

高齢の田舎の貧困世帯では「車がないと生活できないし、任意保険も払えない」というかもしれないが、だからといって事故を起こして関係のない他人を不幸にしていいというわけがないのである。凶器である車を運転する以上、それ相当の負担はしていただかないと、もし高速道路を逆走して多数の家族を不幸に巻き込んだ場合、「自分は死んじゃうからいい」ではないのです。

それでは本日の提案をおわります。
ずばりの本が出ていたけど高くて買えませんわ

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