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ふと沸き起こった疑問・・・・
「マンションのオーナーが中国人に変わったらいきなり賃貸料を値上げされた」
「中国人がマンションを買って規約違反の民泊をしている」というマスコミの報道がありましたよね。
先日はニセコで中国人が建築物を建てて勝手に周囲の樹木を伐採(伐採したのは札幌の日本の建設会社)とか、中国人が日本の不動産を買うというと良い印象があまりありません。特に田舎の人は周囲にハイレベルの中国人の友人などいないからYouTubeやTikTokでそういうのを見て「中国人けしからん、日本から出て行け」になるわけです。
参政党などはこれを利用して外国人には日本の不動産を売ってはならないという憲法素案まで発表しています。
で、中国人とは言わず外国人や外国企業が正規の手続きで購入した不動産も没収すると掲げています。
普通、国としてこんな狂ったことをすればアフガニスタンのタリバンと同じで諸外国から断交されますよね。で、相手も日本に対して同じ事をするわけです。
日本が外国に持っている不動産は?
まずコレを調べます。
元となったのは立憲の元管総理の秘書だったと自称する人が撒いて大笑いされたバカデマ「財務省が13京円の資産を隠している」の元ネタとなったこちらです。
内閣府 2022年度(令和4年度)国民経済計算年次推計
一国経済全体の令和4暦年末における非金融資産は3,577.3兆円(前年末差+127.0兆円)、金融資産は9,072.1兆円(前年末差+54.3兆円)となり、総資産は1京2,649.3兆円(前年末差+181.4兆円)となった。一方、負債は8,650.3兆円(前年末差+54.0兆円)となり、正味資産(国富)は3,999.1兆円(前年末差+127.3兆円)となった。
13京円では無くて1.3京円。そしてこれは国と民間の全ての国内外資産の合計です。
で、「日本の令和4暦年末の対外資産残高は、1,323.1兆円(前年末比+5.1%、同差+63.6兆円)と4年連続の増加となり、過去最高となった」とありますがこれは現金や証券なども含むため、不動産はどれくらいなのかChatGPTに調べさせます。国が持っているより個人や法人が持っている金額が圧倒しております。特に日本の基幹産業である自動車は海外生産が9割と言われており、海外の工場やディーラーの投資が多いはずです。
多数の資料を調べた結果
対外資産のうち不動産は22.5兆円と推測されています。データはこちら
どこの国に対しての不動産投資が多いのかというと
圧倒的にアメリカです。
ついでオーストラリア、英国、タイ、ベトナム。
中国へは7000億円程度(土地は買えない)
外国人と外国企業が日本に持っている不動産は?
逆に外国が日本に持っている不動産を調べます。
財務省のデータだとシンガボールが突出しているのですが、財務省 は「法人の登記情報」を基準に “不動産業” かどうかを判定します。物流ファンドやホテル私募リートの多くは 投資業・金融業 に入る。外資系が JV を作り、物件所有は日本側 SPV が担う――という典型的な構造も取りこぼしているのでCBREのデータを使いました。
日本の不動産を所有しているのは圧倒的に米国で4400億円
続いて親日のシンガポールですが、シンガポールはこのあと妙高に2000億円を投資して大リゾートを建設中。プリンスホテルとスキー場、ゴルフ場もすべて買いましたので日本への投資のナンバーワンになったている可能性があります。
【特集】2000億円の大型開発が進む妙高高原エリア シンガポール人投資家を直撃 その未来図は《新潟》
シンガボールは子どもの学力が全教科で世界1(日本は5位くらい)。ゴミを捨てたり歩きタバコすると逮捕されるお国柄で、日本に来ているシンガポールの人たちはめちゃくちゃ礼儀正しく民度ははっきりいって日本より高いです。オラオラなんて薬にしたくてもいません。そして香港と並んで超親日です。
はいここで
日本が世界に持っている不動産は22.5兆円
外資や外国人が持ってる日本の不動産は1.2兆円
ですから、参政党の憲法素案のように日本の外国資本の不動産を接収すると、当然海外各国は自国にある日本の資産を接収して対抗しますので
日本は20倍損をする
ということになります。これだけで参政党の政策がどれだけ馬鹿か分かりますね。海外の日本の自動車工場がすべて接収されると基幹産業がなくなりますので日本経済は終了です。
また、「これから売らないことにする」としたとしても、現在の日本の不動産取引のうち外国人が占める割合はだいたい3割強(シンガボールからの投資がデカい)ですので、これがなくなると建設業界、不動産業界、建設資材などが総倒れになり、日本経済は真っ暗になります。
デマを真に受けてこんなことしようものならマジで真っ暗ですよ
で、国政別シェア、つまり今どこの国が日本の不動産に投資しようとしているのか見ると
中国本土なんてどこにもない、誤差かよ ww
ということに驚きました。
マスコミやSNSでは中国が日本の不動産を買いあさっている印象ですが、実際には中国はいまお金が無く、日本のことが好きでもないので富裕層がいざというときのためにタワマン買ってはいるが総額でみたらたいしたことないんですね。
中国人が水源地を買いまくっているという古いデマ
さて、いまだにコレを言う人がたくさんいます。
2010年ごろから北海道で「外国資本、とりわけ中国系が水源林を買っている」という記事が相次ぎ、57件中21件が中国関連という道庁の集計(面積 1,039 ha)が話題になった。これを受け北海道は 2012 年に全国初の水資源保全条例を制定し、売買前の届け出を義務づけて実態把握を開始した。ソース
という15年も前のネタを引っ張って中国脅威論を言う人がいます。この件は脳連水産省の林野庁も毎年調査をしています。レポート
中国人全然いないし・・・・www
用途欄の大半は「資産保有」「別荘・宿泊施設」で、水利用目的はゼロです。
で、ここからが面白いのですが・・・・
Wikipediaにのってます。原野商法です
NHKでも報道されました
”水資源が狙われている問題“を調べてみた
「日本の水資源が狙われているらしいー」インターネットを中心に広がったこのうわさ、記憶にある方も多いのではないのでしょうか?そのきっかけとなったのが北海道庁が発表したある調査。資産価値の少ない森林が外国の法人や個人によって相次いで買収されていたことが発覚したことでした。あの騒動から8年。本当に水資源は狙われていたのか?調べてみると、意外な真相が見えてきました。(札幌局記者 藤本智充 川口朋晃)
8年後の検証です。
どうして、外国の法人が資産価値の少ない森林を買収するのか。謎の現象に、自治体をはじめとする関係者は頭をひねりました。
そんな中、インターネットを中心に「日本の水資源が狙われている」といううわさが広がり始めたのです。
いまだにこのデマを信じている周回遅れがいるんですよ
海外の富裕層は自慢したくてニセコに土地を買うそうで、「1500円の原野を、香港の富裕層に5000万円で売ったケースもある」ということです。ww
水源林は開発行為が森林法で厳しく規制され、水をボトリングして輸出するにはさらに食品衛生・水利権など多重の許可が必要で水目当てでは資産にならないのです。
ではどうして、誰が売ったのか・・・・
北海道の水源地への投資をめぐって、2010年代に数百人の高齢者から25億円以上をだまし取った詐欺グループに関しては、2019年までに45人が逮捕されてるんですよ。www
北海道の水源開発への投資を持ちかけて客から金をだまし取ったとして、大阪府警など9府県警の合同捜査本部は12日、詐欺容疑で、住所、職業いずれも不詳の蛇嶋(じゃじま)勝士容疑者(46)を逮捕した。府警は認否を明らかにしていない。府警によると、蛇嶋容疑者らの詐欺グループによる被害は全国で25億円超とみられ、捜査本部はこれまでにグループの統括役ら45人を逮捕。蛇嶋容疑者はグループのナンバー3で、平成24年に指名手配されており、12日に高松市内で発見された。
要するに
日本人詐欺クループが水源持ってると金になると
高齢者や外国人を騙して売りまくった
日本侵略のために買ったわけじゃなくて
詐欺にはまったただけ
というお話。
結論で言うと中国人は金にしか興味がない。だから侵略のために水源を買ったのではなく、水源投資詐欺にはめられたわけですね。w
で、それに懲りてもうなにも買ってない・・・・ということでした。
外国人に関しては過度のデマが多く、SNSを通して広められると知識がなくリテラシーの低い人たちは何の疑いもなくそれを飲み込みます。帰化人が僻地に集まって独立宣言したらどうするというのもありますが、そもそも日本の法律でそんなことは不可能だし、メリットがなんかひとつでもあるのかを考えたらやる確率はゼロです。帰化していたら日本人ですから元々の国の庇護なんてありません。
こうした妄想に基づいて外国人を追い出せとか騒ぐ人たちには本当に警戒が必要だと思います。