どうしてクラウドソーシングではお金持ちになれないか

2016年2月25日

昨日のブログがバズりまして、そういうときはいつものように最後まで読まない人がたいへん多くなります。こちらの言いたいことは「金持ちはけしからん。われわれ低所得者の生き血を吸っている」「政治が悪い、この世は平等じゃない」と叫ぶみなさんに、「金持ちはあんたらの分の社会保障とかいっぱい負担してるんだよ、不平言うより努力してあなたも金持ちになったらいいんだよ。頑張って稼いで税金一杯払ってみんなで幸せになろう」ということを言いたいわけでありました。

しかしながら、最後まで読んで「よーし頑張る」というコメントくれるのは、だいたいがすでに高所得者か、高所得者になり得るみなさんばっかりで、不平言ってるみなさんは最後まで読まない。いや「読めない」。でもって前半でつまづいて「働いたら損」とか「低所得者層はみんな怠けものか」みたいなどうでもいいことに絡んでくる。煙草とパチンコとソシャゲと風俗やめるだけで年間に下手したら100万くらい浮くから、3年で300万貯めて労働者から経営者になれるわ、ホンマ。

で、調子づいたところで、昨日に続き本日も

お金のはなし

行きます。ネタが転がり込んできたからです。

クラウドワークスの決算で明らかになったこと

まずはこちら

クラウドワークスで月収20万超え、わずか111名。働き方革命の未来はどこにある?

クラウドワークスやランサーズなど、いわゆるクラウドソーシングが出てきた時、一部の方達は「これでみんな簡単に起業できる時代が来た。サイコー。将来はバラ色」的に騒いでいらっしゃいました。が、わたくしは最初からかなり否定的です。検索したらこんなエントリーを2年前に書いてました。

クラウドソーシングってどうよ、についての私的見解

いやあ、我ながら見極めてるな〜と・・・。で、今回上の方の記事では非常に細かく分析されています。クラウドワークスさんも上場されたので細かなところまで開示せざるを得ず、苦しいところです。もともと2014年11月、1億円以上の経常赤字を抱えて上場したのだが、今回の開示では

通年要素は単純に4倍の40億の売上に対し営業費用の増加を見込み、営業赤字は△8.5億に膨らむ見通しです。

と、どんどん赤字が大きくなっている。登録ユーザーが80万人で総流通額の今期の予想が40億。目標達成したとしても登録者1人あたりの売り上げ(っていうのかな)は、ええっと・・・

40億 ÷ 80万人 = ぴったし5000円 (-_-)

まあ登録していても全員がお仕事ゲットできるわけではないが、一番のツッコミどころが

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月20万以上稼ぐ人が80万人のうちたったの111人・・・

という仰天の事実です。しかもそれを「昨年度から倍増!!」って高らかに歌い上げなくてもいいのにと誰もが思います。でもって1人あたりの 年間の契約額ですが・・・

2013年9月  5.11億/6.7万人 = 7626円
2014年9月  15.85億/22.5万人 = 7044円
2015年9月  28.06億/73.7万人 = 3807円
と、どんどん下がってきて・・・今年度予測では登録ユーザーがほとんど増えない前提になっていまして
2016年9月予想 40億/80万人 = 5000円
ムリクリに単価を上げてる気がするんですよ・・・いままでのようにユーザーが増え続けたら単価がますます下がってしまうもんね。

で、結論からいうと、

起業してクラウドソーシングのみで食ってくの無理

だと思うんです。もちろん最低限ぎりぎりの生活で離島に住んで畑仕事でもしながらというなら生きていけるかもしれないが、結婚して子供作って将来の貯金をしてとか、人間らしい生活は無理でしょう。80万人の登録者の頂点を極める111人の平均月収が34.4万。年収400万。サラリーマンならいざしらず、フリーになるならこの3倍は稼げないと、そもそも独立する意味がない。

どうしてこんなに稼げないかっていいますと、上のエントリーにも書いた繰り返しになりますが

1 発注者は神というビジネス構造
2 素人の発注者が極安な単価で発注
3 たくさんの競合による食い合い
4 安くてもいいからやるという人の集まり

という、あたかも日雇い労働者が群がる手配師みたいな情景になってしまうからですね。

昨日も書いたのですが、給料でやってる以上、ハイレベルな経験積んで外資にヘッドハンティングされるとか、強烈な競争くぐり抜けて大企業の役員に登り詰めることでもないと、年収数千万の域は夢です。しかし自営業だとラーメン屋店主とか、美容室経営とか、内装屋さんとかをはじめ、年収1000万程度ならそんなに高い壁じゃないんです。こちらのエントリーに書いた内容ですが

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中小企業庁の1997年というちょい古いデータですけど
年収1000万以上を比較すると
20代 自営業 2.1% サラリーマン0.5%
30代 自営業 2.9% サラリーマン0.6%
40代 自営業 3.3% サラリーマン1.1%
50代 自営業 3.5% サラリーマン3.5%
60代 自営業 3.1% サラリーマン1.0%
となり、50代のサラリーマンを除くと、自営業の年収1000万以上の比率は、サラリーマンを圧倒してます。さらには自営業は「経費」が使えるので、使えるお金はかなり多いのです。ただ経費では住宅ローン払ったり子供の学費が払えないので、給料はそこそこは自分に出しているはずです。

昨日書いた「リスクを取らないと高収入にはなれない」というのは、人から給料をもらっている間は高い給料はほぼ無理って事です。社長はリスク取ってるので自分に高い給料を出せるのです。会社の借金は社長が個人保証つけてるから、会社が飛んだら個人破産ですよ。だから死ぬ気でやってるのです(やってなくて飛ぶ場合もあるけど)。

もうひとつ、起業で成功するには「営業力」が非常に大事になります。ラーメン屋や内装屋などのサービスや販売業は営業力がキモなんです。ところがクラウドソーシングには「営業力」が必要とされないから、人と話したりするのが苦手な人でも登録できる代わりに、安い労働力を提供するしかなくなるわけ。
起業で失敗しちゃう人の多くは「営業できない人」なんじゃないかと思うわけです。

で、こう書くと「自分は営業できないから」とか「人見知りだから」とかいう人がけっこういるんだけど、営業力って言うのは口が巧いってことじゃないの。飛び込み営業するガッツとかでもない。いやむしろ、自分から仕事を下さいと回ると足元を見られて安くなる(これがクラウドワークス)。相手に「仕事お願いします」といわせるインバウンド営業のほうが重要なのです。

これはつまり、自分自身のオリジナリティをどうやって表現できるかってこと。面白いブログ書いて集客するのも営業だし、本を書いて集客するのも営業。素晴らしい絵を描いて人を惹きつけるのも営業だし、店内を清潔にピカピカに磨いていい印象もってもらうのも営業。素敵なチラシを配って歩くのも営業。相手を気持ちよくさせる気配りも営業。みんな営業。これはもう自分の仕事が好きじゃないとできないわけさ。


個人タクシーの運転手さんでも、めちゃくちゃサービスが良くて暖かくて、贔屓にしているお金持ちの方々にいつも長距離のご指名を受けてる人だって絶対いると思うんですよね。でも↑みたいなヤツの車には二度と乗りたくないから、絶対お金持ちにはなれません。いやいや仕事してるんだからさ。

これができない人、いやいや仕事をしてる人は、一生、安い給料でこき使われてるしかないということで、本日の乱文、失礼いたしますっ!!

本日、これが届きました。数日中にはレポート書けると思いますぜっ

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