LINEはどこでお金を儲けるべきか。土管には土管の道がある

2017年7月16日

注目を集めた「LINE株」は初値の2割安 上場1年、先行投資の成果焦点

LINEは昨年7月、東証1部とニューヨーク証券取引所に上場。東証での初値は、公開価格3300円を大きく上回る4900円と好スタートを切った。ただ、その後は主に4000円を挟んだ値動きで、14日の終値は3875円。株価純資産倍率(PBR)などの指標でみると低水準とはいえないが、右肩上がりの上昇とはほど遠い。初値からの下落率は20・9%だ。4月26日に発表した平成29年1~3月期連結決算は営業利益が前年同期比24・6%減の40億円。翌日の株価は約10%下落するなど、株式市場に失望感が広がった。利益を圧迫したのは格安スマートフォン事業や動画配信事業などへの投資だ。

LINEはもとライブドア。ライブドアと言えば3年在籍した古巣なので、LINEも古巣が形を変えたみたいな感じでまだ知人もたくさんいる。社長の出澤さんは昔は机が隣でした。そんなわけでLINEについてはなかなかコメントしづらいのであるが、このニュースが産経に出ていたのでちょっとコメントしてみる。

ユーザーは本筋以外には手は出さない

結論から書きます。
いままで何十年もやってきまして、Webサービスで分かったことがあります。それはユーザーがある目的をもってサイトとかサービスにやってきた場合、それ以外のものには手を出す率は非常に低いって事なんです。

つまり・・・・買い物したいならメルカリとかAmazonに行く。だからLINEが物販しようとしてLINEモールを開設したけど、全然売れなくて撤退した。いまのLINEショッピングは単にYahoo!とか楽天に送客するアフィリエイトだ。

実はライブドア時代に携帯キャリアのプレゼンを依頼されたことがあります。当時も携帯キャリアはいろいろ土管以外のビジネスを模索していたけど、ECがやりたいってオークションやったり物販やっても全く売れなかった。ガラケー時代はデフォルト画面はキャリアのサービストップだったりしたはずで、相当にアクセスがあったけど全然ダメ。

Facebookは6年前にソーシャルコマースとか言い出して、楽天も対応してFacebookで買い物できるようにしようとしたけど、どっか行っちゃった。2011年の楽天のリリースがまだ残っていて草が生えまくってる
楽天市場 ソーシャルコマースサービス「楽天 S4(エスフォー/Super Social Shop Service)」の提供開始

実はこんなもの売れるわけがないと予言していた私を誉めてください。割とすげーな、オレ。
「ソーシャルメディアを使って業績躍進は至難の業」と言ってみる。王様の耳はロバの耳・・・

もっとわかりやすい例。

凄く昔の話。1日何万人も見るアダルトサイトがあり、そこに広告を入れたみたいというので試しにと「女の子にプレゼントしよう」みたいなEC広告を入れてみた。PVはむちゃあるし、クリックも1日数千人きたけど、全く売れない。つまり目的が違うんですよ。いくらアクセスがあっても目的が違うと全く反応しないのです。

これを巧く使ったのがGoogleのAdSenseで、いまならこのアダルトサイトにはそれ用の広告を入れてくる。一回見た広告やさっき見たサイトの広告が追いかけてくるリターゲティングというのもあるが、これは「この人はこの広告に興味があるはずだ」と判断しているから。さらにブログ記事の内容を読んで、内容に最適化した広告も出している。たとえばこのエントリーだと「ネットに広告出してみませんか」的なのが出てきたりするアレよ。

これは実際の路面店でも似た感じはある。たとえば自分のジムではフロント前でいつも無人の「北海道物産店」とか「沖縄物産店」をやってるのだが、買ってる人見たことない。イカめし買った自分を誉めてやりたい。ジムならアミノ酸とかプロテイン売ったほうがよほど売れると思うけど、お堅い大メーカー系のところだからわかんないのかなと思う。

テレビコマーシャルがアレで成立しているのは、物凄くたくさんの人が見ているからコンバージョンが物凄く低くても成果は一定はでるからです。

ではLINEはどういうビジネスなら売り上げが伸ばせるのか

いろいろ試してだめなものはボツにしているのであろうが、AmazonペイメントのようにLINEペイメントは普及しないと思う。なぜならAmazonは買い物のためだからカードを登録してペイメントの設定をするのが当たり前だが、LINEは単に「土管」だから、LINEペイメントを使おうと思えば新たに設定する必要がある。こんな敷居が高いものを早々設定するの業界人だけ。自分も設定して1万円いれたけど使い道がない(スタンプも買えない!!)。最初にLINEモールで牛肉試し買いしてまだ6939円残ってた。どうしますか、これ。ここから使える店にでもリンクしてくれないと永遠にこのままですか・・

携帯キャリアなら毎月の支払いがあるから、それに乗っけて請求してもらうやり方も成立するのだが、LINEはもともと無料だからカードや支払いを登録することがない。そこからやれよって言うのはキツいのです。

いま、LINEは「格安スマートフォン事業や動画配信事業などへの投資」に舵を切っている。

予約販売を始めたAIスピーカー「WAVE」の価格は1万円で、今月下旬から発送を始める。当面は先行体験版として、LINEの音楽配信サービスと連携。会話により、その時の気分に合った楽曲を選んでくれるという。同社は、AIを「スマホの次の時代の中核サービス」(出沢剛社長)と位置づけている。

なんだが、LINEと音楽って親和性あるのかな。これをGoogle PlayMusic、Apple Music、Spotifyが出すなら分かるんですよ。音楽を聴くのが目的の人たちだから、そこでそういうものも買うかもしれない。が、LINEはそもそも音楽を聴くためのものじゃないから、どうもシナジーはない気がするんだな、これは。

LINEはなんのために使うのかというと、会話のためである。だからメッセンジャーに、通話でも使う。土管というのはこの仕組みのことなんだが、一番お金にしやすいのはこの部分だよね。だからスタンプは売れた。が、自分もかれこれ50は買ったけどももうカナヘイさんの以外はずっと買ってない。そんなにたくさんあっても使い切れない。

であればですねぇ・・・・
素直に会話に課金できる有料オプションサービスを設定したほうが早いんじゃないかと思うんですよ。たとえば

◆月額300円でどんなスタンプも使い放題サービス
◆セキュリティが高く、会話内容をすべてアーカイブできて過去ログの検索がもっとちゃんとした高機能タイプ
◆外国語との会話を自動翻訳するサービス(docomoのはなして翻訳みたいなののテキスト版)
※これで外国人とのやりとりは自動翻訳だが音声じゃないから楽でしょう。いちいち翻訳ソフトにいれたりしなくていいから楽
◆暇なときにAIと会話できるSiriみたいなやつ。二次元嫁ならぬLINE嫁

みたいなのね。
これだったら、自分は課金しても良いよ。他のサービスで有料オプションに課金してるのいくらでもある。iCloudにAmazonプライム、DropボックスにEvernote、波情報にこの間まだの食べログだ。月にけっこうな額を払ってます。

とまあ、LINEの例を挙げたけども、これってどんなことにでも共通している。人通りが多くたって目的意識の違う店舗を出してもだめなんよ。原宿に産地直送の八百屋とか、観光地にタレントの名前を冠した漬物屋とか(買って帰りたいのは現地のお土産だろ)、フジロックでラッセン売るとかね。


同様に豊洲に千客万来っていう商業施設をスーパー銭湯の万葉倶楽部が作る予定が撤退ということなんだが、前からこんな施設で買い物する人なんかお上りさんだけだと思ってた。だからすしざんまいも撤退したんでしょ。
「残念だ、小池ガー」とか言ってる皆さんは、できたら毎週こんなところに行く気満々だったのか聞きたい。万葉倶楽部などのスーパー銭湯にはよくいくけども、お土産売り場に人が並んでるところなんて見たことない。

築地の飲食店街に観光客が行くのは、昔ながらのごちゃっとした築地の街で、昔からの築地の空気で市場直送のネタを提供する老舗だからで、アウトレットのフードコートみたいな「お土産屋さん臭プンプン」のとこで買い物なんかするのかね。田舎からお爺さん、お婆さんが観光に来るには、豊洲って無機質でコンクリート臭満載で、観光スポットというイメージじゃないんですよね。ここ、本当にどうなのか、ちゃんと考えた方がいいよ。

本日はこれからこれを見るのであった。暑いからAmazonビデオで。

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