わたしはコレでリクルートを辞めました、からつながる話

2016年2月12日

昨日書いたエントリーで映画のオデッセイと原作の「火星の人」の差分ってどうなのかと思っていたら、実はけっこうなシーンが省かれていたことが身内の証言で分かりました。

「火星の人」の中では、救助に向かうヘルメスのクルーが自分の家族との通信を許されるシーンが面白い。ヨハンセンというエンジニア女子が地球の父親と会話するのだが、「絶対に帰れるから心配しないで」というのだが何かを隠している。父親が人生で1回だけ答えてくれといい彼女が回答する。「もし物資を積んだ中国の探査機と会えなかったらどうなる?」
この回答が凄い。凄すぎて鳥肌が立った。たぶんこの内容はグロすぎて映画に向かなかったと思うのだが、この内容を知るだけで原作読む価値があると思います。それだけ凄い覚悟だったという話なのだ。

それはさておき、さきほどアシスタントの由良さんと次号のメルマガの口述筆記をLINEの無料通話でやってたとき、面白いことを思いだしたので今日はその話です。なぜ自分はリクルートを辞めたのか・・・

自分が辞めたとき、カーセンサーという事業部門にいました。昔、キオスクで売ってた分厚い情報誌で、いまはネットだけになっております。もともと中古車情報誌だったのだが、ある時、突然のように江副元社長が「今後は新車と中古の総合誌になりなさい」と言い出したのだ。江副さんは当然のように車業界には疎い。

で、当然ながらうまくいかない。なぜ巧くいかないかはこのあと書くが、行き詰まってしまった。当時、プランナーとして勤務していたので、カーセンサーで行っていた大規模な顧客調査を徹底的に読み込んで、「新車を購入する時の一番のポイントはカタログを手にするタイミングである」に気づいた。
そこで新車メーカーに営業して、カタログの縮小版を挟み込むことにした。最初は日産で次々と各メーカーや輸入代理店が参画してくれ、追跡調査である程度の効果があがることがわかり、「これだっ」ということになったのだが、またある日、うえのほうから「ブック イン ブックは邪道だからやめろ」というイミフな指示が降りてきて、この企画は売ってはいけないことになったのです。

まあ、それでけっこうやる気は無くしたが、ではということで江副さんにむけて、70ページくらいの上申書を書きました。内容は自分でユーザー調査を読み込んで「新車と中古車の総合誌がビジネスとして成り立たない」というレポートでした。同期が社長室にいたので、江副さんに読んで頂きたいと丁合してデスクに置いてもらった。いわゆる・・

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ところが3ヶ月経過しても読んだ形跡がないと聞いて、こりゃ見込みはないわと退職することにしたのでした。その数ヶ月後にリクルート事件が起きたのでござるよ。

余談だが、今の会社の方針について不満があり、こんなやり方じゃダメだと思うかたは、飲み屋で会社の悪口言ってるより、社長にプレゼンした方がいいと思う。自分の場合は社員数が万に達しようという時代だったが、そんなことしたのは自分くらいのものだろう。万が一、社長が読んでくれたらいいことがあるかもしれないし、読んでくれなかったり、スルーされたら辞めるのになんの気兼ねもなくなるからオススメです。

ユーザーレポートから読み取った仰天の事実

このユーザーレポートは広告主に無料で配布されていたもので、社内秘じゃなかったので念のため。

で、自分が一番注目したのが、「車を購入したときにほかのなにと比較したか」という項目なのであった。その関連項目を読み込んでいき、生の調査データも紐解くと、びっくりする事実が浮かんできました。ひとことでいうと

新車と中古車のユーザーはほとんど別モンだった

のであります。
たとえば200万の予算があるとする。これで2011年式のBMWの3を買うか、トヨタのアクアを買おうかと悩む人は、ほとんどいないのであった。殆どの人は予算があるとするとその予算で買える中古車なら中古車、新車なら新車で探すのです。たとえば新車だと300万だけど3年落ち中古の200万を買う人は最初から新車を買えるだけの予算がないことが大半であった。

新車の場合も同等で、200万の予算でアクアを買うか、シャトルを買おうか悩んだとしても、選択肢には中古のゴルフは入ってこないし、中古のオデッセイを検討するかという選択肢もない。いや正確には10%くらいはあったけど、これでは総合誌なんて無理に決まっている。
ブック イン ブックのカタログ作戦がわずかながら効果が認められたのは、「新車を購入するきっかけはカタログの入手」というところに触れて、実際にカタログ見たら「新車もいいな」になったという人が出たのと(もともと新車に興味がないのでカタログ入手に動いていなかった)、電車の車内づり広告や新聞で「××の新車カタログ付き」とやったので、ディーラーに行かなくてもカタログが入手できるということで雑誌を買っていただいたという2点があったわけです。

同じ事はいまの時代にもあるよね

ユーザーの車の購入動機データはいまも同じかどうかはしらないけど、それほど変わっていないような気がします。で、気づくと世の中にはいろいろ似たケースがある。

1 ポータルサイトの死

ネット黎明期には数多くのポータルサイトが立ち上がった。プロバイダも自社サービスサイトはみんなポータル風になっていた。しかしいま、きちんとポータルとして機能してるのはYahoo!くらいでしょう。しかしYahoo!だって全てのコンテンツに集客できているわけじゃない。ニュースとオークションくらいといくつかくらいでしょう。ほとんどの自称ポータルはいまや忘れ去られようとしている。

2 専門サイトの台頭

ニュースキュレーションにしても、「経済専門」というNewsPicksが気を吐いている。要はここ数十年で「総合」ではなくて「専門」の時代になっているのだ。新聞がみるみる部数を落としているのも、扱う情報が「総合」だから、いまの時代に合っていないというのも理由の一つだと思うんです。健康や病気について知りたいならそういう専門のサイトを見るし、経済についてなら東洋経済とかね。www

ペットの総合情報より、犬だけのほうがアクセスは増えるし、さらには日本犬だけのほうがユーザーを集めやすいかもしれない(もちろん内容にもよるけどね)。

そんなこんなで、わたしの引き出しの数がかなり多いのは、若いときからずっと「あれ?」と思うことがあったらデータをひっくり返してあれこれ推測して仮説を立てるというのが習慣になってたからかもしれないです。

本日もKindleの日替わりセール見たら、読みたかったけど高くて買わなかったグルメ漫画の「あたりまえのぜひたく」が1188円から399円になってたので迷わずゲット。Kindleの日替わりだけで生きていける感、半端ない。

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