起業したい若者が自己啓発セミナーにはまるわけ

2014年7月4日

基本的にブログは1日1回更新だけど、どうしても書きたいことがあったので本日2本目です。
「だよね、だよね」と膝を100回くらい叩きたくなる記事がブロゴスに出てた。

起業したい若者を餌食にする輩に注意

最近、オレオレ詐欺などは、マスコミでも非常に問題視しています。しかし、こういう若者を餌食にする詐欺まがいの起業セミナーなどは、『若いうちの勉強料で仕方がない』とか、『騙される奴がバカだ』とか、自己責任的な形で放置され気味です。

(1)”けっして儲からない”高価なインチキ商材を売る「悪徳情報商材屋」
(2)違法なマルチ商法(「連鎖販売取引」については、不実の告知及び威迫、困惑行為の禁止、誇大広告の禁止、等が定められているので、必ず儲かる系は完全に違法)
(3)洗脳系高額自己啓発セミナー

が、ネットでよく見かける3大悪徳商法と思っているのだが、上記のケースは3番目だ。大手出版社も1000万位払えば自費出版してくれる今、Amazonにもそうした本がたくさん売られている。特徴的なのがカスタマーレビューで、身内のステマと冷静な人の最悪の評価に真っ二つに割れて面白い。

この3つともセールストークは共通していて「儲けさせます」ということで多額のお金をむしり取る。ただ「儲けさせます」の本当の主語は「あなたを」ではなくて「わたしを」なわけ。客からむしり取った金で富を築いているわけだ。共通するパターンは「昔はダメダメ人間だった」「失敗して破産してそこから這い上がった」というストーリーが必ずくっついている。なぜかというとダメ人間をはめるためだ。つまり主催者が

自分がどん底から這い上がった方法教えます

という時点で、「きたよ」と思えばいいだけなのだ。実に簡単。

さて、こうした商法に引っかかるのは、リテラシーが低く、不勉強で、欲の皮が突っ張り、さりとて働きたくない知的レベルの低い怠け者と相場が決まっていたのだが、最高学府をでて「起業したい」と考える、どちらかというと野心的な若者がはめられるということはどういうことなのか。本日はこれについて語りますよ。

いまの若者は習えばできると思っている


ぶっちゃけて言えば、「起業」なんていうのはギャンブルです。ギャンブルは運と才能です。一生懸命働くというのも才能のひとつです。努力するのも才能のひとつです。「ギャンブルの心構え」や「こういうギャンブルが向いている」というセミナーをいくら受けても勝てません。だったらどこかの人みたいにプログラム作って多額の資金をぶっ込んだ方がまだ勝てるかも。ラスベガスとかではデータ分析用機器類の持ち込みは禁止されているようだしね。

実はわたくしも起業希望の人をひとり育成してます。へたしたらセミナーより高いかもしれないけど、ビジネスモデルの超ダメだしから要件定義、リサーチ方法から、スタッフ集め、会社設立まで細かくアドバイス。でも基本はアドバイスだけで自分でやらせます。講義なんてしません。もうすぐ「永江さんに鍛えられてます」ブログがスタートするのでお楽しみに。概念論とか心構えなんて教えない。そんなの教えないとわからない人はそもそも起業に向いてないから。もっと具体的な最下流の部分を一緒に考えております。

追記:もちろんゴルフにもテニスにもスクールはあるが、わたし同様に「具体的に巧くなる方法」を教えるわけです。プロになる心構えや精神論で高額なセミナー代金を取ったりはない。プロになるには効果的で地道な練習の積み重ねが必要なわけで、実際に起業セミナーなら資金調達、経理の仕方、雇用に関する法律、経営に必要な法律知識を教えるならまだしも、抽象的な精神論」だけということは、教えている方に全く起業の知識が無いことを示してるようなもんです。

ではなんで若者がこうしたものにはまってしまうのか。思い当たることがありますので前段が長くなりましたが例を挙げてみます。わたくし何度も書いてますように、この年でサーフィンしてます。ショートボードです。たいして巧いわけでは無く、日本なら平均レベル。ショップ主催の大会でオヤジクラスに出て、2位、3位ばっかりで優勝できないレベルです。
サーフィンブームというのはいままで2回あり、まずは70年代後半から80年代初頭、そしてバブル崩壊後にロングボードブームというのがありました。キムタクとかそういう時代ですね。
で、サーフィンというのは格闘技みたいなものでして、そもそも体ができていないと全くできないのです。夏だけ総合格闘技やってますというのがあり得ないように、夏だけサーフィンとか絶対にありません。筋肉が付くまで何年もかかる。だいたい300回くらい海に行ってやっと初心者脱出くらいじゃないかと・・・

ところが知恵袋にはこういう質問がたくさん出てます

ちえ

ハワイのサーフィンスクールにいってサーフィンはじめたい

 →観光地の陶芸体験にいって陶芸家になれるのか?

サーフィンスクールに通ってできるようになったら道具買います

 →300回行くとしたら300万位の初期投資いるね

こんな質問がループのように延々と投稿されるのであります。

実は現在、現役サーファーの平均年齢は日本では軽く40歳は超えているはず。海は加齢臭でいっぱいなのだ。こうしたおじさん達の大半は会社で仕事より波乗りを優先するため、台風が近づくとかならず有給、半休を取るので出世しない。しなくてもいいと割切っている。毎週必ず海に行くし、年1で海外も行くので年間の支出は100万円を軽く越える人が多く、けっこう地味です。わたしの友人はこんなんばっか。クルマは3年で走行10万キロは軽く超える。対抗できる若者は地元の子しかいない。

つまり、サーフィンできるようになるためには、このおっさんらと同じ人生を歩まないといけないのである。体験スクールに数回いって同じラインに立てるわけが無い。生き方が違うのです。

起業も同じなんである。起業してそこそこ競争に打ち勝つためには、すでに成功している先駆者たちとバトルして勝たないといけない。WEBデザイナーでもコピーライターでも建築家でも、カフェでも、すでに成功している人たち、つまり経験値もお金も、努力する才能もみんな備えている人たちと戦うのである。そこで必要なのは「運」と「才能」と「これやりたいという強い気持ち」であって、心構えや精神論ではない。サーフィンでいうと「海行くために全てを投げ捨てられること」なんである。これは別に精神論ではなくて「単に好き」だからです。精神論なんて成功した人があとでぶち上げるものです。精神論で勝てるなら第二次世界大戦で日本は連合軍に大勝利してたし、ワールドカップで優勝してた。

わたしのメルマガにも時々、エンジニアになりたいけどどこの学校にいけばいいのか、どんな本を読めばいいのか的な質問がくる。ザッカーバーグは学校でプログラミング習ったの?習ってないっしょ。ホリエモンドットコムにMicrosoftの天才プログラマーといわれた中島さんのインタビューが出てて面白かったが、誰にも習ってないよ。自分で調べて自分で経験積んだ。好きだから言われなくてもするし、役立つものを自分で探しまくる。

習うって時点で受け身だからプロにはなれない

と思うんです。わたし。「習う」と「鍛えられる」は違うんだよ。

今の若い子って少子化だから、親は何でも与える。いい学校に行くためには塾に行って教えてもらう。就職についても心構えや面接の塾に行く。すべてが習うっていうスタンスの人が多すぎる。大学の講義とかたまに呼ばれると、今の子は全く質問しないって先生が言う。とにかく受け身なのだ。実際に社会や企業で高く評価される人は、「自分で考えて自分で行動する力がある人」だと思うんだけどなぁ。しまった精神論をぶってしまった・・。

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