【本日の講座】電子書籍の自費出版についての明確な具体例「ちちチーズ」

2011年12月19日

自分の生きてきた証としてなにかかたちになるものを残したい。こう考える人は多いようで、自費出版がブームらしい。出版社も本や雑誌が全然売れないしマーケットはどんどん小さくなるしで、リスクの無い自費出版で稼ぐところが増えてます。自費出版の目安はだいたい500部刷って150〜200万円ということらしい。しかし、一部の自費出版サービスが問題になってるようです。

もっともトラブル【ちょっと古いネタ元】といっても、どう考えても騙される方がバカ、というのもけっこうある。たった500部しか刷ってないのに「全国の本屋に置かれると思った」というのが典型だ。自費出版じゃ無い出版社負担の場合は、有名作家でも無い場合は初版4000部くらいが当たり前。しかしこれが売れただけでは増刷してくれないと出版社はペイしない。
そして初版4000部程度でも全国の本屋になんて並びません。大手書店のジャンルのコーナーに一冊ひっそりと入るだけです。
本屋の数は減ったと言ってもまだ日本には15000店もあるわけで、15000部刷ってやっとすべての本屋に一冊ずつ配給です。だから500部で平積みなんて物理的に絶対に不可能。500部で全国の書店におかれると思ったという人は、どう考えても頭が足りないでしょう。

いくら減ってるったって書店はこんなにあるんです

卑しくも自分で本を書こうという意志があるならそれくらいの常識は持って欲しい。つまり自費出版の目的は3通りしか無い。

1 天文学的な確率でベストセラーになることを期待

※200万かけるなら宝くじ200万円分買った方がいいと思うが・・ちなみに宝くじで一等が当たる確率は約1/1000万らしいので、200万円分買うと確率は0.2%になります。200万円分の宝くじを500回買えば一等が1回は当たる確率。ハァ

2  自分の箔付けに使用する

怪しいコンサルで、主に地方とかで講演開いてそれで食ってるような方は、自費出版で本を出して「××から本が出ました」ということを売り物にしているケースもけっこうあるようです。「Facebookでイイネを短期間で大量に集めた実績」と言って実際にはいいねを買ってるのと大差ない・・・

3 自己満足。なにかを残したい

一番多いまともなのはこれじゃないでしょうか。知り合いや親戚に配布して自己満足。しかし自己満足に200万使ってしかも知り合いにしか読んで貰えないのは悲しくないですか? 中古のポルシェだって買えますよ。まあ人それぞれですが・・

 

で、電子書籍となるわけです。これだったら家に何百冊も何千冊も山積みになってほこりをかぶる心配も無い。義理でしぶしぶもらってくれる親戚と違い、縁もゆかりも無い人が買ってくれるかもしれないわけですよ。それになにより200万もかからないですから。

今回、私の古くからの友人で、ライターをやっている寄本好則さんが、これまた古くからの知り合いのカメラマンの寺川さんと組んで「出版不況とか嘆いているだけではなにも始まらない。自分たちでとにかく始めよう」ということで知り合いのプログラマと組み、「3on3 project」というデベロッパを設立。その中で読み物アプリの「パコパコシリーズ」の第一弾がこれです。

最初は星新一風で読みやすい。が途中でラヴストーリー。ラストはハッピーエンドでテレビドラマのネタに困ってるシナリオライターの方はぜひ著者に交渉ください(笑)。緩い脱原発系の話が出てきますが、3.11よりずっと前のあ2007年に書いていた小説とのこと。3.11のこともあり、小説のテーマが個人的に「世の中に発信しておきたい」と思えるものだったので、たまたま完成した「A.reader」を使ってリリースしたのだそうな。

今回はアフリケーションから開発したのでコストがかかったが、次回からはまあ一冊当たり5〜10万円くらい。自分で出したい方もこういうアプリ化を受けてくれる会社と相談すればこんなもんでしょ。
レイアウトにこだわる方は、自分でAdobeのIndesign買って割り付けまですればもっと安い。んで、だいたいの取り分はApple3割、デベロッパ3割、著者3割というのが相場。つまり350円のアプリなら著者の取り分は100円くらいだ。印刷の本の場合は印税5%というのが基準だから、1000円の本でも50円。
つまり自費出版と比較して、初期コストは1/20と安く、印税はずっと高いわけ。

「これで自費出版しても親戚や友人にあげられないじゃないか」

と思う素人さんも多いだろうが、Appleストアからメールでプレゼントが出来るのだ。 もちろん相手がiOS搭載したiPhoneかiPadを持っていないと読めないのだが。らくらくホンオンリーのじーちゃんとばーちゃんには進呈できないからそういう場合は自分でプリントアウトでもしてください。500人にタダであげても350円×500人=17万5000円と印刷で自費出版するよりずっと安い。第一友人に贈りまくるのに送料がかかりませんがな。

仮に自分が売れない漫画家だったら、雑誌デビューに何年も編集部に通ってぺこぺこするくらいなら自分でとっとと作って販売します。そのほうがずっと早いし、ネットで取り上げられればメジャーになることだった夢じゃ無い(確率は高くないけど)

で、実際、どれくらいの部数がダウンロードされるのかというと、App Storeの有料bookジャンルでは、1位で一日あたり1100〜1200。10〜25位だと50〜100くらい。自分で腹決めて一日200人の友人にプレゼントしたら、その日はシングルにランクインします。

これって平積みとおなじじゃ?!

もしあなたの本の内容が本当に面白ければ、これでブレイク・・・・する確率だって宝くじよりは高いかもしれませんぜ

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