大塚家具は大チャンスを得たと自分は確信する。

2015年3月29日

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文句が出ないように大塚家具のサイトから写真借りました。ニュースサイトとかのは著作権あるから流用はダメだよ、バズメディアの諸君!こっちも著作権はあるけど会社がおおやけにしているヤツだからたぶん平気だし。

先週であるが、AKB総選挙は全く興味ないけど、大塚家具の株主総会は興味津々であった。マスコミの下馬評では父上有利ということであったが、マスコミがいかにアテにならないかは久美子氏61%、勝久氏36%という、ワンサイドゲームのような圧勝で明確になった。自分は周囲に娘さん楽勝でしょと吹聴していたが、周囲といっても5人くらいがせいぜいなので残念(笑)
ここまでけちょんちょんに株主から見放されては、さしもの父上もやる気を無くすでしょう。株主さんから超ダメだし喰らった感じだもんね。

決着!大塚家具、前代未聞の株主総会の全容

久美子氏側の用意した新任取締役は、リサーチャーだったり、金融出身だったり、三越のやイトーヨーカドーの元経営陣だったり、コンプライアンス専門の弁護士だったりと、これから攻めに打って出るぞという感が感じられた。株主の評価も高いでしょう。

反面・・・父上は「ネット販売なんて必要ない」と昨年の7月に娘さんを解任したあと閉鎖させたらしい。

大塚家具が通販サイトを相次ぎ閉鎖、理由は「社長と会長の事業方針の違い」

いやね。もうお口ぽかーん。センスがあまりにも古すぎて石器時代。これじゃボロ負けもあたり前。公衆の面前で現社長を罵倒みたいのもイメージ↓です。そういうのは企業の顔として失格ですよ、と、取り巻きの1人くらいご注進すればいいのにと思う。大量に広告打ったら売れるって、昔の中国解放軍じゃないんだから・・
それはさておき「これで大塚家具はお家騒動の悪いイメージが着いたから終わりだ」という声も高いが、自分はまさにいまがめちゃくちゃチャンスだと思う次第です。

現代の企業は経営者の顔が見えているほうが強い

いつも書いているけど、Amazonにせよ、Googleにせよ、Appleにせよ、アリババにせよ、シャオミにせよ、世界を席巻している企業はどれも経営者の顔や考え方が明確に見えている。新製品の発表は代表自らプレゼンする。

日本もかつてはそうであった。SONYや本田、CSKやリクルート、松下、京セラなど、創業者の顔がはっきりと見え、どういう経営方針なのかがはっきり見えた企業は伸びた。現在でも経営者の顔がはっきり見えている

トヨタ 豊田さん
ソフトバンク 孫さん
ドワンゴ 川上さん
ユニクロ 柳井さん
楽天 三木谷さん
日産 ゴーンさん
アパホテル 元谷おばちゃん

みたいなところはいい感じだが、反面いま絶不調の

シャープ
ソニー
スカイマーク
イオン

の今の社長の名前を言える人は何%くらいいるでしょう。街角インタビューやったらたぶん1%もいないんじゃないか。
もちろん一般の人に社長の名前は知られていなくてもファナックみたいにずっと成長している企業もあるが、社長の顔が見えてはっきりとした人物像が一般に認知されている場合、以下の点で優位性が出てくる。とくにB to Cの企業ではこれがでかい。ファナックはB to Bだもんね。B to Bなら業界で認知されれば一般認知の必要は無いです。
よってわたしがコンサルする場合、たいていのケースでは社長(または責任者)からブランディングをしましょうというのが基本です。だから担当者に全て任せますっていう仕事は受けません。

あの人だったらやる!という期待感

良くも悪くも、強い指導力があるトップのいる組織は強い。反面一度失敗するとワタミやマクドナルドや、ベネッセみたいにサンドバッグのように叩かれまくりとなり、逆に悪いイメージが定着してしまうのだが、トップにいいイメージがある場合、企業のイメージはそれと重なり、底上げされる。「超車好きのゴーンさんが復活させるGT-Rはたぶん凄い」とか「三木谷さんだからまたポイントばらまいてくれる(笑)」みたいな感じ。

これは消費者が社長のキャラクターと企業のイメージを重ねて見ているからだ。多額のコストを使ってテレビでコマーシャルを打ちまくるより、社長がマスコミの取材やカンファレンスで刺激的で大衆に好感を持たれるプレゼンをするほうがよほど浸透する。

永江式現代キャズム理論(笑)では
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こうした経営者に対する好感度はまずイノベーターやアーリーアダプターによって共有され、彼らが所属するマスコミやニュースサイトが取り上げることによってキャズムを乗り越えてアーリーマジョリティ以下に浸透していく。

今回、大塚家具屋姫は

●産みの父をも蹴落とすクールで熱い情熱
●しっかりとした戦略
●両親が株主総会でキーキーいってるのをなだめる冷静さ

みたいなものをしっかり見せたわけで、今後彼女がどのような経営手腕を見せるのか、一番注目しているのは島忠とか、ニトリあたりではないかと思うわけです。テレビや新聞や雑誌の取材依頼も殺到していると思われ、そこで「自分は大塚家具をこうしたい」という洗練された戦略と、消費者に対してのアピールができれば、父上が湯水のように使っていたテレビコマーシャルの何十倍もの効果があり、しかもそれは永続する。

名前の通った経営者には優秀な人材も集まる

わくわくさせてくれそうな手腕の経営者の元には「そのしたで修行したい、学びたい」という前向きな従業員も集まってくる。販売業に就職しようと思ういい学生を集められるかどうかは、久美子社長がこれからマスコミで何を語り、どういう戦略をとるのかにかかっている。

いままで大塚家具なんてほとんど誰も興味なかったし、社長なんて「たぶん大塚っていう人だろう」くらいしか知らなかった。が、これからは違う。株主の中には「知名度が上がって良かった」という人もいたが、会社の知名度があがっても悪いイメージだから意味ない。本当に意味があるのは久美子社長の顔や人間性が日本中に知れ渡ったことです。いまならサイバーの藤田さんや下手したら三木谷さんより一般人には顔が売れたと思う。

電車に乗っていても(乗るかどうかは知らない)、ファミレスでコーヒー飲んでいても(ファミレスに行くかどうか知らない)注目を浴びる。逆にシャネルで買い物したりすれば「家具屋姫をシャネルで発見、爆買中」みたいにツイートされてしまう(笑)。こんなんされたら一気に企業のイメージまで下がる。これってかなり重いです。

で、久美子社長が巧いな、悪い言い方するとずる賢いなと思ったのがこれ

大塚久美子社長「お詫びと感謝を込めてセールを検討」…大塚家具株主総会

「すべての大塚家具のステークホルダー(関係者)のおかげで過半数の支持を得ることができました。ありがとうございました。お礼を申し上げます」と第一声。今後について、「お客さまにお詫びと感謝を込めてセール企画を検討したいと思います。ご期待ください」とのプランを披露した。

凄い、賢い!! 炎上商法!!

父上なら全く考えもつかなかったであろう戦法!!!
おそらくセールが発表されればマスコミがこぞって取り上げる。朝のニュース番組とか生活情報番組なら取材にレポーターも派遣するでしょ。セール会場には久美子社長も登場して自ら接客するんです。楽天の優勝セールくらい盛り上げられれば最近のドタバタで落ち込んでいた業績も一気に取り戻せる。

しかし行ってみたらセールとは言えないセールまがいだったり、楽天みたいに二重価格だったりするとそこで終わってしまうから、かなり内容は練る必要があると思いますけどね。単なる在庫処分じゃなく、ひとひねりもふたひねりもしてほしい。自分もこのセールは行ってみたい!

あと、大塚家具のネットやスマートフォン対応ははっきりいって10年以上遅れている。じじばば相手にするのでなければこれは必須だと思いますよ!
ネットへの浸透率は、教育レベル、収入レベルに比例している。ターゲット層を上に取るなら、ここは絶対外せないんです。

自分は創業者ものとかはほとんど読まないのだが、これは面白いよ。特にお気に入りはキチガイ扱いされながら48歳にしてインスタントラーメンを作った日清の安藤百福さんの話。起業は年齢じゃないんですよ!!

大失敗にも大不況にも負けなかった社長たちの物語

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