旅館が富裕層インバウンド対応で生き残る道

2017年8月17日

最近、旅行系とか宿泊系の仕事でけっこう考えることが多い。
以前に書いたエントリーですが・・・・

松屋も和民も業態変えて伊東園形式の食べ放題にすると良し

伊豆をはじめ、日本中を席巻する伊藤園方式のホテルと旅館。ちょっと前にはテレビでコマーシャル流してた熱海の大野屋とかニューフジヤホテルも軍門に降ってしまった。要するに買収されちゃって一年中同じ低価格の時間入れ替え制のバイキング形式の食事を提供するタイプになった。昔は高級だったところもその設備のままで低価格だからデフレ大人気。どんなバイキングなのかは↑のレポートに写真掲載した。こんな安いホテルでも食事スペースは禁煙。w

どうしてこんなに旅館が買収されてしまうのかというと経営が立ちゆかないからであります。自分はベッドより和室派なので基本的に旅館のほうが好きなんだが禁煙室がいまだ少ない。喫煙室は臭くて泊まれない。

さてと、旅館の数は毎年減少しています。
平成26年に厚労省が発表したデータ。

経営者はみんな高齢になってます。

ホテルに比べてネット予約のできる率が非常に低い。

とまあ、旅館といってもピンキリで、1泊1人3万円以上のところから、民宿に毛が生えたクラスまで多々ある。自分は海外リゾートではそこそこいいホテル派ですが、国内ではどうせ一日サーフィンや釣りで外出するんだから、和室ならなんでもいい派。つまり旅館をメインにしています。しかしいま、

日本人の国内旅行のマーケットはどうなっているかというと
国内宿泊観光旅行の年間平均回数

絶賛大減少中。海外が安くなったというのもあるが、グラフを見るとかろうじて減少少ないのは60〜70代。つまり団塊の世代である(このデータは2010年だからね)。つまり2020年あたりからは団塊の世代が年老いて旅行どころじゃなくなってくるのでさらに日本人の国内旅行は減少していく。20代は海外に行くのかというとそうでもなく、

男女別・年齢別出国率の推移

微増程度。しかし面白い兆候があって

20代の海外観光旅行をした者の海外旅行回数の推移

何度も海外旅行に行く層は増えているが、初めていく層は減少!!つまり

20代の海外観光旅行の動向を旅行回数別に見てみると、国内旅行と同様に、海外観光旅行に行かなかった者(0回と回答した者)の割合が増えている一方で、旅行をした者の中で旅行回数別の割合の推移を見ると、1回の者の割合が減少している一方、2回以上行く者の割合が増加していることから、旅行に行かない者と頻繁に行く者との間で旅行動向が二極化してきていることが分かる

ここにも格差が増大中!!!

ということです。昔と違って「海外旅行なんてお金ないし興味もない」という層が増えた反面、行く人はしょっちゅう行く。金の問題もあるけど、持ち金をコミケやソシャゲやAKBに突っ込んでいて海外旅行どころじゃないよというのも多そう。

となってくると、旅館業は日本人をあてにしていると伊藤園に買収される羽目になるので、インバウンドの外国人観光客を取り込む作戦しかないわけです。しかしここに大きな問題があるのであった(以下、次号には続かず下段に続く w)

外国人観光客には旅館は向いていない

先日、なるほどなあという記事を見つけました。

外国人が心底ガッカリする「日本の旅館事情」

顧客目線とうるさく言う自分であるが、さすがに海外の富裕層の顧客目線は弱いので、これを読んで目が開きました。

1 ご飯が毎日同じで長期滞在で飽きる
2 家族全員が同じ部屋のプライバシーの無さ
3 ランドリーなどのサービスがない
4 夜遊びができない・・毎日卓球じゃあなあ
5 老巧化しているところがおおい

このうち、4とかは観光立国のスイスのリゾートの人気ホテルだって周囲になにもなくて夜遊びできないところはいくらでもあるし、5だってもっと古くても人気があるホテルは海外にいくらでもある。しかし自分もサーフトリツプにいって高級旅館に連泊する気にならないのは「ご飯が毎日同じ」だからです。あっ!! 外国人観光客の顧客目線あったわ!

なぜ旅館のご飯が、毎日ほぼ同じなのかというと、当たり前だが土曜1泊がほとんどだから。客室の稼働も行楽地の宿泊施設は土曜と連休だけ混んでいて平日はガラガラ。平日を埋めてくれるのはインバウンドの観光客しかいないのに、それの対応ができていないからです。

泊食分離こそ旅館が生き残る道

そもそも2020年のオリンピック需要といっても日本には高級ホテルが物凄く少ない。

日本には「5つ星ホテル」が28軒しかないという問題を指摘させていただきました。外国人観光客が年間2900万人訪れ、観光収入でも世界第6位につけているタイには「5つ星ホテル」が110軒あります。年間3200万人訪れているメキシコでも93軒。実際、139カ国を対象に分析すると、観光収入と高級ホテルの数との間には91.1%の相関があることがわかりました。

前出の東洋経済オンライン

「高級ホテルがないので代わりに高級旅館に泊まってください」といっても長期滞在向きじゃないし、高いし、毎日同じようなご飯でサービスは日本人向きなわけで、これじゃ観光立国でやっていきたい日本としてはもうダメ。オリンピックで日本の良さを知ってもらうどころか、「宿泊施設にまともなのがない」となったらおしまいでしょ。政府も分かっていて

旅館業界「泊食分離」導入を=長期滞在客対応、モデル地区指定へ-観光庁

といいはじめました。コース料理じゃなくて、レストランと割烹を2軒くらい設置してアラカルトで食べられるようにすれば良いんですよ。これなら連泊できます。今日は昼飯食い過ぎて腹一杯だから酒とつまみでいいやとかも可能。海外のリゾートホテルはだいたいレストランが数種類あって、いろいろな種類や価格帯の食事が出来るようになっているが、日本ってかなり大きいところでもレストランは1箇所だったりするよね。

加えてもう一つ

禁煙と喫煙可能な部屋の割合を変えろ

です。密閉された部屋の中で吸うわけだから、喫煙可能な部屋があっても隣の部屋には流れてこないからまあいいとして、予約しようとすると「喫煙室しか残ってない」というケースが非常に多くて予約を断念することがままある。禁煙室から埋まっていって足りなくなってるわけ。かといって喫煙室はヤニの匂いが物凄くて絶対に泊まりたくない。有害物質が壁やカーテンにまで染みこんでいる。

これ、新幹線でも同じで喫煙車両はガラガラで禁煙車両は満員なんてことがよくある。どんどん喫煙者は減っているのに、対応が遅れているのだ。分煙のファミレスも昼時は喫煙スペースがガラッガラで禁煙スペースは順番待ちとかよくあるそうな。喫煙率の高いアジアの観光客のために少しは喫煙部屋を残しておく必要はあるかもしれないが、世界中どこでも収入と喫煙率は反比例している。高学歴で裕福なほど喫煙率は低くなるから富裕層を狙いたければ禁煙が効果的なのだ。

喫煙の習慣は低・中所得諸国の男性の間で広がる一方、高所得諸国の男性では同じ時期に全体として減少してきている。たとえば、米国の男性の喫煙率は、消費量がピークに達した20世紀半ばには55%を超えていたが、90年代半ばには28%にまで低下している。高所得諸国全体における1人当たりの消費量も低下してきている。しかし、高所得諸国でも、十代の若者や若い女性など、90年代に入って喫煙者の割合が増えた集団もある。つまり、全体的にみると、もともと喫煙者の多かった高所得諸国の男性から、高所得諸国の女性や低所得地域の男性へと喫煙流行が拡大している。
喫煙が世界中で若い時期に始まっていることは明らかになっているが、禁煙する人の割合は、今日までのところ、少なくとも高所得諸国とそれ以外の地域との間にかなりはっきりとした差があるようだ。たばこの健康影響についての知識が着実に広まっていく中、喫煙率は徐々に低下し、禁煙に成功した人の数がここ数十年間で大幅に増えている。ほとんどの高所得国では、男性の約30%が喫煙を止めた者である。これに対し、1993年に喫煙を止めた中国人男性はわずか2%、同時期のインド人男性では5%にすぎず、ベトナムの男性では1997年に10%となっている。

出典

高学歴富裕層を狙うのであれば、全館禁煙が効果的なのは間違いなく、自分だって同じ価格で片方が全館禁煙ならそちらを選ぶ。高級旅館やホテルでも全館禁煙のところが増えてきているし、以前泊まった部屋には「こちらは禁煙室です。喫煙されると室内洗浄のため×万円ご請求させていただきます」という張り紙があった。これが常識だね。

どんどん日本人が減っているのに、そしていまの客の中心である60〜70代はこれからどんどん高齢化してこなくなるのに、いつまでも昔のままのやり方では絶対に潰れます。確実に死がやってくるのになにもしないで伊藤園に買収されて格安旅館になるのもよし、一から考え方を変えてリスタートして平日も長期滞在客で賑わうのも良し。経営者が高齢だと後者は難しいよね。

ちなみに海外では小さなホテルでも四つ星とかありますが、日本でもこの系統がもっと増えてもいいのかなと思います。首都圏でも20部屋くらいの高級ホテル作れば人気が出るのになあと思ってます。これから人口が減るのに相続対策とかいうのにコロリと騙されてへんなアパート建てまくるよりよほど利回りはいいと思う。まあ、経験がないと単にぼったくられるだけになっちゃうけども、TripAdviserに掲載するだけで外人はかなり来ると思いますよ。

ちなみにTripAdviserで東京のホテルで高評価ベストスリーはコレ。どういうところが人気があるのか、見て回るだけでかなり勉強になると思います。何もしない人はこういうことも思いつかないんだよね。

まったくわからないならまずはコレでも読みなさいって。

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