ペルソナの設定は実ユーザーと離れても気にせず、それが憧れにつながるものであれば良い

2019年8月20日

昔、マツダのペルソナっていう車↑がありましたが、その話ではありません。w
最近、仕事の話をあまり書いていないので、たまには書きますよ。初歩的なお話しですが、自分がクライアントと新商品を開発するときはまず「ペルソナ設定」をしてもらいます。

商品開発するならまずはペルソナ

ペルソナって言うのは心理学者のユングが考えた言葉だと思いますが、wikipediaでは「ペルソナとは、自己の外的側面。例えば、周囲に適応するあまり硬い仮面を被ってしまう場合、あるいは逆に仮面を被らないことにより自身や周囲を苦しめる場合などがあるが、これがペルソナである」とありました。意味わかんないよね。簡単にいうと仮面みたいな感じかな。

マーケ業界では、これがいつの間にか

想定する代表的なターゲットユーザー

みたいな感じで使われます。たとえばある商品やサービスを開発しようとするときには


夫 36歳 妻35歳 共に大卒 子供2人
夫は研究職、妻は出版社で編集業務。夫の実家は東京。妻は埼玉
世帯収入1300万円
都内の3LDK賃貸マンションに住んでいて家賃は月18万円。クルマはVWゴルフに乗っている。
夫の趣味は学生時代からの将棋とカメラ。妻は読書程度
2人の子供は公立小学校に通っているが、中学からは私立を受験させる予定

みたいな感じでかなり細かく設定します。もちろんこれは

イメージの中心となるターゲット

であり、この層にしかウケなくていいということじゃない。これを知ったかぶりで勘違いしている人がたくさんいて、「ペルソナ設定だと非常に人数が少なくなるから売れるわけがない」みたいなことをいう人がいるのですが、それ、関係ありません。

たとえばキャバ嬢に人気の3ブランドは
エルメス
シャネル
ディオール
だそうですが、その3ブランドって、キャバ嬢をペルソナにしてつくられてますか? www

おそらく、ヨーロッパの都市圏に住む、中高齢の高所得のセレブ層というのがいわゆるこうしたブランドのペルソナ設定ですが、どうしてキャバ嬢がそんなものを買うのか。実際にイタリア人の女子と話すと「イタリアでブランドものを持つのはおばさん以上だけで、若い子はそんなもの持たないわよ。自分の目とセンスで色使いの良いものを買います」というので、日本や中国やアジアだけが若い女子がブランド品を欲しがる特徴があると思うわけよ。

前にもちょっと書いたけど、これは日本の女子(男子もいるけど)が「流行を気にする」「流行っているものを可愛いと感じる」「他の人がいいとものが欲しい」というような、ある意味、他人の目を非常に気にする、言い方変えると「自分の美意識がない」子が多いって事が原因なんだと思うが、これは一番感受性が養われる年代に「制服」で縛られたせいかな、と。他人と違うと糾弾されるから、他人がいいというものを可愛いとか素敵という習性になる。それで「ブランド品はみんながいいと言うから間違いない」という思考経路になると思うんですよね。どうでしょうか。

だからこうした商品のペルソナは、あくまでも

こんな生活をしたい。こんな人になりたい

という憧れであって、2Kのアパートにブランド品に埋もれて暮らすキャバ嬢が出現することになります。

意外と外れるペルソナの設定

先日、面白かった記事の2連発です。

30代前半で世帯年収1000万超、若き富裕層が好むブランドは?

これ、↑で私が設定したペルソナと同じですが・・・・ww

彼らが好む洋服は、今もやはり1位「ユニクロ」だ。2位は「ジーユー」、3位は「アディダス」と続く。金持ちのくせに、安くて実用的な洋服を選ぶという、なんとも平凡な回答となっている。

世帯年収1000万位で金持ちはないでしょ・・・・

身に着けるもののランキングは、バッグ1位「ポーター」、靴・シューズ1位アディダス、腕時計1位「カシオ」となっている。

とまあ、貧乏人が考える世帯年収1000万とはかけ離れる感覚。腕時計1位はカシオです。

いくら何でもカシオのペルソナは世帯年収1300万では設定してないし、Adidasもそう。ペルソナはあくまで商品開発の時に仮に設定するものであり、実際の消費動向ときかなりかけ離れます。また、流行や宣伝に乗りやすい層と、そうでもない層があり、世帯年収1000万以上というと高学歴層が中心であまりファッションには興味がない人たちが多いのかもしれません。水商売や不動産業で年収1000万以上ならバリバリとブランド品で揃えるはずです。

もうひとつ
ファッション×ITで事業を拡大 「メチャカリ」が黒字化までの3年間を語る

「earth music&ecology」やってる会社の新規事業で服のレンタルのメチャカリの3年間の話ですが・・・意外だったのは

ユーザーの約8割が、20代・30代の女性です。仕事が忙しく服を買いに行く時間がないけれど、日々のオフィススタイルに変化を取り入れたい方や、時短志向が強い子育て中のママ層にご支持いただいています。また、昨年行ったユーザー調査では、普段使いのファッションとして楽しんでいらっしゃる方が多いという結果も出ています。併せて、「流行が過ぎた服を捨てることの罪悪感が薄れる」「収納場所を気にしなくてよい」など、心境やライフスタイルの変化にも影響を与えていることがわかりました。

ということなのだが、当初の設定では「ファッションの流行に敏感な人」というのをターゲットにしていたそう・・・・・はて?

そもそも主要ブランドの「earth music&ecology」自体がファッションの流行に敏感な人向けのブランドではないように思うし(ファッションに疎くてすみませんが、ショップ見たりいまサイトも拝見しました)、売れてる商品ランキング見ても2000円〜5000円のごくオーソドックスなもの。だいたいエコロジーうたってるんだから・・・。

ファッションの流行に敏感な人なら「人より先に着たい」「とにかく流行は一番に着る」「試着して自分に似合うか徹底的に確認する」みたいなイメージで、自分はファッションの流行には敏感ではないがサーフボードの流行には敏感なので年に5本は買ってます(だいたい15万円〜)が、
人より先に乗りたい
とにかく流行の板は一番に乗る
実物見て触ったり動画は絶対見てから買う

と、同じ行動をとっています。

となると、最初からサービスのターゲットは「仕事が忙しく服を買いに行く時間がないけれど、日々のオフィススタイルに変化を取り入れたい方や、時短志向が強い子育て中のママ層」にすべきで、なんでそうしなかったのか。もしかしたら本当はそうなんたけど、その層に食いつかせるために「流行に敏感な人」というペルソナを打ち出したのかは謎です。

何回か紹介したし、クライアントにも読ませてるけどこれは必読ですよ

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