少子化時代の意識の変貌について

2015年5月15日

昨日、狂犬病ワクチンの話題で盛り上がったとき、狂犬病予防法ができた昭和25年(1950年)に興味が湧いて、いろいろ調べてみた。
まず出生率の推移。

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映画「ALWAYS 三丁目の夕日」の舞台が1958年だからそのさらに8年前。朝鮮戦争勃発の年です。
なんと厚生労働省のデータでは、1950年の出生率は4人近い3.65人であった。昭和25年は4人兄弟当たり前。3人で少なめだったのだ。現在は1.3〜1.4だから、想像も付かない。

この60年で相当に少子化が進んでこれ以上はないだろう的な感じなのだが、少子化が語られるときによく言われるのが

●今の子は大事にされすぎて根性がない
●親が子供に手を掛けすぎる

とか、ステレオタイプ的にいう評論家とか多いんだが、このニュースを見たときに「あれっ」と思った。

首都圏の私立大学に通う下宿生の仕送りが過去最低に

ピークだった1994年の12万4900円から3万6400円減った。一方、家賃の平均は前年度より700円増の6万1600円で、仕送り額に占める家賃の割合は過去最高の69.6%となった。仕送り額から家賃を引いた生活費は1日当たり897円で、初めて900円を割った。

1994年当時20歳とすると生まれは1974年。出生率2.05。2人兄弟が当たり前の時代の大学生です。

第50回学生生活実態調査の概要報告

今の下宿生の食費は1日816円なんである。昼は学食で300円のランチを食べるにしても朝晩はこれじゃ自炊だ。大学生の身内に聞いたら「一人暮らしの子たちは本当に貧乏で米ばっかり食べてる」という。そりゃそうだ。1日816円の食費なら飲みに行くどころじゃない。生活保護を受けてる一人暮らしの老人と同じレベルなんである。いくらなんでも若者にはキツいと思う。

衆院選:食費1日800円程度…生活保護 なぜ切り下げ

なんか、全然大事にされてない気がする・・・もちろん世帯収入が減少していることもあるが、物価はかなり下がってるはず。しかし親の立場から見ると、昔は年金をあてにできたから子供の学費とか仕送りに世帯収入のかなりの分を充てることができた。しかし今は老後のために親も貯蓄が必要だからそんなわけには行かないんだと思います。親だって生きていかないといけない。

子供の代わりに犬や猫の地位向上?

ところが犬の登録頭数を見てみると、昭和25年の統計はなく、35年からなのだがその年の登録頭数は190万頭。平成25年は675万頭と、3.6倍に増えてます。少子化が始まると同時に犬の登録頭数が増え始め、子供の数は1/2.6になったのに、犬の数は3.6倍になった。これはもう

犬猫様の地位向上!!

で間違いない。1950年当初は兄弟が4人もいて、犬は外に繋がれていた。たぶん死んじゃってもちょっと悲しいくらいで済んだ。去年バリに言ったときにサーフガイドのバリ人に「あれ、前にいたチャッキー(犬)は?」と聞いたら「あ、車に轢かれて死んじゃった」というので、「泣いた?」って聞いたら真顔で

泣く???なんで???

と言われ、ああこういう意識の差なんだなと感心したことを思い出す。
今の日本は1950年の時と、犬猫の家庭での立場が相当に違っている。

平成25年度 全国犬・猫飼育実態調査 ・猫飼育実態調査 結果
社団法人日本ペットフード協会の調査データです。

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50代の飼育比率が一番高く、ついで60代。毎日愛犬と4キロの散歩してますが、出会うのはこの世代です。若い人で犬の散歩しているのを見たことがない。土日だと30〜40代夫婦連れを少し見ます。20代はヤンキーカップルがチワワを連れてますね。ww

で、室内飼いと屋外での犬の飼育は平成15年(2003)年にはすでに逆転しており、室内飼いが多数派になっています。↓は2003年だから、いまはずっと室内飼いの比率が上がっているはず

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自分も犬と一緒にベッドで寝ており、Facebookでの投稿もこういうシーンがめちゃ多い。密接度が高くなると「家畜」としてではなく、「家族」としての認知と変化する。去年、ある獣医さんとお話したときに、2年前に愛犬を亡くし、それから力もでなくなって回復できないと言われてハラハラと落涙された。たくさんの死を見ている獣医さんでさえそうなのだから、Facebook見ていても愛犬や愛猫の死からなかなか立ち直れなくて沈みきっている人が多く見受けられます。

飼育率の高い50代、60代にとっては犬や猫は子供と同じ位置づけになっている。1950年だったら愛犬が死んでも「死んじゃったな」で済んでいたものが、いまではそうはいかないのである。ペットロスの問題はいまやめちゃくちゃ大きな社会問題です。

求められる獣医さん像

子供に対する手や愛情のかけ方が二極化しているのと同様、ペットに対しても二極化していると思う。実は我が愛犬は去年から緑内障を患い、右目を失明してしまったのだが、眼科の犬の専門医を捜し求めてセカンドオピニオンを受けて回りました。1回の検査費用が3万円以上するが、金には換えられない。都内でも眼科、皮膚科、歯科の専門医は非常に混んでいて予約するのも大変です。
中年のときはアレルギーでハゲチョロケになってたのだが、このときにはステロイドも効かず、皮膚科の専門医を捜し当てて「アトピカ」という薬を処方してもらったところいきなり効いて、数年飲んで完治した。この薬、月3万円もしました。もう必死に働いてますよ、私。

自分の子供が病気になったとき、愛情深い親なら「どんなことをしても、いくまらかかっても直そう」と思うじゃないですか。犬猫に対してもいまは同じです。セカンドオピニオンを求めて専門医を探すのだが、人間と違ってなかなかいない。

「なんでも見ます」 → 「この病気が得意」「この犬種が得意」

と、専門化、分散化したほうが、明らかにいい客層を取れます。これは別に獣医さんに限らず、先日メルマガで回答したんですが、自動車の整備工場も同じで「どんな車種もみます」より「ポルシェなら絶対の自信あり」のほうが絶対生き残れます。いや中華料理屋も同じで「ラーメンも餃子もチャーハンもなんでもあり」より「塩ラーメン一筋」のほうが絶対生き残れます。

少子化から話は飛んだけど、これからの時代、大手とか価格競争に勝ち残るには「専門化」が一番確実だと思うんですよ。
ほんじゃーねー

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