高齢者による交通事故 免許を返納すれば済む問題なのか → 済みます!

2017年1月2日

今年も二日からちょっと仕事しています。まずは今年最初のブログを書いてみる。

さて、年末30日に書いた

東京新聞の経済デスクが腹黒すぎて草

ってエントリーが31日にかなり回っていて驚きました。この基本データの読み間違いまたは、わざと誤認させようという手法は、最近よく見られます。特に東京新聞の場合は、母数が全く違うのに「伸び率」を棒グラフで比較したという点が、わざとやっていたのでなければかなりアホなわけですね。母数が違うのだから棒グラフで比較するなら絶対数値でないといけない。比率で比較する意味がないわけ。

おそらく学歴レベルの低い読者や主婦はこれで騙されてしまうし、文系の方はこの辺がよく分かってない人もたくさんいる。しかしマーケティングも数値での比較の世界なので、ここらはうるさいです。そんなうるさい私がまた見つけてしまいました。

高齢者による交通事故 免許を返納すれば済む問題なのかPAGES

Yahoo!がやってるPAGESというサイトなのですが、内容自体は割と頑張って書いているのですが、中に事実誤認があります。書いていらっしゃるのは理系で博士号取ってる方なんですが・・・Yahoo!ニュースにもなっていてたくさんシェアされていたのであーあと思いました。

10代(16歳から19歳)が一番交通事故を起こしやすく、続いて20代が事故を起こしやすいことがわかります。高齢者はその次であり、この状況は10年前から続いていることがわかり、近年になって高齢者による事故が急に増えているわけではありません。

まず、ここ。事故率の話がなぜか途中で件数に切り替わってる。また「保有者」あたりなので免許は所有してるけど運転してない人も含んでます。


使用されているこれは警察庁が発表した「事故を起こす比率」のグラフです。確かに10代が高いけれど、これは「原付免許以上」だから二輪や原付が大半なのは明白で(普通免許取れるのは18歳以上だもんな)、そもそも二輪は普通乗用車と比べて事故率が格段に高い。平成26年の警察庁のデータですと

()は事故の全体に占める割合
自動車乗用中の事故合計 468139(65%) 致死率0.29
自動二輪 36411 致死率1.21(5%)
原付   43037 致死率0.59(6%)

と、自動二輪の事故の致死率は自動車の4.2倍、原付も2倍。事故所有台数で割って事故を起こしやすい比率を計算しようと思ったが、車とバイクを両方持っていたり、バイクを複数持っているケースが多いので正確には出せないが、いろんなの見て回ると二輪の事故率は自動車の約2倍、原付は約1.4倍としているケースが多かった。体感的にもこんなものでしょう。つまり

ほぼ二輪の10代とほかの世代の比較は意味ない

わけでございます。10代の事故率が高いのは二輪が大半を占めているからでしょう。または馬鹿ヤンキーの無免許運転。

この傾向は死亡事故に限った場合でも同じです。死亡事故の起こしやすさについても警察庁にデータがあり、ここ10年間では10代と80代以上が他の年代よりも死亡事故を起こしやすいことが分かります。しかし、これも10年前から同じような傾向が続いており、高齢者だからと言って死亡事故を起こしやすいわけでもないようです。

はい。そうしますと、この部分がおかしいですよね。

ここ10年間では10代と80代以上が他の年代よりも死亡事故を起こしやすいことが分かります。→ 10代は二輪が多いので、それを除くと死亡事故を起こしやすいのは80代ですね。

極めつけが警察庁のこの表。これは事故率と死亡事故の二面で見たものです。

左が死亡事故へのつながりやすさ、右が事故の起こしやすさ。前述の通り、10代は二輪が占める割合が高いので事故率が高くて当たり前。事故率も致死率も圧倒的に二輪が高いので16〜24歳が高くなって当たり前なのだが、誰がどう見てもヤバイ事故を起こしやすいのは

75歳以上の男性

「高齢者だからと言って死亡事故を起こしやすいわけでもないようです」というPagesの記載は明らかに間違っていまして、75歳以上は20代の2倍、30代の3倍以上、死亡事故を起こしやすいのです。別にこすったりぶつけたり程度ならまだいいのですが、「死亡事故を起こす率がやたら高い」のが問題なわけです。とっさの時の判断が鈍っているから重大事故になっているわけね。

ついでに書くと高齢者の原付の運転事故が激ヤバ。田舎でよろよろ走ってるじーちゃんとかいるよね。原付の事故に関する警察庁のコメント。

原付以上運転者(第1当事者)による死亡事故件数を年齢層別にみると、高齢者(構成率26.3%)が最も多く、次いで40歳代(同17.6%)、50歳代(同14.5%)、30歳代(同14.2%)の順に多い。前年と比較すると、25~29歳(前年比-64件、-19.1%)が最も減少した。高齢運転者による死亡事故は、運転免許保有者数が増加していることなどを背景に、依然高い水準(平成16年の0.93倍)にあり、20年には30歳代を上回り、最多の年齢層となっている。中でも75歳以上は、より高い水準(同1.16倍)にある。

問題なのは事故率に加え絶対数の増加

Pagesの記事を書いた方は、さんざん言われている高齢者ドライバーをかばうためにミスリードしてしまったではないかと思います。悪気じゃなくてね。

ただ「地方の高齢者の足を奪うとまずいので社会的な環境を整えてから」という意見はそれはそれで正しいのですが「高齢者の利便性のために死者が出ても良いのか」という点と表裏です。社会的な環境を整えるのは一朝一夕ではできません。が、いま問題なのは

高齢者ドライバーの爆増

このエントリーにも書いたように、交通事故の総件数は車の性能の向上もあって平成17年をピークに44%も減少。しかし平成10年には75歳以上の運転免許所有者は116万人だったのが、平成27年は478万人。なんと高齢者ドライバー4倍増!!!特に高齢者の女性免許所有者の伸びが凄い。毎年85歳以上の女性のドライバーの数が2〜3割近く増えている、という伸び率を考えないといけない。事故率の下降がなく、死亡事故率が突出している高齢ドライバーの占める割合が、物凄いスピードで増えているわけですな。

最近になって高齢ドライバーの重大事故(軽い事故なら報道はされないでしょ)が多く報道されるのは、実際に高齢ドライバーによる重大事故が増加しているからで、おそらく最新の警察庁の統計が出てくれば恐ろしいものになってる気がいたします。

よく「だったら高齢ドライバーの免許更新を頻繁にしたらよい」とか「更新時に実技テストを必須にする」とか空想みたいなことをいう方がいますが、いまや80歳以上の運転免許所持者は180万人、70歳以上にしますと932万人もいらっしゃる。高齢ドライバー教習でさえ4ヶ月待つといういま、1000万人近い人たちの免許更新をすぐに重くすることは、免許試験場の警察官をいったい何人増やすのか。だいたいそんなにすぐ警察官増やせませんわ。

自動運転とかいうひとも同じ。いつになったら実用化されると思ってんの。さらに高齢者がそんな高い車に買い換えるわけないでしょ。どうせあと何年運転できるかわからないからこのままというのが普通でしょうよ。

そこで再度、この提案です。
高齢者が事故を起こすと、任意保険の保険代理店はまた事故を起こす確率が高いとして、次からの引き受けを断るそうです。保険の掛け金も高いので入らないまま運転する高齢者も多いでしょう。前のエントリーにも書いたのですが

高齢者の任意保険加入を必須

ということを免許の付帯条件につけ(眼鏡使用と同じ)、保険証書がない場合は免許を取り消すというのが一番現実的だと思います。一番なのは80歳で免許終了というのがいいわけですが、どうしてもそれができないなら、この方法しかないように思うわけです。で、免許更新をせめて2年ごとくらいにする。

保険会社が任意保険を引き受けられないような方が、いくら必要だからと言って凶器になる車を運転するのはあまりに脅威すぎます。ちなみに若いときからずっと自賠責のみの方は高齢者になって入るのはできないそうで、無責任な方も排除できます。

ところで昨日コレみました。めちゃ面白い。特にジェイソン・ステイサムが馬鹿役でお腹痛い。

↑の主人公のおばちゃんがだんだん可愛く見えてきたのでこちらも今からみるのだ

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