新潮45の杉田水脈原稿の言葉狩りは止めて、主題を100文字以内でまとめてみたら「支援の度が過ぎる」「生産性がない」は釣りだった(エビデンス付き)

2018年7月29日

偏見や差別はイデオロギーを超えて、右だろうが左だろうが人として忌み嫌うべきものであると考えます。

しかし、今回の杉田水脈の暴言とも言える記事について「炎上は左翼の陰謀だ」的な事を言う人がいます。それだけでブロックしそうですが、まともなオツムの人なら右翼だって怒ってるはず。弱きを助け強きをくじくのが本当の右翼!!
故赤尾敏は生活保護を受けられないで餓死した家族の話を新聞で読み、街宣に出かけるのです。コレが本当の右翼です。「日本の国体とは愛なり」なのです。

今回のことは安保法案やTPP支持の日本で言う保守的なわたしでさえ、めちゃくちゃ腹が立ちました。新潮45の杉田水脈の原稿はもちろん、過去の動画も見て、「こいつはどうしようもない奴だ」という結論になったのですが、SNSでは「新潮45の全文を読んでいますか」という問いが来る。「全文読んだら意図はそれほどおかしくなかった」という人まで存在するのには驚いた。どこに原因があるのか

言い回しや言葉に囚われて主題が理解されていない

ってことじゃないかと思う次第です。要するに読解力がない。

報道も悪くてタイトルの付け方が「LGBTは生産性がない」ばかりを取り上げている。これは単なる言葉狩りです。国語の読解で言う「主題はなんですか」という一番大事な点を外しているわけです。もちろん文中には「無知」「差別意識」「選民意識」がそこかしこに出てくるので、目を奪われがちなのであるが、大事なのは何を言いたいかであって、個別の単語ではない。

これも中身のおかしい部分をピックアップしているが主題には触れていない。惜しいぞ
自民党杉田水脈衆議院議員の『新潮45』への寄稿は不適切発言の特盛である

まずはLGBTの基礎知識を参議院の資料から

まず、原稿を読む前に社会常識としてLGBTとはなにかを知らないといけません。
こちらは参議院の資料です。杉田水脈も国会議員ですから当然読んでいないといけないですが絶対読んでないと思います。

LGBTの現状と課題― 性的指向又は性自認に関する差別とその解消への動き ―参議院報告書

LGBTはこの資料では人口の8%とされています。6%という説もありますが要するに小学校で30人のクラスなら、2〜3人はLGBTの子供がいるのです。これは「先天的なもの」です。母親の胎内にいるときに決まるという説が有力です。同性愛は動物にも非常に多く見られ、ニホンザルなんかはめちゃくちゃ多いそうです。

この調査は数万から10万人近い規模の大規模なものが3つで統計としては全く揺るぎません。博報堂DYグループは少し低めの約5.9%という結果で内訳は、レズビアン:1.70%、ゲイ:1.94%、バイセクシャル:1.74%、トランスジェンダー:0.47%、LGBTにあてはまらないAセクシャル12など、その他のセクシャルマイノリティに該当する人は約2.1%としています。

小学校の1学年200人で男子100人、女子100人とすると
ゲイ 4人
レズビアン 3.4人
バイセクシャル 3.4人
トランスジェンダー 1人
そのほか 4人
となります。男子の中でゲイは25人に1人です。日本人の12人に1人だから左利きと同じくらいでマイノリティでさえない。それを言えずに苦悩してるひとがたくさんいるってこと。

昔はいなかったという爺さんがいますが、戦国武将や僧侶では当たり前のことで、織田信長の森蘭丸も有名だし、徳川家光は有名な男色家で跡継ぎができないと困るので大奥を作って必死に子作りさせました。明治に入って軍国主義になるとそれが抑圧されるようになったわけですね。寛容なタイでは大家族ならだいたい1人はいる感じです。なので実際には自分はLGBTなのに、それを誰にも言えずに苦しんでいた人が最近までたくさんいました。

だいたい超国粋主義者だった右翼の烈士、三島由紀夫は同性愛の小説を書いていて日本ではタブーだが英語版のWikpediaには

「禁色」の連載中、三島は日本のゲイバーに通っていた。三島の性的嗜好は妻の悩みであり、彼女は三島の死後、同性愛であることを否定し続けた。1998年、作家の福島次郎が1951年における三島との15通の文通を含む関係を明らかにした書籍を刊行。三島の子孫は福島をプライバシー及び著作権侵害で訴え、勝訴した。

とある。杉田水脈は右翼の神様も否定しているわけ。


中学生の時に読みました。杉田水脈は読んでいないだろう。読んでいたら三島由紀夫を馬鹿にするようなことは絶対にいわないはずだ。三島由紀夫も苦しかったと思う。いまなら絶対LGBTのデモに参加している。

杉田水脈は現行の中で「差別なんかない」と言い切ってますが、参議院の資料にはこのように書かれています。議員のくせに読んでもいないのか

杉田水脈著『「LGBT」支援の度が過ぎる』ので何を言いたかったのか

では杉田水脈は新潮45でなにを言いたかったのか。現代国語の問題として主題を300字以内でまとめてみましょうよ。なお新潮45はいつの間にかネトウヨにおもねる印刷部数が2万もないミニコミ誌以下のメディアで、これを買って貢献したくない方はネット上に全文転載した違法なブログがたくさんありますので、「新潮45 杉田水脈 全文」で検索して読んでください。

高校受験の時、理系なのになぜか現国が一番得意で駿台模試で何回か10位以内にはいったのが自慢のわたしが解説します。林修先生に本当は読み解いてもらいたいのでバズフィードが取材に行ってくれないか期待したいです。

まず、タイトルが杉田水脈著『「LGBT」支援の度が過ぎる』なので、そこに引っ張られる人が多すぎます。もし本当にそのことを糾弾したいのなら、政治家ですから「こんな、こんな度が過ぎた支援がある」という具体的な事例が出てくるはずです。論文っていうのはそういうものです。で、こんな支援に税金が使われているんですよ、酷くないですか? につなげる。

では、LGBTにどのような税金が使われているのか。補助金垂れ流しとかやっているのか。参議院の資料を見てみましょう。

税金が使われているとすれば、「調査」「法の整備」「議員の報酬」あたりが大きいと思われます。そうすると彼女の言う「支援」というのはこうした調査や法整備は金のムダだからするなということになりますね。が、タイトルにある「支援」については実は本文では全く触れていない。つまりこれは

釣りタイトル

ということになります。www
「支援」というワードでいかにもLGBTに税金が使われている、けしからんと見せて実は具体的には全く書いてないの。これが釣りでなくてなにが釣りだろうか。
釣られた人の例がこちら

釣りタイトルのあと出てくるのは朝日新聞やメディアの批判です。とにかくLGBTの記事が多いと嘆き、次にはLGBTが認められると制服やトイレが訳が分からなくなってコストがかかるに続きます。パスポートの性欄も変えなければいけないと延々と続き、読んでいる人に「LGBTを認めるとたいへんなことになる」を印象づけます。「生産性」の語句は単なる枕詞程度です。また、LGBとTは違ってTは援助すべきとありながら後半では延々とパスポートとかトイレとか、Tの人たちが必要とするものが手間がかかって無駄だと言い出します。

で、ここでキーワードが出てきます。

なぜ男と女、二つの性だけではいけないのでしょう。

つまり、著者は「男と女、ふたつの性だけでよくLGBTを認めるな」と言っているわけですね。自然の摂理で8%出現するのに、いないことにしろ、または「矯正しろ」というわけです。実際に別の動画では「矯正しろ」と言っています。
起承転結といいまして、最後にいいたいことをもってくるわけですが

「常識」や「普通であること」を見失っていく社会は「秩序」がなくなり、いずれ崩壊していくことにもなりかねません。私は日本をそうした社会にしたくありません。とありまして、LGBTは普通じゃなくて常識外だから報道するなということになっています。

で、わたしが著者の言いたいことをまとめますと

男と女以外は不要だし、
子供ができないと困るしいろいろ面倒も多いから、
寝た子を起こさないようにして
本人が苦しもうが関係なく
ストレートとして人生を送らせればいい。

と、たった80文字くらいになってしまいました。ww
自分はそうは受け取れない。主題はこうだと思う人がいればわたしのFacebookのフィードに投稿ください。ディベートしましょう。

オマケ。杉田水脈はどうしてこんなバカ論説をするのか

ここからはわたしの想像です。オマケですから。

筋金入りの右の櫻井よしこさんは、本を読んでも非常に綿密に取材がされていることを感じさせます。正当な保守というか右の人です。しかし杉田水脈の書いたものは、陰謀論と無知、偏見に溢れています。例えばコレ

【杉田水脈のなでしこリポート(8)】「保育園落ちた、日本死ね」論争は前提が間違っています 日本を貶めたい勢力の真の狙いとは…

旧ソ連崩壊後、弱体化したと思われていたコミンテルンは息を吹き返しつつあります。その活動の温床になっているのが日本であり、彼らの一番のターゲットが日本なのです。これまでも、夫婦別姓、ジェンダーフリー、LGBT支援-などの考えを広め、日本の一番コアな部分である「家族」を崩壊させようと仕掛けてきました。今回の保育所問題もその一環ではないでしょうか。

はい。ここでつながりました。LGBTは税金を無駄遣いしているから悪いんではなくて「旧ソ連のコミンテルンが日本を弱体化させるために」仕掛けていると主張しているわけです。日本の男女同権も、保育園もLGBTもすべて旧ソ連のコミンテルンが仕掛けたもので日本を弱体化させようとしているらしいです。コミンテルンは1943年に解散した共産主義の組織で、だいたいいまのロシアは共産主義ではありません。アホかいな。

わたくし、前から言ってますように

陰謀論はバカの証拠

であり、放射脳が良い例です。
櫻井よしこさんは家族制度の崩壊させるなと言っていますが、ブログを読み込むと「夫婦を切り分けて個人として扱うな」とは言ってますが、杉田水脈のように単純に「女は家庭にいて働くな」とは言ってません。だいたい本当にそれを主張するなら杉田水脈は国会議員やめろ。それとも名誉男性のつもりなのか。

彼女の言動は非常に底が浅く、また、「男女は同権ではない」というようなことを平気でいう。櫻井よしこさんだって「男女同権の時代」とブログに書いていてそんなことまでは否定していない。ココで感じるのは

杉田水脈はめちゃくちゃおもねってるな

という感触である。すべてが浅くて不勉強で勢いだけはよい。

もしかしたら最初に市役所職員から議員になろうとしたときは普通の人だったが、それでは注目もされない。で、国粋主義者のアイドル路線で行こうと決めて、そのように発言をしてみたらチヤホヤされた。自民党の極右あたりにも「女性には珍しい人」ということで可愛がって貰って比例代表も上位にしてもらった。調子づいていろいろ言うものの、櫻井よしこさんのように知識や経験や取材に基づいていないのですべてが知ったかぶりの聞いた話になる。ほとんど放射脳です。

コミンテルンの話は櫻井よしこさんのブログにも出てくるが、日本共産党はコミンテルンの日本支部として作られたとか、「天皇制」という言葉を創ったのはコミンテルンだというような知識としてであって、いまの日本をコミンテルンが破壊しようとしているというようなトンデモ論は出てこない。杉田水脈はバカだから櫻井よしこ氏のこれを変に受け取って、いまだ日本共産党がコミンテルンだと思い込んでるんじゃあるまいか。だったら思い切りのバカである。

で、家族制度の話をしているうちに、LGBTになってきて、いつのまにか国粋主義と差別主義がめちゃくちゃになり、論理が破綻してしまった。というのがわたしの見解です。ちなみにこれがとっても面白いのだが

モーリー・ロバートソン 杉田水脈議員「生産性」発言の背景を語る

(徳永有美)杉田議員としてはそこまでの反応、ハレーションが起きることもある意味、想像していたんじゃないかなとも思いますが、そんな中、なんでこのような発言をしたんですか?
(モーリー)そうですね。内なる人気取りをされてそれが滑ったという見方もできるんですけど、そんな小さな背景ではなくて、この一連の発言にEUやアメリカの新しい極右政治、オルト・ライトの手法に通じるものを見ました。ですから、これをひとつの点として見るのではなく、実は戦略の中のひとつの行動としてみる、そういう必要性があると思います。

とまあ、もしかして政権の中の極右勢力が杉田水脈にいろいろかかせて問題定義をさせた可能性もある。実際にはアメリカではそういうマーケティングがされたと言っていらっしゃいます。
しかし、自分は単に「滑った」というのに一票入れたい。調子こいて書いたら炎上して逃げ回ってる。自民党の上層部にも怒られた。本当に腹が据わってるならテレビの前で堂々と自説を述べてます。チキン極まりない。

安倍さんにとってこれはマイナスにしかならない。女性活用といってるときにこんなに国民から総スカン食らうようなことをして、本当に苦々しく思ってるはずだ。でなかったら杉田水脈に速攻でTwitterを削除させたりしない。二階さんがかばっているのも「誰が比例代表の1位にしたんだ」という責任論にいかないように逃げているんだと思いますよ。

自民党は一刻も早く辞任させないと支持が落ちて大変なことになります。政権与党として混乱を招かないためにもはやく処分していただきたいものです。

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