ミニバンに乗るの、やめますか?

2014年9月16日

先日、日経ビジネスの

ミニバンに乗るの、やめませんか?
カー&プロダクトデザイナー/SWdesign代表 和田 智さん(2)

というインタビューが大変話題になりました。和田さんは日産でセフィーロを開発されたあと(奇遇だけど自分もプロモーションのごく端っこを担当させて頂きました)、Audiに移り、現在では独立されている。

これについては自分のFacebookのフィードで投稿したら議論殺到、NewsPicksでもかなり盛り上がっていた。
この中で和田さんが「どうしてミニバンに乗るのやめましょうか」の理由に

和田:話をもどしましょう(笑)。理由ははっきりしています。ミニバンばかりの自動車の風景は美しくないし、乗っている人もかっこよく見えないからです。

川島:美しくないし、かっこよく見えない!

和田:昨年まで住んでいた家の前に少年野球場があったのですが、週末、子供たちは皆、お父さんが運転するミニバンで送られてグラウンドにやって来るのです。その光景を見ていると、お父さんが子どもたちの運転手に成り下がったように見えたんですね。

と、おっしゃっております。これ、ミニバンに実際に乗られている方から見ると「ムカッ」(笑)といるような言い方ではある。「ほっとけ」と言いたくなる気持ちもわかるし、自分もラグレイトを新車で2台からフリードを乗り継いだミニバン大好き人間なのだ。

ところで和田さんの趣旨は「車は街の風景の一部である。だからみんながミニバンだと美しくない」ということなんであるが、実はミニバンっていまはそんなに売れてない(ツッコミどころが違うというのはおいといて)。

この間も書いたけど、実はミニバンはもう売れてない。8月の自販連のデータでは

順位 ブランド名 台数  前年比
1 アクア トヨタ 14,543 68.8
2 フィット ホンダ 13,369 215.9
3 プリウス トヨタ 10,675 63.7
4 ヴォクシー トヨタ 8,531 315.1
5 ヴェゼル ホンダ 7,985 (25-12)
6 カローラ トヨタ 6,651 96.9
7 ノート 日産 6,622 75.4
8 レヴォーグ スバル 5,391 (26-5)
9 ヴィッツ トヨタ 4,811 90.4
10 ハリアー トヨタ 4,673 (25-12)

ミニバンはベストテンのうち、4位のヴォクシーだけ。いま売れてるのはハイブリッドのコンパクトカーばかりである。4位のヴォクシーも今年1月にフルモデルチェンジして、ハイブリッドでリッター23.8kmのが出て売れているわけ。ここ最近のガソリンの価格高騰でリッター20キロ以上走るハイブリッドに人気集中なんであります。右も左もミニバンだった時代はちょっと前なのです。
ガソリンの価格の推移を振りかえると

1

こんな感じでした。バブルの頃もけっこう高かったのだが、今はもっと高い。バブルの時より物価は何分の1かなのにガソリンは最高値である。このまま円高が続いて、原発が再起動すれば原油から重油を精製したあとのガソリンがだぶつくことも無くなり、さらにはシリアとかイラクとかイランとかロシアの情勢で原油価格が騰がる。下がる要素ってあまりないから、コンパクトカーのハイブリッドばかりになってるのだ。昔、チェロキーワゴニアとかシボレーのブレイザーに乗っていたが、ハイオクでリッター5kmとかだった。いまじゃあんなのあり得ないわ。
これでは大型ミニバンがフルモデルチェンジをしても、燃費がリッター20kmくらいはないとなかなか売れないです。でもこれはミニバンに人気が無くなったからではなくて、いまの自動車選びの最重要項目が「燃費」になったからだと思うわけです。仮にリッター20kmを達成したミニバンが出たらまた売れるよ。

なんで日本でスタイル重視の車が売れなくなったか

バブルの頃、日本では白のマークIIとかプレリュードが売れまくりました。ハイソカーブームと言われておりました。ハイソカー買うともれなく女の子が付いてくると信じておりました。外車も売れました。このときの車選びの最重要項目と現在では相当に購買における指向が変わっております。

自分が考えてる感じをグラフにしてみました。こちらなんの調査もしておりません。単なる手前勝手な感覚です。しかしリクルート時代はカーセンサーにも在籍してまして、当時は調査データを自社で毎年とっているのを熟読してました。まずバブル期ですが、自家用車を購入するにあたっての重要視する点はこんなイメージ

バブル

●バブル期には若者は争って車を買いました。車を持ってないと彼女はできませんでした。よって車のデザインとかそんなものは考えず「もてそうな車」を買いました。本当はAudiとかBMWが良かったのですがお金がそこまで無いので男の48回払いでハイソカーです。

●自己主張というのは「俺は金あるんだぜ」的にメルセデスやソアラ買ったり、「おれはおしゃれだぜ」とフランス車やイタ車に乗ったり、「俺は怖いよ」とでかいメルセデスにスモーク張って乗ったり、はては族車のシャコタンまで含まれます。ある意味、デザインを気にするのはここのジャンルです。ヤンキーも趣味がいいか悪いかは別としてこだわってました。

●趣味と家族は、スキーとかサーフィンとか、釣りとか家族でドライブというように、なんらかの使用目的があって車を買う場合です。

●資産としては、バブル期にはポルシェ959とかフェラーリからはじまり、資産として考えて持つ人が結構いました。(遠い目)

んで、現在はコレ

2014

20代の男子の過半数が異性と付き合ったことが無い。都会に住んでる若者は免許さえいらないと思っている。田舎のマイルドヤンキーは若くて結婚するし出生率も高い。しかし昔のヤンキーとは違い、きちんと働いて生活している。若くて結婚して子供もいるのでミニバンが憧れの的。商店街は廃れて家族でモールまで買い出しに行くのでミニバン一択。都会の若者はそもそも車に興味が無い。お金があっても車は買わない人たちが一杯。趣味のために買う人たちも、車の内容積はできるだけ大きい方が良いのでミニバンが欲しいと思う。

しかしマジヤンキーの滅亡により、自己主張で車を買う人たちは都会に集中し、国産車では自己主張できないので外車を買う。だから外車バカ売れ。この数は一定数いるが、若年層では無くてバブル期に10〜20代だった層が移行して40〜50代になっているのです。つまりこれからはこの層は減少していく。

その反面「移動手段」としてのみ車を考えている人たちは、ハイブリッドのコンパクトカーか軽になる。

こんな感じで「デザインで車を買う」人たちはどんどんと減少していき、「ユーノスロードスター」が出て「かっくいいーーー、ほしい〜」ってソーシャルではみんな言うけど「じゃ、お前買えよ」というとシーンとなります。Teslaも同じだと思います。こういうのを「買う買う詐欺」と言います。www 実際ユーノースロードスターを自腹で買って乗ったこともありますが、買い物にも行けない(荷物が入らない!!)ので3ヶ月で売り払いました。

支離滅裂になってまいりましたが、日本で一時ミニバンばかり、いまはコンパクトのハイブリッドになったのは、自家用車を選ぶ第一判断基準がデザインではないからなのです。都会の人はお金はあるけど駐車スペースはない。田舎はその反対です。ユーザーの目的意識にあわせてメーカーが商品を作るのは至極当たり前で、「ではもっとデザインのいいミニバンを作れ」と言われても、マイルドヤンキーはぎんぎんギラギラのアルファードが大好きなのです。いま売れてるヴォクシーだって、トヨタのリリースの写真はコレだよ

ヴォクシー

ブラッキッシュアゲハガラスフレーク!!!!

中国でAudiやメルセデスがバカ売れしてるのも、デザインに惚れられたわけではなくて、「自分は金持ってるぞ」「成功したぞ」という自己主張のために買われるんじゃないかな? そんなわけでデザインだけで車を語るのはヨーロッパだけじゃないかなと思うのでした。

ところでライトニングケーブルの予備を買おうと思ってAmazon見たら、いまやこんな価格なんだ!!評価は5と1に真っ二つ。数本買って当たりが出ればいいやという感覚なのか!!

  • 0
    このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 0
    follow us in feedly
PAGE TOP