やる気はあるけど食えない新人弁護士さんが周囲にいたらぜひ紹介下さい

2010年9月13日

先日の朝日新聞を読んでいたら、こんな記事が出ていた。

ロースクール(法科大学院)を出てやっと司法試験を受かった新人弁護士さんが全く食えないらしい。
司法試験に受かった頃には30歳超えていて、弁護士事務所はどこも入れてくれない。以前の超難関司法試験で弁護士になった人とはかなり差別され、法学部の先輩弁護士もおらず、頼る人もいない。頼み込んで事務所の片隅を借り、たまに端っこの仕事が振られてきて、それを待つだけ。年収300万円にも満たず、コンビニでオニギリ買って1日1個食べる生活。ほぼホームレス。これじゃ生活ができない・・・・。

これ、読んで・・アレ?っと思いました。

新制度司法試験は昔に比べて簡単になったとはいえ、普通の人から見たらめちゃくちゃ参入障壁高いです。何年も勉強しなければならないし、なんせ司法試験は自分の背丈と同じ高さの本を丸暗記しなきゃいけないらしいという噂。こんなん普通の人では無理です。カイロプラクティックは無資格でもできるが、日本で一番難しい公的資格の持ち主が、食えないっていうのはどうなの?

で、ちまたに弁護士に相談するニーズはないのか、というと、たくさん転がってます。テレビや新聞は多重債務者の債務処理ばかりやってる弁護士事務所のCMを流しているが、そんなもの以外にも普段弁護士に相談したいことってけっこうありませんか?

●ネットで悪口かかれて嫌がらせされて困ってる
●隣の人がうるさい。なんとかしたいが怖い
●しつこい訪問販売業者につきまとわれている。はっきり断りたい
●もうろくしたじーちゃんの後見人になりたい
●零細企業なんだが、ほとんどニーズもないけど弁護士を箔付けに監査役に欲しい
●交通事故の相手に誠意がない

みたいな小ネタは、ちまたに死ぬほど転がっているでしょう。
ではなんで弁護士に相談しないのかというと、従来の弁護士事務所に行って、応接室に通されて、フカフカの革張りのソファーに座って「あの〜」と、依頼したら、けっこうな金額を要求されると思っているからなんである。

つまり、弁護士事務所は敷居が高い んです。安かったらもっと気軽に頼むのは間違いないと思う。回転寿司のおかげで、いままで寿司なんて食ったこと無かった人がどんどん「寿司」を食べるようになったわけで、これと同じでしょうよ。

で、それならネットでぐるなびみたいなサイトを作って、目的や場所別に弁護士を安く見つけられればいいじゃんと思うだろうが・・・そして実際、そういうサイトもあるのだが、日弁連のサイトの資料を見たら、そもそもそういう事業は弁護士法72条に違反していて、弁護士がそこから仕事をもらうのも27条に違反するらしい。違法なんだそうな。そういうサイトに登録している弁護士はろくなもんじゃありません、と日弁連がいってる。弁護士が自分自身で広告するのはいいけど、弁護士情報サイトに登録したりはいけない、ということらしい。

では、弁護士さんはどんな広告してるのかな、どんなサイト持ってるのかなと思ってみると・・広告出してるのは大半が債権処理。しかも、はっきりいってどこの弁護士事務所も「SEO対策が皆無」。試しに「嫌がらせ、弁護士」でググると、弁護士事務所のサイトは1ページ目にも出てこない。ぶっちゃけ、わたしにやらせてくれるなら、トップページに検索で出てくるサイトにするなんて訳ない。こういう競合がチョロいところでナンバーワンになるのは簡単なのだ。わたしの経験でいっても、化粧品とかでSEO対策は死ぬほど大変だが、サーフィン業界なんてすぐアクセス1位になりました。マーケット全体が大きくても、上位に食い込めないと結局は多額のコストがかかるのだが、競合がチョロいジャンルはかなり楽なんである。

もちろん有名弁護士事務所で何年もみっちりと鍛えられた優秀な弁護士なら、頼りがいもあるし、腕も立つでしょう。いわば大間のマグロである。しかし大半の庶民は大間のマグロなんて食べない。一皿500円のマグロで十分(さすがかっぱ寿司とくら寿司はパス)。でもマーケット全体で見たら、一流寿司店の売上げなんて、東証一部上場の回転寿司全部の売上げの数%にも満たない。つまり安い仕事だって数をこなせば十分大きなマーケットになるんです。
では、回転寿司は社会の役に立っていないかといえば、絶対にそんなことはない。庶民が月末に家族で楽しむには回転寿司は必至なんである。銀座の寿司屋が潰れても困る人はほとんどいないが、回転寿司がなくなったら自分も困る。弁護士だって同じではないのだろうか。人のためになりたいと思って弁護士になったのなら、普通の人が困ってるどんなことでも助けてあげようというところからビジネスになっていく気がする。だって人に感謝されたくて弁護士になるんじゃないの?

もし自分がロースクールでて、就職ができずにどうしようかなと思っていたら、まずは小ネタ専門の弁護士事務所をやります。そして同様の食えない仲間とサイトを作ります。価格は思い切って低価格で明朗会計。しかもそれをサイトに表示します。必死に更新します。数ヶ月したら1日何十件も依頼がくるように口コミを形成します。つまり回転寿司系の弁護士です。経験が少なくても小ネタだったら回せるし、ネットで戦っているうちにプロバイダのクセとかも分かってきて経験値は増してくるでしょう。「ネットのトラブルはあそこが安くて良い」という口コミがネットで回ったら、たくさん依頼や相談が来ます。弁護士さんの空いてる時間も表示します。

自分で書いているうちに、なんだか面白くなってきた。

すごくやってみたい・・・・やる気はあるけど食えない弁護士さん募集・・・周囲にはいないんだな、これが。

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