選挙をマーケティング視点で考えてみる「政治はクラウドファンディングじゃねえんだよ」

2014年12月20日

衆議院選挙が過ぎ去って1週間。散々の投票率に「投票は義務、投票しないあなたに文句を言う資格は無い」という投稿がそこらかしこで見られました。しか〜し、仮に有権者を「消費者」と仮定すると、ちょっと矛盾する点があるという気もしております。近い感覚で言うと・・・

消費拡大のために国民1人ずつに500円配られた
これで全員が買い物をして盛り上げよう
でも欲しい物がないから買いたくても買えない
たった500円ぽっち、自分が使わなくてもいいじゃん

という感覚なんじゃないでしょうか。だから100%有権者が悪い、無責任だとも言えない気がする。旧ソ連の配給所みたいに、買いたいものが全くない店に責任はないのか。腐った林檎とかしなびたキャベツとかベーコンの脂しか陳列棚に無いのに、とにかく金使えと言われてもナァ・・・

ということで本日は、有権者を仮に消費者とすると、どんな政党があったら投票しない層に「買いだ!」と思ってもらえるのか。顧客目線、消費者目線で考えてみたいと思います。あくまでシャレですのでかっかして噛みつかれても困ります。また、わたくしは特定の支持政党はありませんが、少し保守寄りの現実派であることを前書きしておきます。

ターゲットに合わせた商品を開発する

若者の投票率が低いといいますが、当たり前です。

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今回の衆院選の年代別の詳しい資料がまだないので一昨年までの集計を公益財団法人明るい選挙推進協会というところから借りてきました。投票率が低いのは20代だけじゃない。30代も低い。続いて40代も低い。つまりリテラシーが高い層が集中している層の投票率が低いのです。

若者にとっては巣鴨の地蔵通り商店街の洋品店に連れて行かれて「好きなもの買ってもいいよ」と言われたようなもんです。なにを買えばいいというのか。ぽっくり死ねる赤いパンツなんか金払っても欲しくない。くれてももらわない。

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ここで好きなもの選べよと言われてもマジ困るわ

若者が選挙に行かないのは、欲しい商品(候補者)がないからです。ある意味しかたない結果でもある。若者にターゲットを絞った商品を開発してもその商店街には若者は来ないから売れないのか、若者向けの商品を揃えてないからこないのか、鶏が先か卵が先かになっている。しかしそんなことを言っていても始まらない。若者にターゲットを絞った商品を開発してから文句言えといいたい。

具体的にはこのエントリーにも書いたけど、

データに見る「老人だけが幸せな国、日本」

20〜30代にアピールするのは、世代間の富の格差を是正するというのが一番です。日本の富は高度成長期、バブルを経験した高年齢層に富が集中し、若年世代は貯蓄も非常に少ない。さらにいま70歳の人は払った額の6.6倍も年金がもらえてるのに、いま20歳の若者は2.2倍しかもらえない!
これじゃ若者に夢が無くて当たり前なんである。幸せ感も老人よりずっと小さい。若者に投票にこさせるには、若者にとって、買いたくなる魅力的な商品(政策)を開発すべきでしょ。
「年金制度を充実」というのは今の若者には絶対響かない。逆に「年金制度の世代間不公平感を無くします。資産家とか高収入の老人にはちょっと我慢してもらいます」くらいのほうがアピールはするでしょ。

加えて若者は基本リベラル寄りです。次世代の党はスタンスは若者寄りに見せたけど内容はかなり強烈な右で、ネトウヨにしか響かなかった。ネトウヨは40〜50代ということでターゲット完全に外したマーケティングでした。ネトウヨは次世代じゃないもん。

誇大広告は消費者を離れさせる

当たり前の事なんでございますが、具体的効果がまるでないのに効能を大げさに述べると消費者庁が立ち入り検査にくるのに、どうして政治の世界では「埋蔵金で一挙解決」とか「100年安心の年金制度を創る」とか「賃金を大幅に上げる」とか誇大広告が許されるんでしょうか。

民主党政権になった時、「埋蔵金あるある」にたいしては眉唾かもしれないと思った人が大半だったとは思いますが、「ひょっとしたら」と一縷の望みを持たされたことも事実です。まるで「絶対会えます」という出会いサイトに半信半疑で登録したけど、やっぱりみんなサクラだったみたいな。
それがウソと知った今、出会いサイトのスパムを見るだけで嫌悪感を催すのが普通の人ですが、中には「たまたま前回のがインチキだったけど、本当に出会える出会いサイトもあるはずだ」と信じてまた手を出す人もいるわけです。「大儲けできる情報集材」を次々買ったり、いろんなマルチにはまりまくる人も一定数いるわけですが、あくまで少数。しかもそういう消費者はけっして良質なクラスタではありません。どっちかというと知的レベルが低い、お金も無い人です。ということは

誇大広告ではなく確実な効能

を挙げたほうが大半のちゃんとしたオツムの人々の購買意欲をそそるのじゃないでしょうか。「飲むだけで体重が30キロ減ります」なんていうサプリは誰も買わない。せいぜい「血糖値を下げる効能があります(体質によって異なる)」くらいにしておく。「着けるだけで肩こりがなくなるペンダント」とか「毎日拝むとお金持ちになる壺」とかを買うのはお年寄りだけです。
大風呂敷を広げれば広げるほど、ついてくる消費者は判断力の無い人ばかりになる。普通の意識の消費者は胡散臭さが鼻についてしらけてしまう。

具体的な性能、メカニズムをアピールする

スバルのアイサイト搭載車が売れてます。こういう風な機能が付いているので何メートル手前で自動停車します、という具体的な性能を見せているから売れるのです。

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これを「当社は車を本気で作りますから事故が起きません」とだけ言ってるのがいまの政党。アホか。予約して先払いしてもらって目標額達成したらそれから開発しますって、あんたらクラウドファンディングか!!

政治はクラウドファンディングじゃねえんだよ!!

たとえば少子化対策なら、保育園を全国に何千作ります。その予算は合計いくらいくらでこうやって捻出します。さらにこういう法案を通してこのように制度を変えて、いついつまでにこのように手を打ちます的なことくらいは詰めてから立候補しなさい。立法府を担うんだから、当選してから法案考えるんじゃなく「自分はこういう法案作りました。これを通したらこんな風になります。この法案通すために国政行かせてください」位のことは具体的に言ってくれないと、投票する気にならないでしょ。

コレ書いているウチに、投票に行かない20〜30代を一方的に責めるのはちょっとおかしい気がやっぱしてきた。20〜30代にまったくアピールしない政策を打ち出す政党側に問題はないのか。あるでしょ。顧客視点なさ過ぎでしょ!!
とはいえ、当選したいがためだけに無策のくせに印象だけで若者におもねるのもまじでやめてもらいたいもんですが・・。

ところで・・・いぇい、いぇい、今年は雪に備えてこれ買ったどー。はやく東京にも雪降れ

[Timberland]ラドラートレイユ ミッド キャンプ インシュレーテッド
使わないときは両方をたたんでジッパーでドッキングできる。そうするとこんなにコンパクトになるので車に突っ込んでおけるのだ。昨年はスニーカーの時に雪喰らって足が死んだけどこれなら平気さ。
$_12

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