先日、アシスタントの由良さんとメルマガの口述していて思い出した話です。
呑みのネタにでもどうぞ。
その昔、アレキサンダーやチンギス・ハーンをはじめ、世界征服をもくろんだ人って歴史に多いですよね。しかしナチス第３帝国による欧州征服をもくろんだヒトラー以降、積極的な征服系の国とか人って現れていない。米ソで世界を折半しようという密約もあったらしいが、いまは全然ない。
いまだ中国はいちばんその傾向が残っていると思うが、そりゃ70年近く同じ独裁政権のままだからね。まだたったの40年前の1977年まで続いた文化大革命で自国民を300万投獄し、50万人処刑した（死者1000万説もありますが池上さんに準じました）その独裁政権がまだやってるのでトレンドは残っているわけ。が、さすがにアジア征服までは考えてないでしょう。武力制圧を真剣に検討してるのは台湾と南沙と沖縄くらいかな。
中国についてよく知らない方は必読で。
で、空想の世界でも・・・・・
30代以上の皆さまは、子供の頃にアニメや映画を見たと思いますが、
仮面ライダーのショッカーは世界征服を狙う悪の秘密結社。
しかし今の仮面ライダーシリーズって、敵役の目的は世界征服とかじゃなくて、なんだかよくわからないモンスター。
007にしたところで
に出てきた「スペクター」は世界征服を狙う秘密結社だったけど・・
これ、見たけど・・・最新作に復活して出てきたスペクターの目的がイマイチはっきりしないんですよ・・・
漫画の世界も同じで、数十年前までのヒーローものの漫画とか映画の敵はたいてい「世界征服」をもくろんでいたが、現在の敵はヱヴァンゲリヲンをはじめとして
なに考えてるかわかんないけどとりあえず攻めてくる
タイプがメインになってきています。本日はこれはいったいどうしてなのかということについて語りたいと思います。
日本はまた武力で大東亜共栄圏を創りたいと考えているか
話は急にリアルになりますが・・・・「安保法案は戦争法案で、安倍は徴兵制を復活させて日本がアジアを侵略に行く」と考えるスーパー妄想ぐるぐるの人はたくさんいると思います。ちなみに来週のメルマガでは「あなたの子供が戦争に行くといったらどうするか」というお題に回答します。
しかし、日本が武力でまたまたアジア各国に攻めていくというのは、国連と集団的自衛権を普通の国が行使する現在では、物理的にあり得ない。湾岸戦争のイラクの例を見ても他国を侵略したら世界中の多国籍軍が攻め寄せてきて袋叩きです。だって国連憲章に書いてあるんだもん。
第42条
安全保障理事会は、第41条に定める措置では不充分であろうと認め、又は不充分なことが判明したと認めるときは、国際の平和及び安全の維持又は回復に必要な空軍、海軍または陸軍の行動をとることができる。この行動は、国際連合加盟国の空軍、海軍又は陸軍による示威、封鎖その他の行動を含むことができる。
ですので、この時代に日本が再び侵略戦争を始めたら瞬殺されるのでやるわけない。逆に中国は国連の常任理事国だから、日本に戦争を仕掛けて国連で中国制裁決議が出ても拒否権を発動できます。こうなったら国連軍は出ませんので、アメリカに集団的自衛権を行使してもらって協力して戦わないといけないわけです。
とまあ、日本がまた侵略戦争始めるガーの人たちには、こうした話をしても「そんなの分からない」で一蹴されてしまいますので、違う面から解説します。すなわち
なんで現在の人間のマインドには「世界征服」がないのか
ということでございます。
わたくし考えますに・・・・
原因はただひとつで、「世界ってどんなもんか」の認知がシモジモのものまで大きく広がったからだと思うんですよ。第２次世界大戦まではなかったテレビ、そしてインターネットのおかげです。
実は自分の子供の頃は・・・・「ちび黒サンボ」を読んで、ジャングルにはバナナの木があって、食べ放題だと思ってました。南の島のジャングルいってバナナの木の下で思い切り食べてみたいというのが夢・・・
ハワイで人の家を訪問したときに家の玄関前にでかいバナナの木があって、「いくらでも食べて良いよ」って言われたんですが、子供の頃は高くて食べられなかったのですけどいまやめちゃ安。わざわざ食べませんって。
で、太平洋戦争の初期も、南の島のニューギニアやパラオに行かされた日本軍兵士たちは、「南の島は果物がたくさんなっていて食べ放題」と思って期待して行ったらしい。小説などの描写が良く出てくるんですが、実際には餓死者が続出した。
日本軍って戦闘で亡くなったより餓死者のほうがずっと多いって知ってますか?日本軍参謀は後進国で食糧徴用を兵隊が自分たちでできると思ってたんですよ。そんなことできるわけないでしょうに。ろくに食う物なくて飢えてる国に行ってどうやって食糧徴用するんだ?
ちなみに野生のバナナは勝手にどんどん増えていくが、ちゃんと世話しないとほとんど実が付かないんだよね・・・・・
昔は夢の国と思っていたアメリカも銃社会だし、アフリカではいまだ餓死者がたくさん出ていて治安最悪の国とか多数だし・・・なんてことは昔は全然分からなかった。沈まぬ太陽（一～五） 合本版
そう・・・・世界中の人がみんな気づいちゃったと思うんですよ。
世界征服なんてしちゃったら、もう大変!!
豊かな国ばかりじゃないから、病気で苦しんだり飢えてる人たち、しかも何億もいるんだけど、こいつらの面倒もみないといけない。アメリカの銃をどうするかとか、日本にたくさんいる老人も介護しないといけないし、温暖化も止めないといけない。もうやること一杯で征服なんてしたって良いこと全くない。
むしろ、征服していい施策してくれるんなら、どんどん征服してくれ・・・みたいな感じで最近のSFの設定では宇宙人がある日現れて、地球人の目を開かせて指導してくれるみたいな設定が花盛りになりました。こんな中で、日本がアジアを征服したいと考えるわけがないんです。中国だって貧困層が田舎に死ぬほどいる。タイやインドネシアだって都市部にはお金持ちが増えたが、田舎は極貧の人が何億もいます。征服したら全員の面倒見るんですよ!!
そんなわけで、世界の隅々の情報が共有されたおかげで、全世界で「世界征服なんてアホクサ」という価値観になっているわけです。むしろトランプのように「自国だけが良ければそれでいい。他国は死んでよし」みたいな内向きに傾きつつあります。EU離脱の英国もそうでしょ?
ということで、日本は侵略にいくわけないです。そんな面倒くさいこと誰がするか。自国の老人問題だけで精一杯だ。
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