「原発怖いから嫌だ」という人は見ないだろうがとりあえず書いておく話

2018年9月9日

こういう話を書くとね。放射脳の人がキーキーいうから嫌なんだけどね。とりあえず備忘録で書いておきますわ。
北海道が全道で停電しても死者が出なかったのはいまが良いシーズンだから。これが真冬だったらどうなるか。何万人も亡くなっていたでしょう。帯広の仕事先はそれを考えたら物凄く恐ろしいと言っていた。


夏と冬では必要電力がこれほど違う。

で、北海道は石油ストーブやガスストーブだから停電しても平気だという方もいるが・・・。それ、田舎の家庭だけの話でしょう。
北電の資料だと電力は暖房だけではなく、様々な冬の対策に必須なのである。

3.11の2時間の計画停電でさえ、我が家はガスファンヒーターもオイルヒーターも、そして給湯器も使えないから寒さに震えていた。激寒の北海道ならどうなるか。セントラルヒーティングは使えないし、水道管は破裂するし、ビルや病院のボイラーだって制御装置が停電で使えなくなったら停止するんじゃないの。道路も凍結するよ。

ここくらいまではいくら科学リテラシーが低くてもなんとなく言えば分かると思う。が、こと原発になると科学リテラシーが停止してしまう人が多数いる。

日本人の3割が「放射能は人工でしか存在しない」と信じている

日本人は非常に科学リテラシーが低い。

日本人の科学リテラシー低すぎ!! 子供はどうやって育てるべきかをエビデンスより


大規模調査では、14ヵ国中12位。レーザーが音だと思ってる人が7割。地球の公転周期が分からない人が4割ですよ!

3.11前は「すべての放射能は人工的に作られたものである」と思ってる人が半数もいた。いや自然放射能ってバナナにもあるし、タバコにもあるし飛行機乗れば被曝するしと散々啓蒙されたけど、いまだに

日本人の3割が全ての放射能は人工的に作られる

と、信じている。要するに科学リテラシーが異様に低い人たちが大勢いる。特に北海道は高齢化が進み、生活保護受給率は大阪に次いで全国2位だし、喫煙率は日本1位。低いのは仕方ない部分もある。

そもそもどうして放射能が危険か、そこを理解していない

3.11のあと、いろいろ恐怖で頭がおかしくなった人たちがガセを撒いてくれた。
被曝すると奇形児が増えるから、被曝すると怪物になる(マジだよ)まで。そもそも農業試験場では品種改良に放射線を使うが、それは放射線に対して非常に耐性がある植物だからで、高等動物の人間に同じ量を当てたら即死してしまうほどの線量です。

広島や長崎で、高線量を浴びた人たちだって、子供に奇形児は増えていない。朝日新聞も書いていたが、1947年にアメリカが設けた原爆調査委員間(ABCC)がはじめ、75年から日米共同運営の「放射線影響研究所」が引き継いで、被爆者9万4000人ともそうでない2万7000人を生涯にわたって追跡調査。うち2万人は2年に一度、健康診断を受けています。 サイトには論文もたくさん掲載されているからちゃくと読めと言いたい。この調査によると、親が被爆者の「被曝二世」については、死産、奇形、染色体異常は一切見られなかった(遺伝はないということ)。逆に検診と医療費が無料(一世は無料。二世は健康診断と成人病の治療が無料のようです)で平均寿命は普通の人より長かったわけです。

まったく被曝していなくても一定の割合で先天異常はあるが、酷いとほぼ流産してしまう。日本産科婦人科学会のデータで1万人あたりの発生率を見ると

心室中隔欠損がもっとも多くて574人に1人。口唇・口蓋裂は813人に1人(一般には500人に1人と言われてますが)です。指が多い多指症や水頭症も多いです。現在では医療の進歩で口唇・口蓋裂や多指症は幼児の時に丁寧な形成外科手術で目立たなくなります。要するに珍しくもなんともないのです。1人異常児が生まれたからって放射能セノイダーとか馬鹿すぎます。

もっとも放射線、しかも核爆発とは比較にならない程度の被曝で危険度が高いのはこんなことではなく、「発がん性」です。放射線を浴びることで遺伝子が損傷し、修復ではないレベルを超えるとがんになるわけです。国立がんセンターの発表では


喫煙や大量飲酒の習慣は放射線を 1,000 ~ 2,000ミリシーベルト被ばくするのと同程度、受動喫煙は、100 ~ 200ミリシーベルトの放射線被ばくと同程度の発がんリスクがあると推定されています。一方、100ミリシーベルト以下では、発がんリスクを検出するのが極めて難しいとなってます。受動喫煙のリスクはがんよりも脳疾患、心疾患です。

1000〜2000ミリシーベルトの被曝と言っても「放射能は人工のものしかない」と信じている3割の人には難しいでしょうから、具体的にいうとシーベルトは合計で体が受けたダメージの総量と思えば良い。ベクレルは放射性物質の量だからまったく違うものの単位。

で、放射線で1000ミリシーベルト、つまり1シーベルトの放射線を浴びるとどうなるかというと、これはもう相当にキツい。ふらふらして吐いたりするレベル。ヘビースモーカーなら2000シーベルト相当だからどれくらいのものかというと・・・

喫煙ってどれだけ発がん性あるのかわかる? 被曝でいうと「自覚症状があって」「一時的脱毛」と同じレベルなんですよ。つまり、

被爆が怖くてどうしてタバコ吸えるの?

ということ。繰り返しますが北海道は日本でダントツの喫煙率です。そしてわたしに絡んでくる放射脳の人の喫煙率高すぎ!! この間なんて「喫煙の害を訴えるより放射能の被害を訴えろ」って喫煙者の放射脳さんに言われました。ww

別に論理のすり替えをしたいのではなく、この事実から「原発が怖い人は発がん性要因である放射線が怖いのではなく、なんだか理由は分からないけど怖い」ということが分かります。幽霊やゴキブリと同じなのです。正直言うと、日本人の科学リテラシーではこの壁は乗り越えられると自分も思っておらず、怖くて怖くて精神に異常をきたしてしまう人も多いだろうから、原発推進はありえず、核融合までの間のつなぎとして安全性に注意しつつなだめすかして使って行こう派です。

泊が稼働していたら全道停電は起きなかったはず

本当に科学リテラシーが低いゆえにフェイクを撒いてしまう典型がこういう感じ。

泊の原発が震度2で電源喪失したとか本気で思ってるらしい。ww
電源喪失したのは苫小牧の火力発電所で、もともと泊は停止しているから自分では発電していない。冷却のために火力発電所などの電力を使っていた。それが来なくなったから予備電源に切り換えたということが理解できないらしい。

地震発生当時道内電力需要が300万kw程度だったが、そのうち半分の165万kwを発電する苫東厚真火力発電所が地震のため急遽自動停止したため、受給バランスが大きく崩れ全道が停電した。火力発電所を再起動するにも大きな電力が必要で、だからこんなに復帰に時間がかかったわけだ。

しかし、泊の原発が稼働していたらどうだったのか。火力発電所の多くは夜間に消費電力が少ないときは燃料がもったいないから停止している。原子力発電所は簡単に停止ができないので、夜間も稼働中。震度2では緊急停止もしない。そのまま稼働しているから


こんな感じだったはずだ。そのほかにはバイオマスとか地熱のような夜間でも停止しない発電所が多かったはず。要するに火力発電所が被災しようが全道停電にまで至るほどの影響は無かったと思う。ここは試してみるわけにもいかないので推測です。


去年、泊原発のすぐ横のポイントでルアーでブリを釣りました。積丹半島は田畑も少なくて山ばかり。溶岩の地形がずっと広がっています。

火力発電所をどんどん作れとか、頭おかしい

この弁護士さんが引用している朝日の記事が根本的におかしいのは、地質学者に話を聞いている点だ。法律とか知らないでしょう。

民主党政権時代に、電力会社が発電と送電を一緒にしているから悪いという話になり、2020年には法律で送電と発電の会社が切り分けられます。北電は送電の会社になります。送電の会社になるのに、火力発電所をもしもの時のためにたくさん作れとか、企業がやるわけない。発電するなら別の会社に参入してもらうしかないわけですよ。
※追記 来年2月から11年計画でLPGに置き換える計画らしいが、そもそもそんなゆっくりで次の冬は越せるのか。大きな地震がもう一発同じ地域に来たらどうすんの、ということです。

しかし北海道は高齢化が非常に早く進み、しかも出生率がめちゃくちゃ低い。東京都と札幌が変わらないんです。よって人口はこれから激減し、就労者数は北海道の公式予測でこうなります。

2055年には2010年の人口の4割減

になるわけです。これだけ人口が減るのが明確なのに、いまから多額の資金を投入して発電所を作りまくる企業があると思いますか。苫東厚真火力発電所は1980年操業開始。もう40年近く経ってるわけですが、いまから発電所作ると20年後には不要になってるわけですよ。

もちろんそうなったら、いまの泊以外の発電量でも十分に賄えるわけだが、そのときには苫東厚真火力発電所なんてとっくに耐用年数過ぎてボロボロになっている設備もある(新しい設備も当然ある)。なにが言いたいのかというと、人口激減が間近に明確に迫っている北海道にいまから多額の投資をしてインフラを整えるっていうのは無理筋だってことです。幸い、泊の原発ははまだ新しく一番新しい3号機なんて10年も経過していない。震災前はこれで乗り切ろうとしていたんじゃないかな。

ワクチンと同じく電力もリスクの確率選択

ワクチン反対の人は放射脳と高い相関関係にあるので、説明しても理解できないわけだが、とりあえずまともな人向けに書いておきます。

いま泊の原発は何万年か前の断層が沖にあるかもしれないということで停止して点検しているわけです。これは「あるかどうかわからない」レベルで、しかも断層があったとしても必ず地震が起きるわけではない。確率だけで言えばそんなところで地震が起きるよりとっくに先に南海トラフとか東海沖とか関東大震災が来ます。これは数十年に1回、過去から必ず定期的に起きているからです。東海沖地震よりはるかに泊に津波が来る確率は低い。

要するに
「来るかどうかもわからない津波に備えて原発を使わないか」
「来る確率が非常に高い真冬の停電に備えて稼働するか」

の、リスクの選択です。ワクチンの副作用と打たなかった場合の罹患率のリスク選択と同じです。10万人にひとりは副作用で死ぬけど、打たないと発症して10人に1人が死ぬワクチン、あなたは打つか打たないかという話といえばわかるかも。

大地震が起きると、高い確率で数年以内に同規模クラスの余震が来ます。3.11のときはラッキーにもこなかったが、インドネシアのロンボクなどでは同規模の地震が再三起きています。つまり、再び苫小牧あたりに大地震がくる確率は泊に津波が来る確率よりはるかに高いわけです。

ただ、地球の公転周期が分からない人が4割、放射能はすべて人工と考える人が3割の日本では、当然ながら確率計算は理解できない人が3割くらいいると思うんですよ。この科学リテラシーではいくらいっても理解できないだろう。嫌なものは嫌だの一点張りです。

電力が不足している間だけ泊を再稼働したら?

上記のようにすぐに北海道は電力が余る時代が来ます。10年後か20年後かはわからないが、使う人がいなくなる。それまで原発を再稼働して使用し、いまのボロボロの火力発電所は小さめのものにリプレイスし、40年後にいまの人口の6割になるわけだが、その時点での必要電力を十分確保できるようになったら、それでも怖いなら電気代は上がるけど道民の意志で泊を停止したらいいんじゃないかと思います。

追記しておくが、仮に泊を再稼働すると前述のように夜間は泊が7割を占め、テロや災害で急にストップした場合、今度はそれでブラックアウトしてしまう。ひとつに集中させると危険ということは分かったのだから、北海道のような気候が厳しくほかから融通しにくい地域では安定したら泊も新しいの一基だけを稼働させて他と分散化してリスクを取らないと意味がないと思います。

んで、今討議すべきは「冬の北海道で停電で死者を出さない」ことであって、原発がいいとか悪いとかの論議ではない。どんな手を使っても停電を起こさないというのが大事。仮に原発再稼働しなくても100%停電が起きないと保証されるならそれでもよいが、そうでないなら検討の選択肢には加えるべき。

ただ科学リテラシーの低い高齢者がどんどん亡くなっていくので、もしかしたら安全性のリスク回避とかはもう少し理解度はあがるかもしれない。それにつけても、「頑張ればなんとかなる」みたいな戦前の日本みたいなことを言うのは止めて欲しい。それがブラック企業の根底にもあるわけだから。頑張ってもなんともならない時もあるんですよ。

とまあ、書きましたけど放射脳の人はデータが嫌いなのでたぶん読まない。w

原発怖い怖いの人は、そういうのばっかりみないで藤沢さんのこれくらい読んだらいいと思いますよ。

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