自動車はできるのに、家電はなぜできないか?

2012年9月4日

福之くんがめっちゃ面白い記事を書いていた。

なぜ日本の伝統的メーカーは「エラい人のキーワードでモノつくる構造」を早くやめられないのか

20年以上も前の話になるけれど、ネットが無い頃の自分の会社の仕事は、広告や編集ものの制作でした。バブルの終わりかけの頃でもあったので仕事はめちゃくちゃに多く、いまだから言えるが大半の自動車メーカーの仕事を掛け持ちでしていた。だいたいBカタログやパンフレット制作、広報誌、そしてマーケティング戦略のとりまとめまでやりました。時効だから社名を挙げると、N産、Hンダ、Sズキ、BMW(略字にならん!!)、Rーバー、Pジョー、Aウディ、ETC… Tヨタはギャラが安くて途中でスタッフ全員が降りたことがあった程度・・

家電メーカーの仕事はたいして多くないが、福之くんの古巣のVHSムービーカメラの仕事はしました。あとはF士フィルムとか、Eプソン。

最近、日本メーカーの一人負け論で日本中が薄暗くなっていて、特にサンヨーから始まってソニーだの、シャープだの、家電メーカー、電子メーカーの衰退が物凄いことになっている。こうなると日本企業一人負けのイメージになるが、実は自動車はけっこう頑張っている。

トヨタ12年上期の連結世界販売台数は497万台、半期として過去最高

みたいなニュースが出ていて、かろうじて日本の面目を保ってくれている。ドイツ車はEUの富を独り占めして絶好調で、フォルクスワーゲンのポロなんていつの間にか実用でちゃっかり20km/lも走るように改良されているし、韓国の現代自動車が猛追しているが、それでもこんな感じ。

自動車情報センター調べ

日本メーカーは 2011年に国内で  8,398,705台、海外で 13,382,390台を生産した。合計で 21,781,095台である。世界の自動車生産台数80,092,891台の 27.2%を生産していると推定される。国内生産 前年比 12.8% 減 海外生産 前年比  1.5% 増 合計台数 前年比4.5% 減 である。

2009年は世界恐慌の影響でドスンと落ち、派遣村は自動車メーカーをクビになった労働者であふれかえった。そこから見事に立ち直ったものの、2011年は震災で部品が足りなくなって国産メーカーは四苦八苦。でも、今年は順調。だけどさぁ、すでに海外で日本国内の1.6倍も生産しているんだね。これで電気代が高騰したらさらに一気に工場の海外移転が進んで、多くの工場労働者は職を失ってしまうんだけどね・・

日本自動車工業会調べ

三菱以外は頑張ってます。エコカー減税もあると思うが、それだけじゃなくてがんばりが凄いと思います。HVはもちろん、富士重工の追突しない車とか凄いです。モーターショウではスマホと連動する車とか、福之君の記事を彷彿とさせる出展もあったけど、それでも世界のトップクラスを走っていて競争力を失っていない。日本の大手企業が全部大企業病なんじゃなくて、家電が一人負けしている気がする。違いますか?

どうして自動車にできて家電にできないのか

前置きが長くなったが、自分は経済評論家ではないので、外からマーケティングとか販売促進部とか、宣伝部とやりとりしたつたない経験でその違いを語ってみようと思います。20年も前のやりとり(いくつかは10年以内のもあり w)なので、いまは違うと言われればそれまでだが、当時の部長、課長がいまは経営陣になってるわけで、雀百まで踊り忘れずという感じで本筋は変わってないんじゃ無いだろうか。

1 自動車は好きでやってる、家電は仕事でやってる

自動車メーカーに勤務する人で、自動車に興味の無い人はほとんどいない。かつて自動車メーカーといえば、大学の工学部を卒業したときの一番人気だった。20年前までは男の子の夢は「二十歳になったら免許を取って車に乗る」であり、趣味欄に「車、ドライブ」と書くのが普通だった。

自動車メーカーに就職して、あこがれの自動車業界に身を投じるのが誇りでもあったわけだ。では家電はどうかというと、友人にもけっこう大手家電メーカー勤務がいるが、洗濯機やテレビが好きだったから、という理由でその企業を受けた人を見たことがない。大半は「面白くないけど大企業で安定している(と思っていたから)」みたいな感じ。
サムスンがここまで成長したのは、「サムスンで仕事をする」ということが最高の憧れで、物凄いブランド力があったからじゃ無いだろうか。かたや日本の場合、「どうしてもシャープに入りたくて入りたくて、入ったら携帯作りたくてたまらなかった」というやつはいるのか?

自分が欲しくも無い商品を「顧客目線で考えろ」といっても無意味。だからこそスマホ連動の洗濯機なんかを作ってしまうんじゃないか。顧客の気持ちが分からないので変なキーワードやデータに頼り切る。Apple製品が素晴らしかったのは、ジョブズが「自分が欲しい」ものを作ったからだ。単純な話なのである。物欲の無い草食系には商品開発は無理。

日産のカルロス・ゴーンもトヨタの豊田章男社長も車マニアで知られる。この間テレビで家電評論家に各メーカーからいっぱい掃除機とかが送られてきて「感想をお願いしたい」と依頼されるというのを見た。素人に感想聞かないと作れないのか、お前ら・・って思いました。前にも書いたけど、顧客視点を持つというのは顧客の先を行くということであって、同じレベルではダメダメなのです。

しかし怖いのはこれからで、今の若い子は免許も無いし車にも興味が無い。成績優秀で一流大学卒業したけど家電業界はダメダメだから、安定している自動車業界に、という連中が入社し始めたら自動車業界も終わるでしょう。

2 自動車は開発主査、主幹がそのモデルを仕切る

自動車メーカーはだいだいどこも同じだと思うが、開発には全責任を負う主査がいて、彼が開発を仕切ります。映画監督と同じ。役員にプレゼンはするが、開発においては主査がかなりの部分も決められる。たとえば大ヒットしているホンダの軽、N-BOXは元F1のエンジニアだ。インタビューはこちら

ずっと昔にトヨタの初代セルシオの開発主査にインタビューしたことがあるが、仕事に対する誇りは物凄いモノだった。静寂性を追い求めて工作機械から精度を上げて作り直したらエンジン音がしなくなり、危険すぎて遮音性を下げたとまで言っていた。

いわばジョブズがたくさん社内にいてしのぎを削るみたいな形が残っているから、自動車メーカーは頑張れるんじゃないかと思う。家電メーカーでジョジョスマホやエヴァスマホの開発責任者なんて、見たことも聞いたことも無い。アニメの名前に頼って開発するなんて、自分だったら隠したいです。はい。表に出る開発責任者がいないからバグだらけでも平気でリリースできるんじゃないかと思うくらいだ。家電メーカーで開発責任者がたまに表に出てくるのはソニーくらいのものだが、それでもいかにも地味・・。F1やってた人が軽作りました的なストーリー性が全然無い。そして福之くんの記事を見ても、全権を任されているようには到底見えない。

日本の家電メーカーを立て直しには、まずは家電が大好きでたまらない、家電を買いたくてたまらない人間を採用することが第一なんじゃないだろうか。さかなクンの家電版みたいな人間だ。Facebookにアカウントが無い人間を間違いなくFacebookは採用しないと思う。テレビやデジカメやスマホに興味の無い、安定志向だけの人間を家電メーカーはたくさん採用している。経営陣は自社製品を使いこなしているのか?? スマホを使っているのか??
ここから変えないとヒット商品は生まれるわけが無いと思います。学校のブランドや成績より、家電に対する「愛」が大切じゃ無いかなと思います。

まさにこれ

◆追記◆
家電はすでに革新技術がないので後進国に追いつかれたという声がありましたが、twitterで見事な突っ込みで助けてもらいました。
「ダイソンを見ろ」
家電大好き社長なら世界的大ヒットを生み出せるといういい例がありました。
でしょ、でしょ!!

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