【別の視点から・・】出版社の復活は電子書籍の「戦略的」値下げをしないと始まらない

2012年11月26日

三連休のど真ん中にSwapSkills Doubbbleというセミナーでスピーカーをやりました。「ブログ見たらとんがっていて怖そうだけど実物は面白くて想像と違った」という感想を複数の方からいただきました(汗)。たくさんの方と名刺交換しましたが、この場を借りてお礼申し上げます。

さて、このセミナーで面白かったのが、アスキー・メディアワークスWeb Professional編集長の中野さんの講演。どこがというと

1 出版社は本が売れずに死にそうだが、実は日本人の読書時間は減ってない

2 昔は調べ物があると本屋に行ったが今はGoogleだからそもそも本屋に行かない

3 よって新刊を知る機会が無い・・新聞も読まないし

4 本を買うとしてもAmazonのマーケットプレイスで中古を買ってる気がする

という流れでした。で、4についてはデータがないとおっしゃっていたが、実はAmazonのアソシエイトをやっていた(過去形 w)経験から、こういうエントリーを書いてました

出版不況はAmazonマーケットプレイスのせいかもしれない

いままでのデータではだいたい新刊でも1ヶ月を超えると中古が出回ってくる。そうすると一気に中古にシフトされ、書評を見ての中古本の購入率は新刊でも40%、数年たったものでは70〜80%(こちらの実測値)。本によってはブログでの紹介から数十冊売れても全部中古というのもあった。冊数で言うと、Amazonで流通している本のおそらく6割以上は中古と言いきってもいいのでは? (日本のAmazonの売り上げは約4000億円で半分は書籍という風に言われているらしいが詳細は不明なのでどれくらいのマーケットかは全くわからない)
ブックオフで中古本を探すのは大変だが、Amazonならすぐに探せるし、大半はクリーニングされている。人よりも早く読みたい新刊以外は、圧倒的に中古が市場をぐるぐる回る。新刊が出てもしばらく待てば中古が出回るから待つ。よって新刊は売れない。出版社はご飯が食べられないという展開になっている。

アメリカではどうなのかなと思ってamazon.comであれこれ調べて驚く。

人気の本をざーっと見ていくと、アメリカでは中古の本の価格が新品と大差ないのである。逆に中古のほうが高いものもけっこうある。

なんでだ??

想像するに、アメリカでは再販制度(値引きを禁止するのは独禁法で禁止されているが書籍だけは除外されていること)がないから本の定価からAmazonががんがん割り引いているからなのだ(と、思う)。中古より新品のほうが安いなら、新品買うに決まっている。しかし日本の場合は書籍の再販制度があるから新品の本の値引き販売ができない。これではせどり業者は儲かっても出版社がご臨終になって当たり前。

かといってすぐに書籍の再販制度を廃止という風にはならないだろう。独禁法の改正が必要であり、出版業界が一致して陳情するわけもなければ、国会でこんなことやってる暇もなさそう。じゃあ、どうするのよ。このままでは出版社は本が売れない。著者や作家もピーピー。中古がぐるぐる回っているだけだから、取り次ぎも印刷会社も死にそう。まあ、エコでいいかもしれないけどな。

八方ふさがりの出版業界ではあるが、起死回生の一手がある。それが電子書籍の中古相場に合わせた値下げである。出版業界が分かってないのが、紙の本の競合が電子書籍だと思い込んでいることにある。「紙にこだわるので電子書籍に移行しない」という出版社が聞いたら涙するようような人もいるが、その人だって中古を買ってるのだ!!

紙の本の競合は、電子書籍では無くて、中古の本、特にAmazonのマーケットプレイスなんですよ!

そう。日本の電子書籍の価格は、Amazonでさえ、出版社側に決定権限がある(という話)。現在の電子書籍と新品と中古の本の価格は、Amazonだと比較できるようになっている。

こんな感じ。現在では
新刊文庫480円 中古191円 Kindle473円
※ただし中古はだいたい250円の送料がかかるから実質440円!!

これじゃ誰だって電子版買わずに中古買うわな・・ アホか

出版社の馬鹿経営陣は、「電子版の価格を下げたら紙の本が売れなくなって困る」ということで下げないわけだが、全く逆です。一気に中古と競合する価格まで下げればいいのだ。↑のように中古は送料がかかるから、それを計算に入れて価格にすれば、それほど安くしなくてもいいわけだ。
同等で無くて少し高いくらいでも、マーケットプレイスでは到着に数日はかかるから、すぐに読みたい人は電子版を買ってくれる。中古本の価格がさらに下がって利幅がなくなれば、せどりの皆さんは転職せざるを得ない。電子版だって売り上げは出版社に入る。印税だって著者に入る。

紙の本と競合させないなら。新刊出てから2ヶ月くらいは紙だけにして、中古が出回るタイミングで中古の価格と合わせた電子版を出してその芽を潰す。先に読みたい人は紙の本を買うだろうし、2ヶ月後にはもう紙の本は中古に食われはじめるわけで、価格で競合する電子書籍を出せば中古のビジネスは一気になくなる。中古の流通が無くなれば、新刊本の流通が増える。すべての人が電子書籍に移行するわけでは無いからだ。

この戦法で一番割を食うのは、せどりさんたち、そして紙の本しか読めない高齢者だが、日本の富の8割は高齢者が持っている。高齢者に少しくらいお金を出してもらってもバチは当たらない。電子化によって安い価格で若年層が十分本を読めるようになったら、日本の将来も少しは明るくなるかもしれないです。お金のない高齢者だって8480円でLideo買ったらWiMAX付きでどこでも読みたい本がめちゃ安で買えるならその方が良い。そのくらい老人の日にプレゼントしようよ・・

出版社の皆さま「毒をもって毒を制す」作戦、いかかでしょう

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