年金だけでは足りないからあと2000万用意しろの報道は内容がかなり違う

2019年6月8日

いつものように麻生くんが言わなくてもいいことを言って、「100年安心はうそだったのかガー」「だから自民党はガー」と騒いでいる人が多いですが、年金問題は超少子高齢化でこうなることはとっくに分かっていたし、少子高齢化対策に無策だった政府の責任は甚大だが、じゃあ社会党連立政権のときも民主党政権の時も年金の抜本的な改革なんてしてこなかった。辻元清美がまたまた「安倍ガー」とか言ってるが、じゃああんたは年金制度改革法案出したのかと言いたい。

野党の支持層は自民党よりずっと高齢者だし、高齢者にも痛みを伴う年金制度改革なんてできるわけもない。逆に高齢者は年金少なくて困ってるからもっと払えとか、無責任な人気取りもいい加減にしてもらいたい。

騒いでいる人の中には国民年金のくせに「100年安心と言ってたじゃないか」みたいなのもいるが、国民年金はもともと死ぬまで働ける商店主の老後の小遣いみたいな設定で国民年金だけで生活なんて出来るわけがない。政府も国民年金で100年安心とか全く言ってないでしょ。しかしこうした無知な他責性の強い人たちは別にしても、日本は高齢者が優遇されていると思います。

これは5年も前に書いたエントリーですが・・・

データに見る「老人だけが幸せな国、日本」


日本で一番幸福感を持っているのは60代以上。
↑の資産についてのデータがかなり古いので平成26年のを探してきました。

で、マスコミも街角インタビューで「2000万円なんて無理」とかいう高齢者ばかり流す。ちょっと待てよ、おい。

日本の大規模調査では、もっとも資産を持ってるのは60代で、平均で1世帯で5000万程度は持っています。平均で、だよ。うち多いのは預貯金で2000万円以上持ってます。繰り返すけど、平均でだよ!
富豪がいるから平均値ではなくて中央値にしても、60代の世帯は3325万円です。
ということは、街角インタビューでは60代の半数以上が「2000万位なら資産ありますよ」って答えているはずだが、そういう人は1人も出てこない。そういうのはカットして「そんなのあるわけない」ばかりを報道してるとすると偏向じゃないのかな。

資産に不動産をいれると「じゃあそれを売れって言うのか」といいそうな人がたくさんいるだろうが、貯蓄資産だけ見ても前述のように平均値で

50代 1596万円
60代 2129万円
70代 2059万円

あるので、ごく平均的な世帯では、金融庁のレポートにあるように厚生年金以外で2000万位用意できてるのが普通みたいな感じなのです。だから問題はいまの高齢層ではなくて、いま年金を払っているもっと若い層です。20代でも世帯になっている層では平均世帯貯蓄は361万円だから、独身でいるより結婚したほうがお金は貯まるのは間違いない。だって居住費とかも半分になるもんね

60代以上の層は、そもそも上の人口が少ないから若いときにそれほど保険料を支払っていないし、物凄く景気の良いときもあった。健康を害したり不慮の事故があれば仕方ないわけだが、そうでもない限りは資産形成をするチャンスはいくらでもあったのに、

金融資産が0の層が、
70代で28.3%
60代で29.4%
50代で31.8%
もおります。
この「金融資産はない」という比率は年齢層に関係なく3割いて、おそらく若いときからずっと「金は全くない」といいい続けて年を取る人が10人に3人くらいいるわけですね。いったいどういう生活したら貯金0を一生続けていられるんだろう。自己責任と言ってもいい層が相当いると思うんだよね。

こうした「貯蓄0のまま一生行きます」という3割の人がいても貯蓄の平均値は50代 1596万円、60代 2129万円、70代 2059万円なわけ。だから貯蓄があるという人だけの資産にすると平均値はドカンと上がるわけですよ。
ところが可哀想なのは若い層で、生まれたときから不景気がずっと続き、昇給はしても高齢化で高齢者の年金や医療費を負担しないといけないから保険料は高騰して差し引きのマイナス。彼らが60代になるときは貯蓄が2000万に達しない層も多くなるように思われるわけです。退職金制度もだんだん崩壊しつつあります。

金融庁のリリースは報道とニュアンスが相当に違う

上記のように、日本人の世帯の平均金融資産は50代で1600万円あるわけで、金融庁としてはもうちょっと運用してこれを2000万位にできると老後は楽になるよと言いたかったわけですね。そもそも貯金0の国民の3割の人に対してのリリースではないことは確か。

金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」

これを読むとマスコミで報道されている「年金では生活できなくなるから2000万円作れ」というのは相当に曲解しているものと感じます。というかちゃんと読んでない気さえする。だって実際の平均値で世帯の貯蓄は2000万あるんですよ。だからこの資料は若い人向けに「どんどんこれからキツくなるから若いうちに投資や運用を学べ」というニュアンスです。

そもそも年金制度ができたときは平均寿命は60歳くらいで、現在は20年も伸びてしまった。つまり最初の設計時とはまるで環境が違うのである。

年金の設定時には日本が人類史上類を見ない「超少子高齢化」になるとは誰も予想をしていなかった。これが分かっていたら誰もいまのような若い世代が上を支える年金制度なんか制定せず、積み立て形式にしたはずだ。


前にも書いたのだが本当の少子化はバブルの時に起きています。子供作らずに遊ぼうとかいうトレンドだったのかもね。

そして100年安心プランとか訳の分からないことを小泉政権の時に言い出したわけだ。こんな妄想を信じて「騙された」とか他人事みたいに言ってるのはたぶん3割の貯蓄0の層ではないかと思うのだが、年金制度がこのままでは崩壊することは20年以上前から分かっていたでしょ。抜本的対策しようにも一番恩恵を受けているのは投票率の高い高齢者だからどの政党も抜本的対策に手が出せないまま。

年金制度が崩壊しないためには国の最優先事項を少子化対策に置くべきだったが、いまだにプライオリティが低い。これは野党も与党も、そして国民全体も他人事のように考えて来たツケです。

収入はバブルをピークに下がっていまは横ばいか少し上がった程度である。

この資料、その気のある方は絶対に読んで欲しいのだが、欧米先進国では学校教育で「投資・運用」を教えてくれる。が、日本では「お金は汚い」的な考えがあるためか、そうした教育は全く受けない。この金融庁の資料は

若いうちからこういう投資をすると良いよ

という教科書みたいなもので、これさえ読まずにガーガー言ってるならどうぞ自由に野垂れ死にしてくださいなというレベルのものです。再度書きますが

平均で見ても中央値で見ても日本人はけっこう資産を持ってる

貯蓄とか運用できないと思ってるのは自分ひとりの思い込み

政府がすべてなんとかするなんてないから自分でなんとかしろ

ということだと思うんですよ。いくらそう書いても30%の貯蓄なんてしない層には届かないが、これから人口が減って税収もへるわけで、7割の貯蓄がある層が3割の貯蓄無しの層の生活保護を負担なんてできないでしょ。自分の将来は自分で守るしかないので頑張ってください。20〜30代で気づけば充分資産の形成はできますって。

特にフリーで国民年金しかはいってない方は、2000万に加えて5000万位余計に資産持たないと老後にヤバいです。会社にして厚生年金加入するとか、私的年金にはいるとかしないと、いまは手取りがサラリーマンくらいあっても将来野垂れ死にしますよ。フリーの人こそ資産運用が大事です。
金融庁のオススメが積み立てNISAなんで、分からないとかいってないで漫画でも読めと

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