禁煙でまたまた串カツ田中の業績悪化とか、書いてる人は本気なの?

2019年8月11日


私がよく行く調布店。呉服屋さんの看板が残ってる。ww

さて、わたしに解析してくださいと依頼が多数来ているダイヤモンドの記事。

串カツ田中が5カ月連続前年割れの変調、全面禁煙が招いた2つの難題

まず、この記者さんも串カツ田中の人も、業界全体を見ていない。去年に注目を浴びた反動が来ているとか、禁煙がアピールされすぎたため、サラリーマン離れを起こして単価が下がったのが原因とか、ミクロばかり見てマクロを見てない。
わたしは来年4月の健康増進法でほとんどの飲食店は禁煙になるため、他店が事前にどんどん禁煙化しているので成功者利益が薄れたというのが一番大きいと思いますよ。

でもそれだけじゃない。まずは居酒屋全体の売上がずっと落ちているわけです。

2018年の外食市場は前年比2.3%増。「居酒屋」は10年連続で売上・客数ともに減少

日本フードサービス業界のデータ

居酒屋、パブが1人負け

してるのがわかりますか?
居酒屋業界が過去10年沈みっぱなし。ワタミも鳥貴族も赤字に転落の中で、串カツ田中は大健闘しているわけですよ。仮に禁煙が原因なら鳥貴族が躍進しているはずなのに赤字転落。www

居酒屋と親和性の高い層の絶対数がそもそも減っている

では居酒屋の客数が減っているのはなぜか。統計見たらすぐ分かる。
完全失業率と労働人口を見てみましょうね。

完全失業率はずっと低下してて、消費税上げても低下してる。就業者数も増えているが、どの層の就業者数が増えているのか見て欲しい。

2018年に就業者数が増えたのは
15〜24歳
55歳以上
であって、

赤線で囲っている、労働人口の中で一番多かった25〜44歳までは逆に減っています。25〜34歳までは11年連続で減っているし、35〜44歳までは過去4年連続で減ってます。目立って増えているのが女性の労働人口の増加。男の1.5倍の増加人数で、これが労働人口の伸びを牽引しています。
はい、分かりますよね。

25〜44歳の居酒屋大好きの労働人口が高齢化で減ってるのです

居酒屋って仕事帰りに一杯飲むところじゃないですか。25歳〜44歳の労働人口は過去10年で8%も減っています。飲み会も減ってるでしょう。若い子は行きたがらない。タバコ臭い店にも行かない。

15〜24歳までが増えているのは学生のアルバイト率が上がってるからでしょう。特に大学生の仕送り額はどんどん下がっていて、アルバイトばかりしていて勉強ができない問題がクローズアップされています。現役親世代の社会保険などの負担が爆増している側面もありますね。年収1000万円でも300万を税金と社会保険で引かれてるしか四苦八苦。子供を2人大学にいれるとアップアップですよ。

そして、いまの日本の人口の最多層はどうかっていうと、これは一昨年のグラフだからこれに2歳加算してください。

ご覧の通り

70〜72歳が一番多いわけ

65歳以上の労働人口は増えているものの、いくらなんでも72歳くらいになったらリタイヤする人がたくさん出るでしょう。いまはまだ労働人口は65歳以上が増えているので増加していますが、数年したらこの年齢層の労働人口はどんどん後期高齢者になるので減っていくわけです。高齢者はたくさん食えないから単価も下がっていきます。繰り返すが

居酒屋と親和性の高い層が減少

というのはどんどん顕著になるため、串カツ田中のファミリー路線はまさに正しいのです。ファミレスでも一番売上が伸びてるのは家族で行く焼肉じゃん。
そもそも人口が激減していく日本では飲食業の伸びとかは期待する方がおかしく、減っていく中でのシェアを取るか、減っていく速度を遅らせるかインバウンドに頼るかくらいしかないわけですよ。ほっともっとも採算が取れないから店舗数を相当に削りはじめました。

単価が安い飲食店はたくさん客が来てはじめて採算が取れる。もともとの人口が減っている中では四苦八苦です。逆に単価が高いフレンチとか寿司屋は東京だと予約が取れない感じになっていますよね。

どんどん高齢化が進むと数年後にどうなるか

誰が考えても分かるようなことなのに、想像してない人が多すぎです。日本に人口最多帯が数年でみんな後期高齢者になるのですぞ。年金暮らしになるのですぞ!!
上に書いたように飲食店の来客数はどんどん減るし、高齢者は来てもたくさん食えないから単価が下がる。解説したり記事書くときはまずはこれを念頭に入れるのが当たり前。

ゴルフ業界死亡

じゃらんリサーチセンターの予測

昨年のゴルフ場の倒産件数はバブル崩壊の時を超えたらしいですが、いまは高齢者が増えているのでなんとかしのいでいますが、あと10年もしたらゴルフ人口は激減しそうです。相当に切羽詰まった状況です。

フィットネス業界は中小零細が躍進

面白いデータですが、経産省が出してます。

実はフィットネス業界は大手のスポーツジムは軒並み会員数を減らしているのですが、全体としてのマーケットは好調です。高齢化でジムに通えなくなった人の代わりに単価の高い筋トレやパーソナルトレーニングに励むもう少し若い層がマーケットを押し上げているわけ。RIZAPや新筋トレブームがなかったらジム産業は終わってました。自分も普通のジムプールとパーソナルの2つに通っているわけですが、ジムプールは完全に高齢者がメイン顧客層で、たぶん平均年齢は70歳を超えています。数年後にはだいぶん会員が減りそうです。

このようにフィットネス業界はターゲット層を切り換えて、都市型の高価格の付加価値型の中小が増加したためにマーケットが大きくなりました。これはとてもいいヒントだと思います。要するに高齢化社会でも、特定のそこそこお金がある層への付加価値サービスに転じることによって、マーケットが活発化するってことですね。

いずれにせよ、素晴らしい観光地でも無い限り、田舎はどんどんシュリンクして、都会にマーケットが集中してくるのは明確でしょう。余裕があるうちに業態の転換を図るのが生き残りの道ではないかと思われます。

この本、Amazonでめちゃ評価高いので読む

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